第10話 アンティールール
「あれなに?プロポーズ?」
「バンド勧誘してるのよ。如月さんに」
「えー勇気あるね」
数々の声が上がる中圭さんの返事を待つかのようにだんだんと静かになっていく。
「私……私は―――
「おいおいお嬢ちゃん。お前がどこの馬の骨かは知らねぇが、人のモノに手ぇだすってこたぁどういうことかわかってやってんだな?」
圭さんの答えが誰かに遮られる。出所は、圭さんの後ろから歩いてくるいかつい男の人。全校生が付けてる学年別のバッジの色は……緑、てことはあの人は3年生か。
「あなたはっ!」
圭さんの表情が曇る。瞬時に、俺はこの男がなにかわけありだと悟る。
「おい圭。お前浮気なんてよくないぜ?」
にやにやと笑いながら、圭さんのことを舐めまわすように見る。
「私は、あなたのモノになったつもりはない」
「ほう?格下のガキなんかにたぶらかされちまったのかよ」
今度は俺の方をじろじろと舐めまわす。気が悪そうな表情から、徐々にまんざらでもない顔になっていく。こういう場面に直面してみて、俺含めて男がじろじろ女性のこと見るって、その女性は結構気持ち悪いと思うんだと感じた。
「よーく見てりゃガキもカワイイじゃねぇか。どうだ?俺のバンドにお前も入れ。そうすりゃいくらでも圭と音楽ができるぜ?」
「結構です。私は圭さんとやりたいのであって、あなたみたいな少々社会性に問題がある人とは一緒に音楽をやりたいとは思いません」
言っちゃった!言っちゃったよ。こんなオラオラしてる高校生マンガでしか見たことなかったけど実際にいてしかも絡まれると本当に嫌だからつい言っちゃったよ。
「なんだてめぇ。躾のなってねぇガキには教えてやらねぇとなぁ」
男は俺の肩を掴んで右拳を振り上げる。轢かれるよかましだけど痛いのは嫌だ。そしてなにより相手の方が体が大きく怖くて思わず瞬時に目を瞑った。
しかし、痛みが走る覚悟はしたものの一向にやってこない。不思議に思いゆっくり目を開けると、男の拳はまた誰かわからない眼鏡の男の人に止められていた。
「
こいつ上坂っていうのか。名前覚えたかんなこのやろー。
「ハッ偉そうに言うなよ眼鏡。何しにきやがった」
「なにやらそこの新入生と歌姫を巡って面白いことをしてたからね。もっと公平で、平和的かつ民主主義に適ったルールでいこう」
俺の中で収集がつかなくなってきた。この眼鏡は誰だ?歌姫って……まさか圭さんのこと?今から何が始まるの?
「ここからは軽音部部長の僕:
「その言い方で呼ばないで!」
「……失礼。両者の狙いは如月圭。することは、勝った方がこれを手にするというアンティールールのバトル。勝負内容は、両者が如月圭抜きでバンドを組んでオリジナル曲とカバー曲の二曲を披露し、わが校生徒の投票数が多かった方が勝利。場所は体育館。日程は……二週間後でいこう」
アンティールールとか、こいつ絶対決闘者だろ。とか思わず関係ないこと考えて自分の気持ちを落ち着かせようとした。けどやっぱ……新規が多すぎて何が何だかわかんねぇ……
「ほう……いいぜ。その勝負乗った。ガキがどんな駄作を披露するかは知らないが、手加減はしねぇ。100:0で勝ってやる」
圭さんはこちらを案ずる目で見ている。
「遥……いけそう?無理しなくていいからね」
「え、あ、…………え?」
圭さん。なんでやる気なの?
そして言ってなかったけど俺、楽器できないしこの学校の生徒のこと圭さん以外知らないんですけど……
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こんにちは。最近睡眠時間がそこまでなくても動けると知った者です。
恐らく近々体調を崩すかもしれないです。でもまあ更新できました。
テスト期間のため、更新が滞ると思いますが、どうぞよしなに。
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