第11話 怪しい薬と怜の試験(怜視点あり)
皆さんこんにちは。清歌です。今回の担当は私になったのですが少し緊張しますね…。あ、私のナレーションは全体的に敬語なのでもし嫌だなーと思ったら敬語をはずすようコメントで促していただけると幸いです。
それでは焔さんたちのの様子を見ていきましょう。
清々しい快晴の中、焔さんたちはいつものように学校に向かいます。しかし何も起きないはずもなく、上履きには画鋲、机には荒い文字で暴言が書かれており、怜さんは教室に入ったタイミングで足を引っかけられて転んでしまいました。
焔さんたちは自分の心の中から溢れ出る怒りを感じつつ放課後まで過ごしました。
放課後になりましたが何事もなく帰れるはずもなく…
「おい、霊松、天鳥、約束の金は持ってきたんだろうなぁ?」
体の大きいいじめっ子が焔さんと海斗さんをおどします。
「ごめんなさい…10万も用意なんて出来るわけな…うッ!」
体が大きいいじめっ子が焔さんの腹を殴りました。それを受けて焔さんはその場にうずくまります。
「おいおいおい、テメェは約束すらまともに守れないのか?テメェみてぇな無能はただただ金を俺たちに渡して俺たちみたいな強者のサンドバッグになってりゃあ良いんだよ。」
他のいじめっ子も加わってリンチが始まりました。これはしばらくかかりそうですね…
時間があるのでたまには怜さんの様子も見てみましょう。
「上月あんたさあ、何回言ったらわかるわけ?あんたみたいなのがいると私たちの価値が下がって迷惑なのよ、だからさっさと消えてって言ってんの。」
「本っ当に迷惑、さっさと消えてよゴミ女。」
「「消えろ!、消えろ!、消えろ!」」
「ごめんなさ…ッ!」
ありゃりゃ…これは中々ひどいですね。
女子トイレの中、女子生徒4人組に怜さんが囲まれ、怜さんの頭にトイレットペーパーがかかり全身が濡れています。ちなみに今は女子生徒たちが怜さんを全員で踏みつけています。
「えーなにーwなんて言ったか聞こえないんですけどーw」
「もっとはっきり言えよw。あ、そうか。ゴミだから口がないんだーw」
「「「「アハハハハハハハハwww」」」」
はい、どうせ見るに耐えないリンチが続くだけなので少し飛ばしちゃいましょう!
放課後のいじめが終わり、焔さんたちは時の山にやってきました。今回は怜さんの様子を見てみましょう。
「これを入れてこうしてっ…と。よし、あとはこれを入れて...」
怜さんは白衣をはおり、少し怪しげな液体やら物体やらを入れていました。どうやら薬を作っているそうです。
この世界にはダンジョンと言うものがあり、そこから産出される資源を利用して魔物たちに対抗するための武器や道具が作られています。その中でもポーションと言う薬があり、飲むと様々な効果を得られるものがあります。おそらく怜さんはポーションを自作しているのだと思います。大体の有名なポーションはレシピを見れば普通に作れるので今怜さんが作っているのはオリジナルのものかとてもレアなものだと思います。中学生なのにすごいですね。
「…よし、問題なさそうだね。そんじゃあ俊を呼んで人体じっkゲフンゲフン、俊に振る舞おう。」
今何か危ないことを言っていたような気がしますが気のせいでしょう。多分。
さて、研究室から怜さんが出てから少し経って、怜さんが俊さんを連れて戻ってきました。俊さんは少し不安そうな表情を浮かべています。
「ねぇ姉さん、今すぐ帰って良い?」
「ダメ」
「とゆうか何で俺が呼ばれたのさ。」
「ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれた。今回俊を呼んだのはこの薬を振る舞うためだ!」
そう言って怜さんはさっきまで作っていた薬を掲げます。
薬は緑色で、ぐちゃぐちゃに混ざり合い、所々光を反射して白く光っていました。まあ言えばスライムのような感じです。
