13・王座
大型の鷲みたいな白龍を討伐し、俺たちは城へ帰還した。
もう、俺に敵は居ない。居るとしたら残りの龍と魔王だけだろう。まぁ敵じゃないしぶっ飛ばしてやるけどな。
俺たちは謁見の間へ。そして白龍退治を報告する。
「よくやった。勇者アーク」
「ありがとうございます」
お決まりのやり取りを終えると、王様はニッコリと笑った。
ナルフェから聞いたが、どうも王様は俺やシャオたちを自分の子供のように思ってるらしい。もちろん悪い気はしないし、優しい王様だと俺は思ってる。
ここいで王様は、ナルフェが予想していた通りの問いをしてきた。
「勇者アーク。貴殿の活躍は大変に素晴らしい。聖剣に選ばれた事や強さだけではない、人望や人格、全てを兼ね備えた王の器であると、私は考える」
「あ……ありがとうございます」
改めて言われると照れる。シャオやファノンは笑いを堪えてるし、フィオーレ姉さんやショウコも苦笑してるのが目に見えた。ちくしょう、あとで覚えてろよ。
「勇者アーク。貴殿を、私の後継者……この国の王として、支えて欲しい」
「………ありがとうございます。是非ともお受けいたします」
「おぉ……ありがとう」
王様は目頭を押さえてる。感動してるのだろうか。
これで、俺は次期国王の椅子を手に入れた。大臣や宰相も、誰もが反対しなかった。俺はこの国の人間に認められて、新たな国王となる。
不思議なくらい、俺の人生は明るくなった。
可愛い幼馴染みに、近所のお姉さん、異世界からの少女に、御者の少女。こんなステキで可愛いお嫁さんを手に入れ、新たな国王として認められた。
だから、さっさと残りの龍を始末して魔王を討伐する。
「次の龍を見つけ次第、再び討伐に向かって貰う。それまでゆっくりと休むが良い」
「はい。お心遣い感謝します」
残りの龍は二匹。
伝承では橙龍と紫龍。そして最後に魔王という組み合わせだ。
俺たち勇者パーティーと聖剣アンフィスバエナなら、どんな龍でも一刀両断だけどな。
謁見の間を後にして、それぞれが部屋に戻った。
今日は何となく一人で居る。たまには何もしないでのんびり寝よう。
ベッドに横になると、疲れから睡魔が襲ってくる。
「ふぁ……」
俺の意識は、温かな闇に包まれた。
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