第6話 世間の風あたり


 テスト終了後、俺たちは一度家に帰ることにした。いつものメンバーに修行から帰ってきたら連絡するようにグループチャットにメールを打つと風花とアイレからはすぐに連絡が来て、10数分後には海斗と怜からも連絡が来たので、全員生還出来たことにほっとしつつ次の日を迎えた。



 それで今は学校の教室で読書をしているのだが、やはりと言うべきか、クラスメイト達は俺や海斗、怜を見るなりヒソヒソと話をしている。俺達の陰口をいいあっているのだろう。



 それまではまだ良かったが、放課後に事件は起きた。


 「おい霊松、天鳥、ちょっと屋上まで面貸せよ。」


 クラスの陽キャの男子軍団が放課後に屋上に来るように俺達を呼びつけてきたのだ。怜もクラスのカースト上位の女子達に囲まれている。



 俺と海斗は屋上にくるとグループの一人がニヤニヤ笑いながら俺を殴った。


 「ぐっ...」

 「焔!あがっ...」

 「おいおいそんな騒ぐなよ、誰か来たらどうすんだよw」


 海斗の腹を蹴った男子生徒が俺らを見下ろしながら言う。すると突然俺の頭に液体がかかった。


 「お前にガソリンをかけた。これで能力を使って逃げることはできねぇ。さあ、たっぷり遊んでやるよw」


 陽キャ軍団達は一斉に俺達2人の頭や体を踏みつけ始める。


 「ぐっ...やめ...」

 「やめてと言われてやめる人間がどこにいんだよw」

 「でも夏向くんガソリンかけたことをちゃんと言うの優しいなーw」

 「俺は善人だからなーwこいつらが無能の雑魚でも燃えて死なれちゃ悲しくなっちゃうからなーw」

 「さすがだなーwおい霊松、『僕たちに情けをかけて下さってありがとうございます』って言えよwほらw」

 「洸君それ最高w」

 「「「「「ヒャハハハハwww」」」」」


 笑い声が耳に響き渡る。陽キャグループ全員が俺達を見下し、嘲笑う目をしていた。





 数十分経ち、陽キャグループ達は屋上から出て行った。


 「じゃあな、無能の雑魚2人w明日もたっぷり遊んでやるよw」


 陽キャグループ達は笑いながら屋上を去っていった。

 数分経ち、無言の状態だった中、海斗が口を開いた。


 「黙っていりゃこのザマか。もうさっさと殴り飛ばしたいんだけど。」

 「待て待て海斗、昨日メールで話した計画通りにやらないと。」

 「わかってるわかってる。今は耐える時間だ。まぁ必ず報いを受けさせるけどな。」

 「あぁ、もちろんだ。」


 そうして立ち上がり互いに姿を見ると腕などが所々赤くなっていた。


 「そういや怜達は大丈夫かな。」

 「今日の夜グループ通話して今日大丈夫だったかとか話し合うか。」





 夜8時頃、グループ通話を開始した。


 「おっすー、それぞれ今日何があったか言っていこう。まず俺と海斗だがクラスの陽キャ達にガソリンぶっかけられた後めっちゃ暴力を振るわれた。以上!」


 「ガソリンぶっかけられたはちゃんと対策されとるやんけw」

 「こちとら笑い事じゃないんだけどな。というか怜、そっち大丈夫だったのか?」

 「いや、全く大丈夫じゃないね。というかこっちもほとんど同じだよ。風花達は大丈夫だった?」

 「私達も同じ感じですね。アイレちゃんと一緒にやられました。多分ですけれど力の差を見せつけるためにやった感じですかね。」

 「多分そうだろうな。恐らくここからいじめが容赦なく続いていく感じになるだろう。一応耐え時なわけだがガチめにやばそうだったらちゃんと自分の身を守ったり助けたりしろよ。特に女子達は〇姦とかされそうになったらちゃんと自己防衛な。」

 「...分かっているからあんま〇姦とか言わないで。」



 ごめんって。と謝り、少しだけこれからの学校生活を想像する。つらい期間になると思うが今は耐えるべきだ。俺達の復讐の舞台、「天が紅(あまがべに)市能力者杯」が始まるまでは。

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