「薬って振る舞うものじゃないでしょ。とゆうか俺はそれをどう使えば良いの?」
「飲んで」
「嫌だ」
「ダメ」
「帰って良い?」
「ダメ」
「いやいやいや、こんなの人が飲む物じゃないって!」
「大丈夫味はメロンソーダだから。」
「いや味の問題じゃなくてこれ飲んだら何がおきるのさ!」
「じゃあ説明すると、この薬にはドラゴンとスライムと知り合いの魔人のDNAを混ぜて、そのDNAの効果がちゃんと出るように体の形質を作り替えるのを促進するやつを入れて、それらが調和するように調整した私特製の薬だよ。」
「うん、怪しさがこれでもかというほどに伝わってきたよ。じゃあ俺は帰るk」
帰ろうとした俊さんの首元を怜さんがガシッと掴みました。
「ダーメ(^^)」
「ふーざけんな」
「我が弟よ、圧倒的な強さというものは必ずしも地獄のような修練でのみ得られるものじゃあない。科学の力だって強さを手に入れるための一つの手段となりうるのだよ。」
「なるほど、帰って良い?」
「ダメです。」
「とゆうかさ、何で俺に飲ませようとするわけ?姉さんが飲んでも別に良いでしょ?」
「いや、これは俊のために作ったものだから。私たちと同じようにいじめられてほしくないからね。」
「…姉さん…」
「あとこの薬のデータの記録をちゃんとまともな状態で取りたいから。それ飲んで暴走しないとは限らないし」
「なんか俺のためにやってくれたのかと思った自分をバカだと言いたくなった。」
というか今更ですけれど知り合いの魔人ってどういうことなんでしょうか?怜さーん、ちょっと教えてもらっても良いですかー?
「ああ、そういや私の試験の様子は読者の皆さんは知らないんだったね、少し説明するよ。」
「えなんで当たり前のように天の声が聞こえてんの?」
「あれは私がまだ修行をしていたころだった…」
―――――――――――――――――――――
(怜視点)
「よーし怜、これから簡単な試験を行うから話を聞いてくれ。」
濃い黄色のショートヘアーで瞳は青く、白衣を着た我ら姉弟の師匠 山吹 神奈(やまぶき かな)が打ち合いをしていた私と俊を集合させて話し始めた。
ちなみにだが俊もマリンも修行に参加しているうちに能力が発現したため普通に戦えるレベルだ
「試験ねぇ…先生と戦うの?」
「いや、試験の内容はこの宝玉をとある人物に届けて欲しい。」
「なるほど、おつかいっすか。ちなみにそれって僕も行って良いんすか?」
「俊はここに残ってもらう。それでこれが宝玉と、届ける場所の地図だ。無くさないようにね」
先生は黄色い宝玉と地図を渡してきた。どうやら届け先は山にあるっぽいが結構詳しく書いてあるため分かりやすい。
「まあじゃあさっさと行きますか。」
大空へと向かって飛翔する。気持ち良い風が私の髪をなびかせた。
―――――――――――――――――――――
約15分後、地図に書いてあった場所と思わしき場所についたのだが…
「…デッカ」
その建物は7階建てほどのマンションくらいの大きさで家というよりもダンジョンとゆう感じがした。
建物の前で呆然と立っていると、突然閉ざされていた入口が開いた。入れ、とゆうことなのだろうか。
「だとしたら行くしかねぇよなぁ!よっしゃ行くぞー!」
私は自分のテンションを上げ、建物の中に入った。
まずは1階層、石造りの壁で囲われた内装は遺跡らしさを感じさせる。
道を進んでいると突然、4時の方向からエネルギー弾が飛んでくる。私がそれを難なくかわすと今度は片手剣を持った機械の人形が切りかかってきた!まあ余裕で所持している剣で防御するんですけどね。
余裕があるとはいえ流石にもう10体以上伏兵がいたらこちらが押し負ける。とにかく敵の数が知りたい。
「【スキャン】」
私は能力を使って電気の信号を探す。しかし信号は目の前の奴ともう一つしかない。おそらくもう一つはさっきエネルギー弾を放ってきた奴だろう。
