第6話 一時帰宅と学校にて

※今回からの変更点として

・セリフのかっこの前にキャラクター名を表示するようにする

・視点を三人称に変更


セリフの前にキャラクター名を表示する例

例):焔「投稿はよしろクソボケ筆者」

主「なんで例で罵倒してくるんだよお前」

焔「今回お前が投稿何ヶ月もサボったからだろブ⚪︎アカの二次創作小説に浮気しやがって」

主「しょうがないだろ!あの作品は素晴らしいんだから!」

焔「理由になってねえよバカ野郎」

怜「はいはい、そろそろ本編行くよー」

主「おっとそうだった。ではお待たせしました。本編をご覧ください!」




 【時の山、黒柳心月の拠点にて】

焔「ただいま戻りましたー」

 

スカル「戻ったぜ!」

 

心月「お、お帰り。思ったより結構早かったね」


 赤い空が広がる夕暮れ、焔たちはテスト……死神との戦闘から帰ってきた。


 

(※回想

死神「どんなやつが来るかと思っていたが、流石は心月の弟子だな」

 

焔「ありがとうございます。そういえばスカルは……」

 

スカル「ここだ。こっちは余裕すぎてあくびが出るとこだったぜ」


 スカルの言葉を聞き、死神からとんでもない重圧が放たれる。

 

死神「ほう?では、今度は貴様と倒れるまでやり合うか?」

 

スカル「おっ!本当か!?」

 

焔「やめとけ死ぬぞ」

 

スカル「どうせ生き返るし、戦う機会逃すほうがダメだろ」

 

焔「バトルジャンキーかよお前は……」


 焔が頭を抑えてため息をつく。その様子を見ていた死神が重圧を放つのを止める。


死神「まあちょっとしたジョークだ。全く、昔はこの程度で体にガタがくることは無かったんだが……我も歳か」


 死神がため息をつきながら肩を抑えて腕を回す。何歳なのか一瞬気になった焔だが、なぜか思考が吹っ飛んでいく予感がしたのでぐっと堪えた。


死神「さて、とにかく合格だ。貴様たちの実力を認めよう。これからも己を磨き続けろ。慢心するでないぞ」

 

焔、スカル「はい!」


 2人ともピシッと腕を体の側面につけて大きく返事をする。

 すると死神が懐をゴソゴソと探り始める。しばらくするとスマートフォンが出てきた。


死神「せっかくだ。アットトークの連絡先を交換しよう。実を言うと我もずっと1人は寂しくてな」


 ※アットトーク……世界的に普及しているコミュニケーションアプリ。ハッキリ言うとこの世界のL⚪︎NE。


焔「え?いや、それは喜んで交換しますが、スマホとか使うんですね?」

 

死神「あぁ、というか今の社会、スマホが使えないとかなり不便だからな。まぁ正直そんなに慣れていないが」

 

スカル「というかアンタのサイズ感で俺っちたちと同じように使えるスマホってあるんだな」

 

死神「あぁ、これは神奈に作ってもらってな。面白半分で対物ライフルも余裕で防ぐ防弾性能や、水に浸けても平気どころか一瞬で充電がたまってそこかしこに放電する機能とかが付けられたスマホだ」

 

焔「スマホと呼ぶにはあまりにも強すぎる」

 

スカル「普通に兵器だろそれ」

 

死神「ちなみに最近の悩みは人間に返信したときにこのスマホが使えないからいちいち使い分けないといけないから面倒なことだ」

 

焔「そりゃ人間はこの大きさのやつ使えんわ」)



 そんなことがあり、試験官である死神に合格判定をもらったため無事に帰ってこれた、というわけだ。


心月「まぁお疲れ様。どうだった?テストは」

 

焔「一応は合格できました。ですが、おそらくかなり手加減されたうえで一回しか攻撃が入らず……力不足を感じました」


 しょんぼりとうなだれる焔の背中を心月がバシバシとはたく。


心月「あの人は僕が知ってる中で一番強い人だから、手加減されたとはいえ、一発入れられただけでも普通は凄いことだよ。だからそんなにへこまないで、ほら」

 

焔「……はい。ありがとうございます」


スカル「まぁ結局、合格したんだし今は素直に喜ぼうぜ。そっからあの人を超えられるくらい強くなれるようにまた修行を始めればいいだろ」


焔「……そうだな。また頑張るかぁ」


 焔がぐーっと体を上に伸ばしながら呟く。その顔は少し笑っているように見えた。

 弟子の様子を見て少し口元を緩ませると、心月がパンパン、と手を叩き、弟子2人の注意を自身に向けさせる。


心月「よし、じゃあ2人とも、そろそろ自分たちの家に帰ってね。焔は明日学校でしょ?」


焔「……だっけ?」


スカル「しらん」


 弟子2人の様子を見て心月さんがため息をつく。正直しょうがない気はする。なぜなら焔たちが修行を開始してから山の中では3年の年月が経っているのだ。ちなみに山の外では焔たちが山に入ってから3時間ほどしか経っていない。


