第4話 戦闘と覚醒

3体のススケルトンナイトは頃合い良しと見たのだろう。一斉に地面を蹴り切りかかってくる。スケルトンナイトの突進力は地面のそれを見れば一目瞭然で、かなり強い事が伺えた。


一体のスケルトンナイトが俺と距離を一気に詰めてきて、長剣を勢いよく振りかざす。その時のヴォンという風切り音と同時に俺は何とか身を逸らして間一髪の所で躱し、バランスを崩し、地面とぶつかる。


「ちいっっっ」


俺は体のバランスをなんとか維持し、守りの体制を取る。このスケルトンナイト達、今まで戦ってきた他のダンジョンの奴らより、強い。あの一撃だって身体強化のスキルがなければ俺は明らかに真っ二つとなり死んでいただろう。


そんなことを考えていると背後から地面を蹴破るような音が聞こえてきた。


「なっっっ!!?」


いつの間に!!? 前方の方は注意していたはず。どうやって!!? 非常にこの状態はまずい。挟み撃ちで逃げ場がない。見れば先程避けたスケルトンナイトが体制を立て直し今から渾身の一撃を見せてやると思わせるような気迫を見せながら切りかかってくる。


「くそったれ!!」


俺は覚悟を決めて持っていた短剣を構え、まえに突っ走る。まさか突撃してくるとは思ってなかったのだろう。慌てた様子で振りかざしてくる。


「グウウウウウっっっっ」


俺は真っ向から振り下ろされた斬撃を受ける。痛い。クソほど痛え。だがそれがなんだってんだ!! 赤龍に立ち向かったあいつらはもっと痛い思いをしたはずだ!! リュウは恐怖を感じながらもそれを押し殺し、突撃し、体を三分割にされた!! アリタは激しい激痛に耐えながら、力尽き赤龍に食われるまで戦い抜いた!! そして妻。妻は恐怖心を押し殺してまでも俺を逃し、自らの覚悟を決めて死んだ!! あいつらと比べたら俺のこの傷なんざかすり傷でも何でもねえ!! 


俺はそう心の中で叫び、短剣を構え直した。俺は一度交わしたこいつの斬撃の癖を見抜いていた。これはチャンスなのだ。見ればスケルトンナイトは斬撃の勢いに耐えきれず、体制を崩し、ダンジョンの床に長剣をぶっ刺していた。


「今だ!!」


俺は叫び、がら空きとなったスケルトンナイトに切りかかった。リュウ、アリタ、そして妻に教えてもらった構えで、あいつらに鍛えてもらったこの体で、あいつらの技で、俺は叩き斬った。


スケルトンナイトが着ていた黒色の鎧が叩き斬られ、中にあった骨がボキボキという音を立てて乱雑に折れる。俺が放ったあいつらの技は勢いが衰えることなくそのままスケルトンナイトの体を袈裟斬りにし、地面に突き刺さった。


「ヂィ!!」


後ろから気配を感じ、俺は長剣を咄嗟に手から突き放す。本来であれば手放してはいけないのだが、今こうしないと間に合わないのかもしれないと本能が告げていた。身体を捩り、地面と激しく激突する。身体全体を鈍い痛みが襲う。先程の場所を見ると、後ろから来ていたスケルトンナイトの斬撃が深く地面に突き刺さっていた。


武器を失った俺は急いで残りのスケルトンナイトから距離を取る。浮かれている暇はない。今は戦闘中だ。


「フウ……」


俺は一先ず深呼吸して呼吸を整える。スケルトンナイトはその不気味な青く光る目をこちらに向け、ゆっくりと、だが着実に1歩ずつ距離を縮めてくる。


後ろは壁。俺は武器なし。その上手負いの状況だ。ジリジリとよってくる相手にどう立ち向かえばいい。助けてくれる仲間なんてもういない。俺が見殺しにしたのだ。俺はあいつらのために復讐するのだ。


俺はアリタとリュウ、妻の言葉を思い出す。あいつらに教えてもらった技を、あいつらの戦闘法を、ただ生き残るために思い出す。あたりを見渡し、脱出できる隙間を探す。その間にもスケルトンナイトは距離を詰め、長剣を構えてくる。


直後、スケルトンナイトは地面を蹴り一気に間合いを詰めてきた。


『【反射の陣、鏡面】』


案内者の声が聞こえたと思ったその時、俺の足元から青白く光る魔法陣が現れた。瞬間、その魔法陣は俺の身体を護るように前後上方にも展開された。


スケルトンナイトの斬撃が跳ね返される。スケルトンナイトはその勢いに耐えきれず後ろに吹き飛び、壁に激しく衝突する。


何が起きたんだ。案内者がやったのか? 自分の意志で技を発動させるスキルなんて聞いたことがないぞ。


『創造者のスキルを活用し、拳銃を制作します』


案内者は俺の疑問を他所に、またスキルを発動させる。俺の手に青白い魔法陣が出現したと思ったら鉄の物体が姿を見せる。錬金術の一種なのだろうか? 


俺は錬成が終わったそれを持つ。直後頭にはこの拳銃とやらの使い方、性能が流れてくる。何なんだ? 頭が痛い。知らない情報が入ってくることに俺は気持ち悪さを感じた。


だが、これで勝てる。俺は入ってきた情報で確信し、使い方通り、拳銃を構える。俺の頭はまだ処理しきれてはいない。だが、


「絶対に勝てる」


この瞬間、何故か俺は勝てるという自信を持てた。



俺は立ち直ったスケルトンナイトに拳銃の照準を向ける。展開していた魔法陣が消えていく。


『さあ、ラウンド2だ。』


俺はスケルトンナイトにそう不敵な笑みを向けながら告げた。


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お知らせ

・第三話を大幅に書き直しました

・銀河戦争の騎士最新話近日公開予定

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絶望を味わった俺はこの世界を作った神に復讐を誓う @ranmaru10

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