第13話 ダンジョン攻略(もしかしたらRTAかもしれない)

 よお読者の諸君、石上継だ。

 今回の話は俺がナレーションをするからよろしく頼むぞ。まあちょっと緊張してるけど温かい目で見守っていてくれると助かる。さて、そろそろ始めよう。


 焔たちはいつものように学校へ向かう。正直学校の時間が最近では一番ストレスになっているだろう。まあ当たり前のことだろうが。

 そうこうしているうちに昇降口についたようだ。ここ最近はいつも上履きに何かしらのイタズラをされるらしいからそろそろ処理するのも面倒になってきていそうだな。

 焔が下駄箱を開いて靴の中を見ると...特に何かされたわけでは無かった。

 こういう日もあるんだなと思いつつ足を進め、教室に着くと、焔と同クラスの海斗、怜にどっと憂鬱な感情がのしかかる。しかしこんなところでずっと立っているわけにもいかないため、教室の扉を開ける。しかし、若干の違和感を覚える。

 何もされていないのだ。今まで連日いやほどイタズラしてきたのに、ここで急にピタリと止むのは流石におかしい。

 放課後も特に何もされなかった。いや、当然か。

 今日、いじめっ子グループは学校に来ていなかったのだ。噂によるとズル休みだと言われているが、本当かはよく分からない。ただ、なんとなくだが確実にいじめっ子グループは何か良からぬことを企んでいる。そう感じつつ、焔たちは学校を後にした。


 【時の山】

 もう定番化したこの山にいつものように訪れた焔達一行だが、どうやら少し集まって会議をしているらしい。ちょっと覗いてみるとしよう。


 「...んで、俺らのクラスも風花たちのクラスも今日はいじめっ子グループは学校に来てなかったと...怪しいよな。」

 「まあ明らか怪しいよね。何企んでんだか知らないけどとりあえずは用心しとくように。俊とマリン含めて。」

 「うっす、もちろん分かっるっす。」

 「わかってるよー。一応あたしも俊も戦えるとしても武力行使は最終手段だしね。」

 「分かってるなら良い。んで今回集まってもらった理由なんだが、これからも奴らは金銭を要求してくると思う。だからダンジョン攻略で金を稼ごうと思うんだ。」

 「賛成賛成。でかいやつブッ飛ばしたい!」

 「私も素材は欲しいから賛成だね。」

 「これ以上両親に迷惑をかけられないだろうし良いかもですね。」

 「...別にどうでも。」

 「俺もキメラの力を試してみたいし行きたいっすねぇ。」

 「私も戦いたーい!」

 「オレっちも!」

 「我もだ。」


 どうやら全員の意思は一致しているようだ。


 「よし、なら決まりだな。今からギルドでダンジョンの侵入確認書もらいに行くぞ!」

 「「「「「「「「おう!」」」」」」」」


 【ギルド】

 中は綺麗に整えられており銀行のような印象を受ける。楽しそうに話し合う声や真剣な口調で話す声、時には喧嘩のような声も聞こえてくる。

 焔たちは入ってそのまま受付に直進し、ダンジョンの侵入許可証を貰おうとするのだが


 「...君たち、ダンジョンは遊び場じゃないんだよ?漫画とかテレビとかに影響されたのかは知らないけれど子供が遊び半分で入って良い場所じゃないんだよ。」


 と、馬鹿な子供に諭すように言われた。まあ当然の対応だろう。

 しかし、ここで引き下がるわけにはいかない

ため、焔が受付の女性を説得し始める。


 「ダンジョンが遊び半分で行って良いところではないことは十分理解していますし、僕たちは遊びに行くわけではないんですがそれでもダメですか?」

 「...君たち、死ぬよ?」

 「ダンジョンでは生と死が隣り合わせなことだって理解しています。それを理解した上で僕たちはダンジョンに行こうとしているんです。」

 「...はぁ、ならもういいや。許可書を出しましょう。あと適当に団体名も考えといてね。」


 受付の女性は何かを諦めたかのように書類の準備をし始めた。ちなみに団体名は俺らは今全員狐のお面を持っているので『Foxes』と言う団体名にした。しばらくして書類の記入が終わると受付の女性がプラスチックのタグがついたキーホルダーを渡してきた。


