第5話
美味しい汁物を食べ終え外へ出る
「ん〜!良い朝だ。」
外は昨日の森の不気味な雰囲気はなく、心地よい風が体に当たる。
「〜♪ ん?」
鼻歌を歌いながら小屋の周辺を歩いていると、そこには赤い水溜まりと赤く染まった石があり、昨日の獣の頭と思われるようなものが落ちていた。
「うん!気のせいだ気のせい!!」
そう現実を逃避し、その場から背を向け小屋へと戻った。
「清々しい朝だな」
「......ヴふふ、駿君が使ったスプーン♡っは!お、おお帰り駿君」
「......」
(見間違い、そう見間違いだ...)
駿は軽く絶句する
「....そういえば気になったんだけどこの汁物に使った水や火はどこから持ってきたの?」
「ん?あぁそれね!実は異世界に来たんだから魔法とか使えるかなと思ってやってみたらできちゃった☆」
「できちゃった☆って、魔法使えるのか...」
「うん使えたのです!出てよ水〜みたいな感じで?」
(魔法か...よし、試してみるか)
片手を前に出し、
「出でよ水ー」
言葉に出すとポチャンと少量の水が手の上に現れた
「おおーすげ!なんか感動」
魔法が使えたことに感激し、頬を緩ました
「!駿君が笑ってるッ尊い!」
下卑た顔でニヤついてる桜花を無視し、駿はほかの魔法が使えるか試す
「お!火と、風も使える。」
「アレ?喋らなくても魔法使えるの?....あぅ///」
何を思い出したのか顔を赤らめ桜花は悶えている
「...まさか、魔法を使う時恥ずかしいこと言っちゃった?『我が内なる究極の魔法を味わえー』とか?」
「そそそそそんなことは言ってないよ!?」
うんうんお年頃だもんね仕方ないよ
「違うよ!?ほんとにそんなこと言ってないよ!その『うんうん分かるよ』みたいな同情した顔をしないで!?」
「まあ、そんなことはいいとして魔法が使えるのはありがたいね狩りもスムーズにいくんじゃない?」
「そんなこと!?良くないよ!!私の威厳が.....」
「今更威厳も何も」
「ちょっ!?今更って何?今更って!」
「....言葉通りの意味です。なんか昨日からずっとニヤニヤしてるし、時々抜けてるし」
「んにゃ!?き、気づいてたの?」
(そりゃああんだけ腑抜けた顔をしていたらね)
「バレバレです」
「うそ!?うぅ〜見られてたなんて...もうお嫁に行けない」
「ほんとです。ほら、馬鹿なことやってないで行きますよ」
顔から湯気が出そうなくらい顔を真っ赤に染め、膝から地面に崩れた
「うぅ〜、行くってどこに?」
「周辺の森の探索です」
「なんで?ここにいれば良くないの?」
ヨボヨボな声で桜花は言葉を返す
「一応です。もしかしたら人里があるかもしれないでしょう?」
「たしかに!でも、人がいたとしても言葉は通じるのかな?」
「まあその時はそのときで考えよう。それにここがずっと安全かなんて分からないからね。」
「道中魔物に会ったら?」
「魔法で試してみる。実践で使えるかを確認も兼ねてね」
「それって戦うんだよね....」
「そうだね。でも試したくない?桜花も魔法好きなんだし。ほら魔法の詠唱を唱えてたくらいだし」
「だから!私はそんなこと言ってない!!」
「ははッ、ソウダネじゃあ行こうか」
棒読みで鼻で笑いながら駿は返す。
「もう!駿君のバカっ!」
「はいはい、行きますよ」
「む〜」
適当にあしらわれて頬を膨らませる桜花
「ハリセンボンみたいで可愛いな」
「かわッ、え、ええ〜そうかな?えへへー」
「何故デレる?ま、行きますよ」
「はーい!今行きます!」
ご機嫌となり駿の後ろを付いていく桜花
「ところで小屋の壁に付いた獣の血どうすんの?」
「それは〜その、魔法が使えるんだし、水でちょちょいと?」
「はぁー」
「なんで溜息!?」
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