第4話 修行と知人

 「ほらーあと半分だぞー頑張れー。」


 木々が生い茂る山の中で俺達の修行は始まっていた。



 基本的に体作りのトレーニングが主で、ランニングや筋トレ、あとは刀の素振りなどをしている。

 ...まあなんとなく嫌な予感がしたのは当たりで普通にキツい。

 今やっているのは50mの道を7往復ひたすらダッシュするというものだ。スポーツの強豪の学校ではよくあることかもしれないが、そういうところでのスポーツの経験なんてものはないため普通にキツい。

 また、初めて刀を握ってみたのだが結構重く、扱いに慣れなかった。心月さんこと先生は素振りとか基本的な事をしっかりやっていたらちゃんと使いこなせるようになる。と言っていたのでひたすら練習なのだが。



 スカルは今人に変身する魔法の練習をしている。

 人化したら修行に参加出来るし、先生の話によると魔物が人化すると能力が発現するらしい。そういう訳で今は人化しようと練習中だ。


 おそらく人化できるのはもう少し時間がかかるだろうから人化したときの姿を楽しみにしておko

 「あ、できたできた。」

 もうできてた。


 振り返ると白髪の少年のような容姿になったスカルがいた


 「よし、成功したね。それじゃあこれから体を動かす練習をして大丈夫そうだったら焔に混ざって修行をしてもらう。楽しみにしとけよ。」



 師匠が笑みを浮かべた。ちなみに俺はスカルを道連れにできそうで嬉しい。





 修行開始から1年ほどたった。



 今ではスカルも修行に参加しており、共に必死で頑張っている。

 この1年間で修行の内容は順調にきつくなっていき、この前とかは...


 (『よーしじゃあ早く入れー。』

 『やっぱりおかしいですって!なんですか耐火スーツ着て火のなかにはいるって!正気の沙汰じゃないっすよ!』

 『大丈夫、そのスーツは知り合いに作ってもらったやつで、800万度くらいまでなら耐えられるやつだから。それに焔、苦難を乗り越えてこそ力が手に入ると思わない?』

 『だからってこれはやりすぎだって死ぬ死ぬ死ぬ!』

 『死なんからはよ行ってこーい。』

 『鬼かあんたわあああぁぁぁ!!!!!!』)


 いやー...本っっっ当にキツかった。良い子は絶っっっっっっ対にマネするなよ。マジで死ぬから。



 修行開始当時に比べるとだいぶ身体能力が高くなった気がする。だが、これでは足りない。まだまだ頑張らないとな。


 「よーし2人とも、今回は般若心境3回やった後妖力を扱う練習ねー。」



 どうやら先生は妖力という特殊な力を使えるらしい。俺たちはまだまだ強くなれそうだ。





 修行開始から3年ほどたった。



 3年間で能力も妖力もだいぶ扱えるようになった。なれなかった刀も今では手になじんでいる。これが山の外では3時間しか経っていないのだからすごい話だ。

 修行の内容は...ひたすらバンジージャンプしたり、悪霊退治しに行ったり、松明を持ったままランニングしたりなど、色々キツいのがあった。

 だがそのおかげか能力を使った飛行ができるようになったり、火に触れても熱くなくなった。



 自主練中に小屋のほうから先生が歩いてきた。


 「焔、スカル、急で悪いが君たちにはテストを受けてもらう。」

 「テスト?どんなことをするんですか?」

 「テストの内容は僕の知人と戦ってもらう。このメモとこの石を持って行って。」


 心月さんが渡してきた石は小さく、チェーンが繋がれている。


 「この石は?」

 「この石は俺の関係者だということを示すための証拠だよ。ちょっと気難しいやつでね。」

 「どんな人間なんだ?」

 「うーん、人間ではないね。まぁ行ってみたら分かるよ。」


 人間ではない?どんな生物なんだ?



 俺たちはとりあえず先生の知人のもとへ出発することにした。





 「うーん、人間じゃないかーどんなやつなんだ?」

 「まぁ着いたらわかるでしょ...っとここだな。」


 くっちゃべってるうちに先生の知人がいるであろう場所に到着した。洞窟のようだが入口は広いのに全く先が見えない。

 洞窟ってこういうもんなのか?と思いつつ俺たちは中へ入っていった。


 「す、すいませーん...誰かいませんかー。」

 「誰だ...」

 「「!?」」



 目の前から威圧感を感じる声が聞こえた。周りがだんだん明るくなると、前方に15m以上ありそうな死神が巨大な鎌を持ってこちらを見ていた。

 デカい。それに威圧感も半端じゃない。

 死神の目が俺たちをにらんだ。


 「もう一度問おう。貴様らは何者だ。」



 ピリピリとした緊張が場を包んだ。

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