心月「とにかく、一段落ついたんだから一度家に戻ろうか。いつ来てもいいように寝巻きとかの荷物は置きっぱなしでいいから、はよスマホとか取って帰りなさい」


 そういうと焔とスカルの背中を押して小屋のほうに向かわせる。2人は少し困惑しながら背中を押され、小屋に入っていった。




焔「……とまぁ、こっちはこんな感じだった」


海斗「へぇ、やっぱそっちも色々大変だったんだ」


焔「まーな、つっても話聞いてる限り、そっちのほうが何十倍と大変そうだと思うけどな」


海斗「いやーまぁ、いっても山の中を何十周と走ったり、大岩を数十メートル押したりとかを繰り返しただけだよ?あと筋トレ」


焔「お前人間か?あとなんで最後に筋トレをつけ足した」


海斗「え?いや、大事かなーと思って……」


焔「それだけなんか薄いんよ」


 そんな談笑をしながら通学路を進む2人。ぐーっと体を上に伸ばしながら歩く海斗を見て焔がそういえば、と口を開く。


焔「お前、だいぶ背伸びたよな。腕とかも太くなった気がする」


海斗「そうかな?でも焔も修行前に集まったときより背が伸びてるし、体がガッシリしてるように見えるけど?」

 

 時の山は山の外に出たとき、身体の年齢が山に入る前の状態に戻る。だが、身体の成長はリセットされないらしい。2人の成長具合がその証拠だ。

 そうこうしている間に学校へ到着し、下駄箱を開けると2人とも同様に中から小さなメモ用紙がぱらりと落ちてきた。


焔「ん?なんだこれ?」


海斗「あ、こっちもだ。紙みたいだな。どれどれ……」


 2人がそれぞれメモ用紙を見ると


【カスのF級どもが調子に乗んなよ?俺たちはお前らみたいなゴミと違うから(笑)】


 と、乱雑に書かれた文字が目に入ってきた。


海斗「……わざわざ手書き?」


焔「気にするとこそこじゃねぇだろ」


 2人は特に気にすることはないようだ。時の山での修行でメンタル面も強くなったようである。でもあのメモ用紙を見て真っ先に出てくる疑問が【なぜ手書きなことなのか】なのはおかしいと思う。


海斗「……どうする?これ?」


焔「まぁ、まだ様子見でいいんじゃないか?にしても、やっぱF級能力者ってなめられてるんだな」


 焔がメモ用紙をピラピラと動かしながら苦言を漏らす。それを聞き、海斗が少し困ったような表情で応える。


海斗「それはもうしょうがない気がするけどね。それより早く教室に行こう」


焔「そうだな」


 教室に向かいながら2人は話し続ける。話題はF級能力についてだ。


焔「そもそもなんで能力のランクによって差別が起きてるんだ?」


海斗「さすがにわからないけど……まぁ、欲求によるものなんじゃないかな?自分よりも下の存在がいると落ち着く、みたいなさ」


焔「ふーん……ま、法律で人権が守られてて良かったよ。これでF級能力者から人権はく奪されてたら俺ら奴隷だったぜ?」


海斗「確かに、法律はちゃんとしているのは救いだね」


焔「そういや、一般的にF級能力者とA級能力者ってどのくらい実力が離れているんだ?」


海斗「確か、A級能力者はF級能力者の50~60倍くらいの強さだったと思うよ」


焔「うえぇ......じゃあ今回の修行で他の級の能力者のスタートラインにやっと立てた感じなのか……?」


海斗「かもね。だからもっと頑張らないと」

 