スキャンから逃れられる機能を持った個体がいる可能性はあるが、今は考えなくても良いだろう。さてと
「さっさと倒すか。」
私は足に力を入れ、思いっきり地を蹴る。そのまま剣の間合いに入ると横一文字に剣を薙ぎ払った。
剣を持った機械人形の首が跳ね飛び地面に転がった。あともう一体だ。
私は手をピストルの形を作る。指先に電気エネルギーが集約していく。
「【スパークショット】」
人差し指からバレーボールほどの大きさの電気の弾が放たれ、ものすごいスピードで飛んでいく。荒い金属音が響き、続いて機械人形が倒れる音が聞こえる。どうやら撃破できたようだ。
「んじゃ、このままどんどん行きますか!」
2階層目
先ほどとは少し違く機械人形(犬型)が3体現れた
「はいドーン!」
バランスボールほどの電気弾を放ち、犬型機械人形を吹き飛ばした。
3階層目
盾を持った機械人形と背中にミサイルを背負い、右手がガトリングガンのようなものになっている上位種らしき機械人形が現れた。上位種機械人形は躊躇なく右手の銃を撃ってくる。
「おっととと、危ないなっ!」
グレネードのように爆発する電気弾を放ち、上位種の動きを一瞬止めた。その一瞬で斬りかかりに動く。右手に握った剣が電気を帯びた。
「【雷切り・大蛇】」
電気を帯びた剣が大きく薙ぎ払われ、盾持ち2体、そして上位種の首を瞬く間に切り落とした。
そして時が経ち6階層目…
自分の5倍ほどある大きな扉を開けると、中には大きな黒いドラゴンが鎮座していた。
「グルルルル……」
「こーれは本気でやるしかないかー」
私は剣を構え、ドラゴンと向き合う。
深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、ドラゴンに向かって一直線に走る。
対してドラゴンは飛翔し、電気のブレスを放ってくる。
それを横に移動して回避したあと思いっきり地を蹴り跳躍し、斜め前に急降下する。
「せやっ!」
力を込めて剣を振るが、ガギィィィン!!と金属が衝突するような音が響き、剣が弾かれる。全く効いていないようだ。
急いで後ろに飛び、ドラゴンから距離をとる。電気ブレスが放たれるが縦横無尽に空を飛び回避する。
やがてブレスが止み、一瞬の隙が出来る。それを活かしてドラゴンの上を取り、目にも止まらぬ速度で急降下する。
「【雷切りNo.4・狂雷樹】」
雷を帯びた私と剣は、そのままドラゴンの体を貫き、地面に接触したとき、電気がまるで竜巻の如く巨大な渦を成して吹き荒れ、その後渦と化した電気は小規模な爆発を繰り返し起こした。
ドラゴンは体にぽっかりと穴を空けて倒れた。なんとか倒すことができたようだ。
「はーなかなか強かったなー。んじゃこのでっかい扉開けるかー。」
私はドラゴンの後ろにある入り口の扉と同じほどの大きさの扉を開け、先に進む。少し進むと上へと続く階段を見つけ先に続ける。
7階層目
少し進んだ先にあった扉を開けると、コンピューターに囲まれた部屋の中に青髪の男がいるのを見つけた。
男は髪が上に立ち、ちくちくしており、目つきは少し鋭く、瞳は暗い黄色に染まっている。また、体格は普通でスラリとしていながらもどこか筋肉質な感じがした。
「よぉ、楽しませてもらっていたぜ。」
「…これ私の様子をディスプレイ越しに見ていたんだよね?見せもんじゃないんだけど。」
「まあそんくらいは許してくれよ。んで、宝玉は?」
「ああそうか、はいこれ。」
私は宝玉を男に手渡した。
「よしサンキュー、これで合格だ。神奈に報告しに戻れ……と言いたいところなんだが」
「え?」
「少し俺と手合わせしろ。お前の実力をこの身で体感したくなった。」
「はぁーどうせ断れないだろうから良いですよ」
呆れつつも私は戦う気マンマンであった。
「よっしゃ感謝するぞ。場所はさっきお前とドラゴンが戦ったところ」
「あーあそこですか、了解。」
ドラゴンの部屋
部屋の主を失い静寂に包まれている。
