第3話 対面と修行開始



 山に入り約20分、俺は修行をつけてくれるという師匠の下へ到着していた。



 ほんとに今更だが、今回はそれぞれに修行をつけてくれる師匠がいるらしく、道中で分かれて移動した。ちなみに俊と真莉は自身の姉のほうへついていっている。


 「ここで合ってるよな...」

 「なんだよ焔、ビビってんのか?」


 俺の横から少し煽るように言ったのは頭蓋骨姿のモンスター、スケルトンの「スカル」だ。

 スカルは俺が幼い頃に瀕死になっているところを見つけ、保護し、今では家族のような存在になっている。


 「いやビビってるわけではないけどさ、なんか緊張するじゃん。」

 「んなこと言ってないでさっさと行こうぜ。」


 まあ確かにここでずっと固まっているわけにもいかない。俺たちは目の前の小さな家に師匠について訪ねることにした。


 「すいませーん、誰かいらっしゃいますかー?」

 「うちに何か用?」


 背後からの声に振り向くと、そこには小学生ほどの容姿の少年が立っていた。黒髪で、瞳は紫に染まっている。


 「うおっ!すいません、今黒柳 心月(くろやなぎ みづき)さんって言う人を探してて何か知ってたりとか...」

 「いや、黒柳心月は僕だけど。」

 「「...え?」」


 思わず素っ頓狂な声が出てしまった。


 「そんなポカンとされるとちょっと悲しいんだけど。」

 「あ、すいません。少しびっくりしてしまいまして...」

 「まぁ驚くのも無理はないか。別に気にしなくても大丈夫だよ。それより君が霊松焔だね?なんで君は修行しに来たの?」


 心月さんの表情が真剣なものに変わる。唾を飲み、浅く息を吐いて俺は心月さんの方を向く


 「大切なものを護る力が欲しいからです。」


 その言葉を聞き、心月さんは口元を少し緩ませた。


 「よろしい、それでは君に指導をつけよう。その前にこの山の説明からだな。」

 

 「この山は時の山と言う名前で、この山の中の時間と山の外の時間は異なっているんだ。

 大体山の外の1時間が山の中では1年間になってる。それで山から出ると、肉体年齢が山に入る前に戻るようになっている。僕が子供みたいな容姿なのはそれが理由。だけど不思議なことに筋肉量なんかは山から出ても変わらないんだ。山についてはこんなもんだね。」


 俺とスカルは話を聞いてるうちにまただんだんとポカンとしてきてしまう。


 「おーいポカンとすんなー戻ってこーい。...あ、そうだ、あれを渡さないとね。」


 そう言うと心月さんは家の中に入っていき、しばらくして指輪にチェーンがつながれたアクセサリーを持ってきて、俺に渡してきた。


 「それは身体的、精神的な疲労を軽減するアイテム。指にはめていると邪魔になると思うからチェーンをつけてある。修行中は基本的につけてて。」


 そう言うとニッコリと笑顔をこちらに向けた。なぜだか恐怖が背筋をつたう。


 「さぁ、修行開始だ。覚悟を決めとけよ。」



 俺とスカルはほとんど同時にあぁ、生きて帰れっかな...。と思った。

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