第2話

「「ここ、異世界?!」」

本当に異世界に来たようだ。あんまり、実感がわかない。一言で言うなら、「へぇー」としか言えない。

しかし、佐倉さんはというと、


「え!?ほんとに異世界?ど、どうしよう!!───というか──君と2人きり?!」


後半何言ってるか聞き取れなかったが何やら焦っていた。顔も少し赤いし。

とにかく今は安全の確保だな。何がいるか分からない森の中で留まっていると危険な気がする。


「佐倉さん。ひとまずここを離れよう?、、佐倉さん?」


「───い───ばい。──する。」

どうやらまだ自分だけの世界に入り浸っているようだ。


「佐倉さん!!」

少し強く呼ぶと、


「?!な、なに?」


「ここを離れよう。何がいるか分からないから少し移動しよう。」


「う、うん。わかった」

「顔赤いけど大丈夫?」


「だだだだ大丈夫!!」


そんなにどもる?

どう見ても大丈夫じゃないよね。

「ほんとに大丈夫?肩貸そうか?」


「ひぇっ!大丈夫でしゅ!」

明らかに大丈夫じゃない返事をする。

うーんまぁ本人が大丈夫っていうなら。


「じゃあ行こうか。」

「うん」


「すごい綺麗だね」

歩いていると、佐倉さんが呟く。


「そうだね。知らない木の実とかなってるね。佐倉さん見たことある?」


「、、、」

「?佐倉さん?」

彼女は頬を膨らませ不機嫌な様子だった。


「桜花。」

「え?」

「桜花でいい。佐倉さんは余所余所しいというか。なんかヤダ。」


えー( ・᷄ὢ・᷅ )

「、、、分かった。桜花。でいい?」


「うん!!」

佐倉、、桜花はご機嫌になった。

そんなに喜ぶことか?


いや、今はそれどころじゃない!水分の確保と安全な場所を見つけなければ。


「さく、、桜花。」

「えへへー」

なんかクネクネ動いてる。


「、、何やってんの?」

「はっ!ううん!なんでもない!」


ほんとかよ。先が怖いわ。


「一応、食料調達したいんだけど何かありそう?」


「うーん。どうだろう分からないよ〜」

まぁそうだよね。

異世界?に来て右も左も分からないのに、食べられるものとか分からんよね。


その時、目の前に獰猛そうな獣がヨダレを垂らしながら近づいてきた。

やばない?武器ないよ。


「桜花、何か武器になりそうなものない?」

「っ?!ぶ、武器になりそうなもの?」

動揺しているな。当然か。


「うん。なんでもいい。」

「、、、、あ、これ、どう?」


「、、、、、、」

石!まさかの!結構デカイな。扱えられんぞ流石に。

仕方ない。これで頑張ろう(諦め)


石を構えるや否や獣は爪を立て襲ってきた。

ギリギリ、その一撃を回避し、攻撃をこちらから仕掛ける。しかし、こちらの攻撃も避けられる。


この状況をどう打破しよう。そんなことだけを考えていると、獣は桜花に目を向けた。


まずい!間に合わん!───!!

「桜花!伏せろ!」

「!?」


俺は思いっきり石を投げた。石は運良く獣の頭にぶつかり、気絶した。


「良かっ、た。怪我ないか?桜花。」

「ありがとう!!駿君!!」

泣きながら俺のを叫んだ。


ふぅー、流石に緊張してこれ以上は動けん。

俺はそのまま意識を失ったように眠った。

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