第7話 お前をチキンにしてやるぞ、からの
野道が三雪をおんぶして駆け付けると、時既に遅く、
「三雪ちゃんは無事だから、落ち着け、高津」
ハァハァとまだ肩で息をしている興奮状態の高津とボロボロになった
野道におんぶされて眠る妹をみて、高津は安堵の表情を浮かべる、
「よく、よっくん、聞いてる?」ついでに高津お前も聞けよな、と野道は言う。
「大事な話だ。実は
ごめん、と野道は謝った。
「でも三雪の事があったから、作戦を知っててもぶちのめしてたかもしれない」
高津が言うと
「高津、お前はそのまま、よっくんを
「理解した、協力するよ」
高津は三雪を優しく撫でた後、苦笑いした。
「失礼します、鳥を捕らえました」
とやって来て、2人の影は離れた。
「捕らえたか、よくやったな」
ゴロン、と転がされた
「酷い!
その後、直ぐに気絶しているフリをする。
……私の為にこんなに……
「その小鳥は邪魔だな」
「邪魔者は殺すまで」
物騒な台詞に、慌てて高津は
「コイツは俺の獲物です。初めて狩った鳥だし、好きにして良いですか?」
と口から出任せを言った。
「喰いたいのか?」
「はい」
迷わずに真っ直ぐ瞳を見詰めてこたえる。
「お前も猫の本能に目覚めたってわけだな」
「元々鳥肉好きですし、食べてみたいです」
嘘か本当か分からない会話に、
「よし来い、お前をケンタにしてやる」
あぁ、大丈夫だ、と思った。
確かに
ボロボロの
足早に向かうのは、三雪を預かる野道の居る部屋だった。
「殺されそうだったから、俺が喰うって事にして連れてきた」
「ナイス判断」
高津が言うと野道が褒めた。
「怪我の治療もしないとだしねぇ」
「あ、応急処置だけで良いよ」
自分達には
「まぁ僕も消毒して包帯巻く位しかしてあげれないけどね……」
と、野道が独りごちた。
「で、
「なんか、あれだな、違う意味で喰われそうだったな」
「なにそれえっち」
野道が言うと、静かに寝かされていた筈の
「絶対許せない!」
と大声で言った。
「しーっ!」
野道が慌てて口を塞ぐ。
「お前は今チキンにされてる筈なんだから大人しくしてろ」
「いや、もう死んだ事にして逃がしちゃえば?」
高津が言った。
「よっくん、お前、痛くない?動ける?」
「痛いけど動けるよ」
高津が三雪をつれて見送り、その間に野道は
「気をつけて行けよ」
「
くれぐれも、と念をおして、
と、見知った顔が丁度空から舞い降りた。
「
「うん、かなりやられたけど…」
イテテ、と言いながら呟く。と
「2人とも早く帰ろ!」
「意外と早く逃げれたね」
「まぁね、あの猫の人気分が悪くなったとか言ってどっか行ったからその隙に…逃げて来たの」
どこか呑気に話す
「
「……やってみます!」
バサッと大きな黒い羽根を、
それより幾分小さめの白い羽根を、
余り飛んだ事はないけど、きっと今なら飛べる気がする、と黒い羽根を追いかけて、羽ばたいた。
高級マンションのベランダに到着すると、淡い金色にウェーブがかかった髪を揺らしながら、心配そうな顔をしていた
美人なお姉さんだな、と
この美人がきっと、
護ったり、癒したり出来るのね……。
世の中には自分の知らない世界があって、そこに確かにでも存在する事を
こんな事考えてる場合じゃないのに、やっぱりイケメンには私みたいのじゃなくて
「さて、一体全体今日は何があったのか話して貰っても良いかしら?」
羽根の生えた日 あるす @ars1007
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