第33話 ナニシテルノ?

 あれからは怒涛だった。まだあまり慣れていない自分のキーボードさばきで必死に彼女のギターについていく感じ……まあ、蒼もこっちにだいぶ合わせてくれて助かった部分もあるのだけれど。


 なにより、俺流行りの曲とか人が歌ってる系の曲知らないんすよ……ついこの前流行ったネコちゃんでさえ俺のおすすめには出てこなかったんすよ。(実話)


 ということで、蒼も知っているボカロ系の曲を何個かやって今は一息ついている感じ。じゃらーんと蒼がいい感じのコードを気ままに弾いている感じだ。こんなだらだらでも、芝生に一座りして聞いてくれている人はちらほらいて……俺も合わせる感じで覚え中のコードを鳴らしたりしていた。


「どーする?あと一曲くらいいっちゃう?」


「うー……もうそろそろ私の豆腐体力の限界が来るのでそう願いたいです」


「おっけい!じゃあ最後は派手にやっちゃおう!!」



「何を、派手にするの?」




「だーかーら!最後に一曲ぱーっと……ひぇっ」


 蒼がいきなりすっとんきょうな声を上げる。さっきまでめちゃくちゃやる気だったのにいきなり顔が真っ青になっている。


「どーしたのー?やーらーなーいーのー?……え?」


 蒼の目線の先、ずーっと俺に目線を向け続けるのが一人……なんか今日の朝から同じような人を見たことがあるような……


「ねぇ……用事って、これのこと?」


「け……圭さん……」


 圭さんがずんずんとこちらに向かってきて、めちゃくちゃ近くで対面する。蒼は何が起こっているのかわからずにおどおどとしている。


「姉がピンチって言ってたけど……そちらの方がお姉さん?」


 蒼はびくっとして、全力で首を横にぶんぶん振る。


「そう……遥、一体どういうこと?」


「ひぇっ……あー、えと、話せば長くなるというか」


「時間はいくらでもある。ゴールデンウィークなんだから」


 これが修羅場というものなのだろうか……俺は心の中で震撼しながらもそんなことを考えていた。






 いや、待てよ?そもそも圭さんが怒っているのはどうしてなのだろうか。まあ発言から察するに用事と出ていった俺をたまたま、しかもこんな大通りでキーボード弾いてるもんだから怒っているのだろうけど……これは言い過ぎかもしれないが、「私を放っておいて、他の子と遊ぶなんてありえない!」みたいなことだろうか……


「圭さん……可愛いっすね」


「……あ?」


「「ひぃ!!」」



 圭さんを怒らせてはいけないと悟った瞬間であった。





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落ち着いたと思ったら、もうあと一週間後くらいにテストなのですが……休息という物はないのだろうか。

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