そんな中、私と男は距離をとって互いに戦闘体制をとる。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は雷の魔人、『ゼルス』だ。」
「上月 怜です。さっさと始めましょ。」
「言われなくてもだっ!」
ゼルスがギリギリ目で追える速度でこちらへと突っ込んできた。私じゃなかったら目で追うことはできないだろう。
「そこ」
キィィィィン!!と金属質な音が響く。上手く受け流せたようだ。すぐに飛翔して距離をとる。
「エレキターボ」
自己強化魔法を発動してゼルスの方へ向かう。何発か電気の弾を放っているが全て避けられる。弾速重視で何発か放ってみるがそれも簡単に回避されてしまった。
「良いぞ!中々のスピードだ!これは戦い甲斐があるなぁ!」
ゼルスは楽しそうに言いながらこちらへ突っ込んでくる。
刹那、剣と剣がぶつかり合い金属の音が響き渡り、衝撃波で衣服や髪が揺れる。
「くっそ、やっぱり防がれるか…。」
「もっとかかってこい。お前の力はそんなもんじゃねぇだろ?」
「言われなくとも!」
交差していた剣を弾き、再度ゼルスに突っ込む。剣がぶつかるが攻撃が止まらないように無理やり押し切って攻撃をつなげる。
1、2、3、4、5、6、7、8、攻撃を繰り返して相手の隙を狙い続ける。
しかし相手は平然と攻撃を捌き続ける。このままじゃいつまで経っても隙は生まれないだろう。こちらがジリ貧になってしまうのは確定だ。なら
「やるしかないか」
攻撃を思いっきり弾き、フラッシュバンがわりの電気弾を放って出来た一瞬の隙を使って距離を取り、
「…よし出来た。」
私は電気で剣を作り、左手に持つ。二刀流だ。
「これで攻め切る!」
地面を思いっきり蹴りゼルスへ一直線に突っ込み一発、そして左手で二発目を放ちそのまま攻撃のペースをこちらへと向ける。
二つの刃がゼルスを襲う。だんだんと捌けなくなり、ついにゼルスに大きな隙が生じた。
これを逃すわけにはいかない。
「【雷切りNo12・スターフラッシュ】」
今私が出せる最高速度でゼルスへ攻撃する。剣が一閃し、なんとか攻撃を防いだゼルスが壁に激突する。ぼろぼろと壁の破片が落ちると、その後ゼルスの体もずり落ちる。
剣を納め、ゆっくりとゼルスに近寄るとゼルスはゆっくりと体を起こす。
「あー痛って。お前ちょっとやりすぎだわ。」
「まあ正直それはごめんなさい。んで合格で大丈夫ですか?」
「あぁ、文句なしで合格だ。それと敬語はやめてくれ。」
「了解。改めて対戦ありがとう。」
「あぁ、ありがとな。楽しかったぜ。」
「っていうのが知り合いの魔人についての話とゆうか私の試験の話ね。」
なるほど、よく分かりました。じゃああの薬はスライムとゼルスさんと…あれ?ドラゴンのDNAはどこから採取したんですか?
「ドラゴンのDNAについては龍介からもらったよ。髪の毛と血液をいくつかね。」
はえーなるほど分かりました。それでその薬、今アイレさんが俊さんに飲むように脅してますけど大丈夫ですか?
「まじ?」
はい、いつのまにか研究室に来ていたアイレさんが俊さんの首元を掴んで微笑みながら飲めと脅しています。
「俊、飲め。」
「嫌すっよ!離してくださいっす!」
「飲め。」
「だから嫌だって!ちょ、姉さん助けて!」
「我が弟よ、おとなしくその薬を飲め。大丈夫だ命の保証はする。」
「味方がいねぇ!あーもうわかったよ飲むっすよ!飲む!だから離せ!」
「…ありがとう俊、あとでグミ買ったげる。」
アイレさんが俊さんの頭を優しく撫でました。
「よしよく言った我が弟よ!私からもコーラを送ろう。」
というわけで怜さんお手製の薬を飲むことになった俊さん。果たして何事もなく終われるのでしょうか。
次回へつづきます!
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