焔「だな……っと、いつのまにか教室に着いてたな」


 実を言うと焔たち全員が腕の立つB級能力者と戦っても余裕で勝てるくらいの実力を持っているのだが……まぁ、やる気があるのは良いことだから放っておこう。

 焔たちが教室に入ると、ワイワイと話していたクラスメイトたちが話すのをピタリとやめ、焔たちを見ながらヒソヒソと話し始めた。


焔「なんかみんなこっち見てヒソヒソ話してっけど」


海斗「……まぁ多分陰口叩かれてるね」


焔「教室に入る前は教室の外からでも分かるくらいには賑やかな話し声が聞こえてきたのに、あんな示し合わせたみたいにみんなで陰口叩き始めることあるんだな」


海斗「だね……ん?なんか机に入ってる」


焔「え?お前の読書用の本とかじゃねぇの?」


海斗「いや、少なくとも本では無いと思うけど……」


 海斗がゴソゴソと机を探り、先ほど話していた謎の物を机から出す。それは


海斗「……ネズミ?」


焔「だな、死んでるやつ」


 大量の傷がついたネズミの死骸だった。海斗が机から出すと、クラスの一部の生徒がクスクスと笑い、死骸にはハエが近寄ってくる。


海斗「これ死因なんなんだろうね」


焔「さっきもだけど気にするとこそこじゃないだろ」


海斗「え?あー!そういうことね。これやった奴はなんでこんなに手間をかけた方法で俺らにイタズラしてくるのかってことでしょ?」


焔「もうなんなんコイツ」


 海斗のボケに焔がため息混じりにツッコむ。海斗がネズミの死骸を机の中に戻したとき、他にも何か入っていることに気づく。


海斗「あれ?まだなんか入ってる……」


焔「まだあんのかよ……」


 焔が呆れたように呟くと、海斗が机の中から生きてる芋虫やミミズ、ムカデやカエルの死骸、その他色々な小さい生物の死骸が海斗の机に入っていた。


海斗「……なんでわざわざこんなに手間をかけてるんだろうね」


焔「ちょっと俺もそれ気になってきた」


 これだけの死骸や生きてる虫などを集めて机の中に入れるのはやるほうも中々大変……というか苦痛だと思うのだが

 

 そんなことが朝にあった訳だったが、その後は特に何事もなく……いや、体育着に泥がつけられていたり、ロッカーに生ゴミが入れられていたりはしていたが、2人は特に気にすることなく処理していたので実質何もなかったと言っていいだろう。ウン。

 焔が家に帰宅し、ソファに体を預けていると、焔の父【霊松 鏡平(たままつ きょうへい)】が話しかけてきた。


鏡平「おぉ、帰ってきてたか」


焔「結構前にね。そういえばさ、父さんは学生の頃とかいじめに遭わなかったの?」


鏡平「どうした?急にそんなこと、なんかあったのか?」


焔「いや今日学校でさ、いじめ……というか嫌がらせされてさ。主に海斗がだけど。で、父さんも元々はF級能力だったんだしなんかいじめとかあったのかなーって思って」


鏡平「あー、そうだな……」


 焔の言葉に、手に顎を添えて考える素振りを見せる。


鏡平「学校で飼っていた鶏の片方の羽をもいだ罪をなすりつけられたり、他校とのケンカに無理矢理1人で連れてかれて、俺だけ置いてかれたりしたことくらいかな?」


焔「なんかレベルが俺のと違くない?」


鏡平「ちなみに前者は神奈さんに過去を見れるメガネを作ってもらって無実を証明して、後者のほうは俺1人で普通に全員制圧したよ。30人近くいたけど」


焔「サラッとすごいこと言うじゃん。そういえば神奈さんって誰?死神さん……俺とスカルに試験をしてくれた人も言ってたけど」


鏡平「時の山の住人の1人だよ。電気を操る能力で、機械製作がすごく得意な人なんだ」


焔「ほうほう、電気を操る能力で、機械製作が得意……ん?怜?あれ?」


 焔が鏡平から言われた【神奈】という人の特徴が怜に一致しすぎて混乱している。当たり前の反応である。


鏡平「まあ、時の山にいたらいつか会えると思うぞ。んで、明日は祝日なわけだけど、一緒にどっか行くか?」


 いや、と言いながら焔がソファから飛び起きる。


焔「もうちょい時の山で鍛えてくる。さっきグループトークでみんなに聞いてみたけど、みんな山でもうちょっと鍛えるってさ」


 自身の目を見てハッキリと言う焔の姿を見て、鏡平が呆れたようにフッと笑う。


鏡平「わかった。じゃ、心月さんに迷惑かけないようにな」


焔「分かってるって。ちょっと軽く荷物まとめてくる」


 焔が自室に向かっていき、1人部屋に残された鏡平が机に置いてたペットボトルのコーヒーを一口飲むと、そういえば、と何かを思い出した。


鏡平「心月さん、自分の過去とか能力について焔に言ったのか?……いや、あの人はそんな簡単には言わないか……結構、きつい過去だしなぁ……」


 そう独り言を漏らすと、再びコーヒーを口元に持っていく。どうやら黒柳心月には、何かしら重い過去があるようだが、それが明かされるのは今ではないようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る