 「それをダンジョンの入り口にいる警備の人に見せれば通してくれるから無くさないようにすること。じゃあくれぐれも無理しないよう

に、気をつけてね。」


 と言い、手を振って見送ってくれる。


 「えぇ、ありがとうございます...もともと、死ぬ気はないけどな。」


 焔が小声で言い、ギルドを後にした。


【ダンジョン】

 焔たちはしばらく空を飛び、ギリギリ大車市外のダンジョンに到着した。洞窟型のダンジョンであり、入り口には工事現場などにある黄色の柵のようなものが設置されている。


 「あの、すいません。ダンジョンに入りたいんですが。」

 「あ?ここはガキンチョが入って良い場所じゃねえんだよ。帰った帰った。第一、ギルドで侵入許可は貰ってきたのか?」

 「はい、受付の人にはこれを見せたら良いって言われましたけど。これでもだめですか?」


 そう言って警備員にキーホルダーを見せる。すると警備員は驚いた表情を見せる。


 「ふーん、許可をもらっているのか。なら俺に止める義理はねえな。」


 警備員はポケットからリモコンを取り出しボタンを押すと入り口の柵がひとりでに動き、人が通れるようになった。こんなことができると

は思わなかったな。


 「ほら、さっさと行ってこい。せいぜい死ぬんじゃねえぞ。」

 「ありがとうございます。行ってきます。」


 そう言って焔たちはダンジョンの中に入ったのだが、進む前に怜がワイヤレスイヤホンのような機械を全員に1つずつ手渡してきた。


 「ほい、ダンジョン攻略の前に渡しとくわ。これは通信機器で、機能としては通信、物体の転送、他の使用者のところや事前に登録していた場所へテレポート、敵の能力の鑑定、暗視や水中で呼吸ができるようになる魔法を使用者へ付与ってとこかな。あ、ちゃんと防水だから安心してね。」

 「お前の科学力が安心して良いのかわかんねえよやばすぎて。」

 「さっさと行こうよ、はやく敵殴り飛ばしたいんだ。」

 「...拳バカ落ち着いて。」


 個性豊かな会話をしてからスタスタと学校の廊下を通るくらい軽いノリでダンジョンを進んでいく...大丈夫か?まあこんくらいのほうがいざ敵が現れたとき怯えたりはしなさそうだな。

 ずっと進んでいると前から緑色の肌をした小さな人間のような怪物が現れ、嬉々として突っ込んできた海斗によって思いっきり壁に蹴り飛ばされた。出オチがすぎるな。


 「海斗動くの速すぎだろ。しかも手よりも先に足が出てるし。」

 「...あんだけ言っといて蹴り...」

 「だまらっしゃい結局は倒せたらそれでいいんだよ。それよりこいつはどうしようか?」


 ちなみにゴブリンは確実に絶命してるっぽいな。


 「うーん、核だけ取っちゃうか。何もせず1時間放置したら多分自然消滅するだろうし。」

 「へー、とても便利ですね。死体が残らないなら環境に良さそう。」

 「いや殺してる時点で環境にはマイナスじゃないか?」

 「おーい、もう核取れたっすよー。さっさと次行きましょー。」


 その声を聞いて焔たち一向は先へと進んでいく。少し魔物について説明しとくか。


 魔物は自然環境で勝手に生まれることが多く、魔物の発生には『魔素』と呼ばれる物質が必要なのだが、ダンジョンには外と比べて段違いで魔素が多い。そのためたまに大量発生して人間に襲いかかって来ることがあるみたいだな。今みたいに


 「は?」


 えーと焔たちはぐんぐん奥へ進んでいってたのだが、目の前にはゴブリンの群(約25匹ほど)いるな


 「多くね?」

 「多いね明らか」


 初めて見る魔物の大群に流石に焔たちも困惑してるな。スカルや龍介は別に驚いてないようだな。さすが魔物。


 「それで、どうする?あれ。殴り飛ばそうにもあの量はちょい面倒だよ。」

 「...私に考えがある。風花、ちょっと石ころ作ってくれる?投げやすいなるべく球体のやつ。」

 「えっうん、大丈夫だけど何をするの?」

 「作ってくれた石を対戦車榴弾にして群れにぶん投げる。」


 ?????は?


