第4話

───ちゅんちゅん

小鳥のさえずりのような音が聞こえる

食欲をそそるいい匂いが鼻を通る


「───んぁ?」

「あ、起きた」

目が覚めると近くから可愛らしい声がする。


「おはよう♡」

「んーおはよう」

挨拶を返すと桜花はにっこりと笑った。


「ここは?」

「森の中にあった小屋だよ。」

「小屋?」

「うん。駿君が意識を失ってから少し周りを散策したらここにたどり着いたの」


意識を失ってから?


「!な、なんでそんな危ないことするんだ!この森は何がいるか分からないんだぞ!」

「え?」


俺が怒ると、さっきまでの笑顔は一変、桜花はシュンと俯いてしまった。


「あ、いや怒鳴ってごめん」

「ううん。駿君の言う通り。昨日の変な動物だって駿君のおかげで倒せたんだがら」

「違う!!」

「!?」

少し強く返してしまった。


「昨日生き残れたのは桜花のおかげだ。だからこそ、無茶なことをしないで欲しかったんだ。」


「私のおかげ?」


「うん。武器で石を渡されるのは流石に予想外だったけど、だけどッ!そのおかげで昨日の奴を倒せたんだ」


「ッ!うん。ありがと///」

桜花の顔が赤らんだ。


「とりあえず言いたいことは、ここまで連れてきてくれてありがとう。そして、危ないことはしないこと!」


「わ、わかった!」


どうやら分かってくれたようだ


「でも、駿君。ひとついい?」

「ん?」

「なんで私に優しくしてくれるの?私!学校で駿君の嫌がること言っちゃったし」


なんでって?そりゃぁ

「まず、別に嫌がられるようなことは言われてないし、か弱い女の子を1人にしちゃいけないからね」

「!!」

目を見開き、ボロボロと涙を流す桜花。

「あ、ありがとう」

嗚咽おえつを上げながら顔はぐしゃぐしゃになってお礼を言った。




桜花を宥めることになり、およそ30分後

ふと、疑問が浮かぶ

(さっきから漂うこの匂いはなんだ?)


「なぁ、この匂いなんだ?すごくいい匂いなんだが。」

桜花に聞くと、


「匂い?あ〜!そうそう、ご飯が出来たね!」

そう言うと、桜花は小屋の外に出て行った


(ご飯?俺が眠ってる間に採ってきてくれたのか?)


少しして桜花は戻ってきた。


「おまたせ〜!はい。

ホントは、お米があれば肉丼とか作れたんだけどね〜無いものはしょうがないか」


みそ汁と思われるものが小屋にあった机に置かれる


「これは?」

「これは!昨日、駿君がやっつけてくれた、謎動物の謎肉で作った汁物です!!味は保証するよ。お肉がいいダシを出してくれるんだよね」


「....なんて?」

「ん?だから、昨日の変な動物だよ」


聞き間違いかと思ったがどうやら合っていたようだ

それ以前に、

「どうやって動物を解体したの?」


そう聞くと、


「それは!駿君が使った石で思いっきり叩き潰したて解体したの!」



Oh〜!なんとお強い☆


「それは解体とは言えないと思うけど、ただ“潰した”の方がこの場合は適切じゃない?」


えへへ〜と桜花は満面の笑みで笑う。


(すごいいい笑みなんだけど内容が内容なものなので....)


「さぁ、食べて食べて!感想を聞かせて!」


「い、いただきます....」


ちなみに謎肉の汁物は歯ごたえがあって美味かった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る