第42話 Vははまり過ぎるから見たらアカン思てました…

「みんな盛り上がってるか―!!」


「「「「「「うぉーーーーーー!!!!」」」」」」



 ここは激歌ってみたステージ。ぬこぬこやようつべ等で大人気の歌い手さんが数々登場して、空き時間なく歌ったりしている。一般参加で歌うことも可能な場所で、誰もかれもが盛り上がって楽しんでいる。


 今ここに来た理由は一つ……




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「そうだ美空さん。今週末激談義行くんでしょ?」


「うん。めっちゃ装備整えていくよ。ペアチケだからよかったら行く?」


「ごめん、その日用事があってさ。お願いがあるんだけど――――

 


 多分水曜日くらいだったと思う。山田君がお願いをしてきたのだ。



「頼む!ここにナタちゃんのサインをもらってきてくれ!!後生、後生だ!」


「な、ナタちゃん?」


「おま、美空お前ナタちゃんも知らねぇのかこの馬鹿野郎!」


「お、おうおちつけ山田君。荒ぶりすぎだ」



 あんなに普段教室で落ち着いて学校使用OKのパソコンで授業中アマプラを見ている山田君が、今猛烈に感情を起伏させている。



「ナターシャ・グリースフィア。今話題のぶいちゅーん第2期生、事務所自体新しくあまり他の同期たちが伸びていない中初配信から3日で登録者数20万人を突破し、体壊すんじゃないかってくらい配信してその一か月で22本の動画投稿。そして活動開始から約三年。今現在ではなんと270万人もの登録者数を誇る大人気Vtuberなのに、なのにお前は知らないだと!?」


 山田君……クラスメイト全員にそれでいけたら君は間違いなく陽キャだよ……ナターシャよ。君はこんなにも愛されてるぞ。だが、だがな……



「Vtuberなんてもんに手ぇ出しちまったら今度!俺は一体どこで目を休めればいいんだ!!ただでさえ金がないし可愛いものに目がない私から言わせてもらうとな!あれは罠だ。悪気など全くない罠なんだ!見てしまったら私はもう、後に引けなくなってしまう!!!」



「いいじゃないか美空……そこには楽園があるんだ。それを無視して、見ずして人生を生きてしまうのか?手を伸ばせばそこには、パラダイスが広がっているというのに、君はそれを無下にするのか?」


「ぐぅ……だが、その後はもう!耐えられない!」


「お前のひいひいひいひいおじいちゃんやひいひいひいひいひいひいおばあちゃんは、この楽園にたどり着けずに死んだのだぞ!先祖のつないだバトンを無駄にするのか!!」


「く、わ、私は、私はぁぁっぁああああ!!!」





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 というわけで、結局そのナターシャのチャンネルを覗いてしまったわけなのだが、結論から言おう。



か わ ゆ い !!!



 アレが話題のナタちゃんなのか。圧巻だ。見た目は銀髪に碧眼という合わない要素のないマッチングに、見た目の可愛さと可憐さを引き立たせる少しクールで、それでいて合間合間が可愛いという天使。天使だ!やばい!!近くに圭さんとか言う三次元美少女がいなかったら耐性皆無で倒れていたところだった。



 彼女は主に音楽を主軸にチャンネルを展開しており、多くのボカロが曲を提供し、多くの歌をカバーし、最近では一発撮りにも挑戦していてその声がさらに注目されている。ゲーム配信もたまにしているらしく、残っているアーカイブを見て死にそうになった。いや、一回死んだ。一皮むけた。



 それを踏まえての、生ナターシャがここで待っている。俺、はまってブームが着ている最中だから、多分山田君より興奮してるんじゃないかな。




『ぬーっこぬっこどーが!もうすぐ、ぶいちゅーんの特別ステージが、激歌ってみたステージではっじまっるよー!!皆、急がずいっぱい集まってね!』



 

 この声は!ぶいちゅーん第一期メンバーにして最大の元気っ娘!金髪のツインテールに大きくぱっちりした……………





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山田「ふ、うまく布教できたかな……」


彼は清々しい気持ちで週末を過ごしていた





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すっごい今更ですけど、10000PVされてました。皆さんありがとう!

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