ティア、今日の日記は?
4月◯日
朝、食堂に向かおうとしたらフリードリヒ殿下がドアの前で戸惑っていた。お話を聞くと、ジル殿下とルナ様がお話ししていて中々入り辛いとのことだった。そっと中を覗くと、確かに、仲睦まじいご様子だった。そっとフリードリヒ殿下とその場を離れた。
4月●日
カミリアさんが色々とちょっかいを出してきた。朝から苛々していたのもあり、つい売り言葉に買い言葉をしてしまった。フリードリヒ殿下にご迷惑をおかけしてしまった。今後は気をつけなくてはならない。
4月△日
どこから迷い込んできたのか、敷地内に黒猫がいた。黒龍団の訓練場に果敢にも入っていったものだから、団員の方たちは皆慌てていた。青い目をしていて、どことなくジル殿下に似ていたので、冗談で皆「ジル殿下」と呼んでいた。発案者の背後にいつの間にかジル殿下が立っていた。
4月▲日
休日だったけれど、ジル殿下のお側にいないとなんとなく落ち着かなかった。ので、いつも通り制服を着ていつも通り仕事をしていたら、ジル殿下に呆れた顔をされ、せめて私服に着替えろと言われた。しょうがないので城下町に出て、自分用の掃除用具やら事務用具を買った。ジル殿下は、私が買ったものを見て、また呆れた顔をなされた。
5月☆日
朝起きた時、少し夏の匂いがした。正確にはまだ夏には遠いが、なんとなく、そんな匂いがした。昔、フリードリヒ殿下がレモンを丸齧りして顔をものすごく顰めていたのを思い出した。あの時も確かこんな季節だった。
5月★日
前世の嫌な夢を見た。ヴィル様が目の前で殺される夢。
5月✖︎日
ここ最近夢見が悪くて、よく眠れていない。ジル殿下に心配されてしまった。あまり表に出さないよう、気をつけなければ。
5月◎日
今日は久々に良い夢を見れた。ヴィル様たちと一緒にお茶をする夢。きっと、ミリアス王女殿下が安眠作用の茶葉をくださって、ルナ様がお菓子をくださって、カミリアさんが話を聞いてくださって、ジル殿下が少し早めに仕事を切り上げるよう言ってくださったからだ。思えば、私は周りの人に大切にされているのかもしれない。感謝しなければ。
5月◉日
この日記帳も、このページで最後なので、買い出しのついでに城下町で日記帳を買ってきた。でも日記帳より、日記帳をしまうタンスを新しく買わないといけないかもしれない。この日記、入るだろうか。
「……これも随分書いたなあ」
パタ、と日記帳を閉じる。いつからか、紙に余裕がある人生の時は、こうして日記を書くことが癖づいている。
その時思ったこと、感じたことをただツラツラと書いていくのは、結構楽しいものだ。
「……これ、どこに仕舞おう」
日記帳でギッチギチになったタンスを想像して、思わずため息をついてしまった。
今度の休みの時、タンスを見繕おう。
アガペーの約束 W @ivgz8o-kj
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アガペーの約束の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます