襲撃
権力闘争。
当然、ゲームにおける死亡フラグもたくさんあるのだが、それとは別として権力闘争の分野でも僕の命を脅かすものなどいくらでもある。
「だからといって、まさかここまで直接的な行動を取るか……ッ!」
だが……だが、だがだ。
この現状は流石に予想外だ……ッ!
僕が滞在していた離れ屋敷、その天井をぶち破って現れた五人の暗殺者。
あまりにも突然五人の暗殺者との戦闘になった僕は彼らへと視線を送りながら固有魔術で空間を切断。
転移でもって彼ら暗殺者の上へと回った僕は不可視の刃を暗殺者たちへと飛ばす。
「ガフッ!?」
素直に刃を食らってくれたのはただ一人。
他の四人からは華麗に避けられてしまう……想像以上に練度は上だな。
「無駄」
僕は自分へと向けられる火球を切断して消滅させ、暗殺者の一人へと一瞬で距離を詰める。
「……ッ」
一瞬にして距離を詰めてきたことに頬を引きつらせる暗殺者へと直接刃を叩き込んで解体する。
「止まれ」
次なる標的を狙うべく足を踏み込んだタイミングで暗殺者の一人から声をかけられる。
「……ッ!?」
そちらの方に視線を向ければそこにいるのは神楽を捕らえてその首筋にナイフを突きつけている暗殺者の姿が一つ……やっべ、ここってば離れ屋敷なんだし、当然神楽もいるじゃん。
神楽の戦闘能力であれば負けることはない……が、いきなり人殺しなんて出来るわけが……。
「……ッ」
思わず足を止めてしまった僕へと二つの探索者が迫り、そのまま一人の暗殺者がその手に持っていた剣で斬られ、もう一人の暗殺者に心臓を貫かれる。
「……蓮夜様ッ!?」
「っと」
その状態で転移して逃れた僕は基礎魔術で慌てて体内を再生させる。あぶぶ、僕は何も不死ってわけじゃないから気をつけないと。
「……あれでも再生するのか」
「……」
二人は後。
まずは神楽を捕まえている暗殺者を対処するほうが先だ。
「って?あれ?」
神楽の方をなんとかするべく動き出そうとした僕。
「許さない」
だが、それよりも前に行動していたのは神楽の方であった。
「……あっ、がぁ……ッ!?」
自身の固有魔術など使わず、己を捕らえる暗殺者の頭を掴んでいる神楽はそのまま握力だけで暗殺者の頭を潰そうとする。
「蓮夜様の敵なんて早々に死んでしまえ」
出来上がったのは前衛的オブジェ。
眼球や耳から脳が溢れ出る球ではなくなってしまった頭を神楽は首から引きちぎってその生命を完全に断ち切る。
「蓮夜様ーっ!こちらは大丈夫です!私は平気です!」
「お、おぉう」
僕は笑顔で暗殺者の生首を抱える神楽に対して思わずちょっと引いたような声を出してしまう。
「アハハ!」
神楽を拾ってから一年と半年。
僕と神楽が共に十歳となったような頃。
たとえ下衆な盗賊であっても殺すことを躊躇し、実際に手をかけた時は吐いてしまったあの正義の男である神楽は僕の洗脳の結果、とんでもないサイコパス野郎になったようです。
「って、逃さないよ?」
二人が僕に容易く殺され、人質作戦に出た一人も神楽によってあっさりと殺された。自らの劣勢を悟った暗殺者は逃亡を開始するが、それを僕が許さない。
一人は不可視の刃で細切れとし、もう一人は。
この五人の中のリーダーであり、最も情報が持っている人物であろうと予測した一人は両手足を吹き飛ばして地面に転ばす程度で許してやる。
「一流の暗殺者の拷問……今ある僕の手札で可能かどうか、確かめてみたかったんだ。ちゃんと嬉しそうに鳴いてくれよ?」
異空間の中へと落とした生き残りの暗殺者に対して僕は笑顔で言葉を投げかけ、そのまま異空間を閉じるのだった。
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