1話 異世界転移しました〜


騒々しい教室。あちこちでグループになって話しているクラスメイト。

そんな中、石上駿──俺はいつものように机に伏せていた。友達がいない訳では無い。ただめんどくさいだけだ。そう友達がいない訳では無い。


そんなことを考えていると、俺の足元に誰かの消しゴムが転がってきた。その消しゴムをもち、持ち主の元へと返そうとした。が、この消しゴムは、、、

「あっれ〜?オタク君が持ってるの桜花の消しゴムじゃな〜い?」


佐倉桜花 彼女は学校1美人と言われ、男女分け隔てなく愛想がいいことから皆から好かれていた。


消しゴムを机戻そうとした束の間、佐倉桜花の友達?であろう人が俺に突っかかってきた。


「オタク君、いくら桜花が好きでも消しゴム盗っちゃうのは良くないと思うな〜w」


からかうように佐倉さんの友達は言う。つか、ラノベは好きだが、オタクまで行ってねぇし、そもそもの話、佐倉さんのこと微塵も思ってすらいないのだが。

加えて、

「い、陰キャ君に好かれても嬉しくないわ〜。てか私、い、陰キャ君のことす、好きじゃないし。」


若干棒読み感があるが、俺は佐倉桜花に嫌われている。何もしていないのに。


そんなやり取りをしている間に休み時間はおわった。





─────────



6限の終礼が鳴り、放課後となる。

帰る支度が万端となり、下駄箱へ向かう。

その途中に落とし物を見つけた。クマ?のストラップだった。

一応ストラップを拾い周辺を見る。すると、何かを呟きながら、探し物をしている佐倉さんがいた。


「───がない。どこだろう? ──ップ大切だ──のに。」


かろうじて聞こえてきた内容はおそらくストラップのことだろうか?

まぁ、一応聞いてみるか。あ!校舎から出ていった。まずい、早く届けなきゃ。


「あ、あの!佐倉さん!なにか探していたけど、探し物ってこれ?」

何とか追いつき問うと、


「え?う、うん。ありがと。」


どうやら合っていたようだ。


「じゃあ、これで。」

早々に立ち去ろうとすると、


「ま、まって!」

「?はい、何でしょう?佐倉さん。」


「あのね!私───」


佐倉さんが何かを言おうとした瞬間、俺たちの足元から魔法陣のようなものが描き出され、強く輝いて視界を奪う。


「、、、?え?」

目を開けると、そこはさっきまで道路だった所が深い緑で覆われた森であった。


「──ん?ここは?」

どうやら佐倉さんも一緒みたいだ。


「誰かいませんか〜!」


大声を出し人を呼んでみる。しかし、誰も来ない。

すると、目の前に地球では見たことの無い生き物がいた。


「「ここ、異世界?!」」

俺と佐倉さんは声を揃えて叫んだ。

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