 「おいナレーターがめちゃくちゃ困惑してるぞ。」

 「そういえば、私たちの2つ目の能力についてはまだ説明していませんでしたね。少し説明してもらいましょうか。」

 「...どうせ筆者が継に台本渡すだろうから説明はあっちに丸投げしよう。」


 いや、んなもんもらってな...あ、なんか紙が来た。これか。えーとなになに...


【風花とアイレの2つ目の能力】

風花の2つ目の能力【創造】A級能力

効果

頭に思い描いた物体や魔法などを現実に具現化することができる。


アイレの2つ目の能力【なりきらせ】A級能力

効果

物体に別の物体の性質を持たせることができる。例:その辺の石ころをC4爆弾にしたり、ただの木の枝を日本刀と同じくらいの耐久力や切れ味を持たせることができる。


 うん、やばいな。使いようによっては日本を終わらせられるぞこれ。


 「...そういうわけだから風花、石ころちょうだい。」

 「分かった、2つくらいで良い?」

 「...ん、そんくらいで。」


 風花の手から少しだが光が現れる。光が収まるとそこには投げやすそうな丸みを帯びた石が2つ手に乗っかっていた。


 「...ん、さんきゅ。それじゃあ...」


 風花から石を受け取ると、投球のモーションに入る。周囲に少しだが風が吹き、衣服や髪を揺らす。


 「だりゃ!」


 振りかぶって投げられた石は弾丸のように一直線に敵の群れへと向かっていく。投げた反動だろうか、後ろで見ていた焔たちの服や髪が大きく揺れるほどの衝撃波が発生した。

 やがて敵の一匹に石がぶつかると激しい光を放ち、大爆発を起こした。辺りに焦げた肉の匂いが漂い、パラパラと壊れた壁の破片が落ちる音が耳に届く。


 「...ダンジョン壊れかけてないか?これ」

 「まあ一部分が傷ついただけだろうしダンジョンって丈夫なイメージあるし大丈夫大丈夫。」


 怜はこう言っているが、俺の予想だと海斗が全力で壁を蹴ったら一部崩落が起きると思う


 「最悪オレっちの能力でエネルギー逃がすから心配ないぜ!」

 「点操作ってそんなに万能なんか?」

 「まあ点なら基本的にはなんでも思い通りにできるからな。」

 「中々チートだねー...」

 「ここで無駄口叩いてる暇があったらさっさと行くぞ。」


 と、龍介のせかす声で魔核を回収し、さっさと奥へと進む一行。


 ちなみに魔核はモンスターの心臓のようなもので、ちょっとやそっとの衝撃では壊れない丈夫な物質だ。どう考えても最初に出すべき情報だっただろ筆者の頭はどうなってんだ。

 そんなこんなで一層の最奥地に到着した一向は二層目へと続く階段を下っていく。

 今焔たちが入ってるような洞窟型などの下へと続くダンジョンは基本的に延々と下へ下へと続いており、大抵の下へと続くダンジョンの階層は100層を越えているものが多い。

 ちなみにだが上へと続くタイプのダンジョンは最上階にとんでもなく強く、恐ろしいモンスターがいるとのことで基本的に立ち入りが禁じられているため、特別なことが無い限りは人間が入ることは無い。

 というか長時間説明してるうちにもう三層目行ってたんだが速くないか?


 「まあ上のほうの魔物の素材はありふれてるから魔核くらいしか取るものがないんだよね。」

 「これカットされるやつだろ。」

 「まあ致し方ないであろう。」


 というわけだからカットするんだが、まあカット後は大体20階層くらいからになるかな。



 数時間後...

【85階層目】

 おい、なんでこんな進んでんねん。

 しかも何が驚きかってダンジョンって5階層ごとに中ボス、10階層ごとにボスがいるのに数時間でここまで来てるってことなんだよな。


 「まあ50階層目らへんからズルしたからね。具体的には50階層まではちゃんと敵を倒して進んでたんだけど50階層から風花の能力で瞬間移動できるゲートを作る魔法を創造して下に行っただけだよ。まあ中ボスとボスを倒さないとそれ以上下の階層にゲートを繋げられなかったから中ボスとボスは基本的に全部倒したけど。」


 うん、ちょっと引いてるわ。...さて、こっからの探索は次回に回そうか。では諸君、また次回会おう。


 一同「じゃーねー!」

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