第1話 提案


「はぁ...」

 俺は大きくため息をつきながら帰路に

ついていた。

 俺の名前は霊松 焔(たままつ ほむら)F級能力を持つ中学二年生だ。


 

 そういえば、前回は能力の等級について説明していなかったので説明しよう。

 能力はそれぞれA,B,C,D,E,Fに分かれている。

 ランクとしてはFが最も低く、Aが最も高い。現代ではB級能力が最も多く発現している。

 そのためF級能力者は劣等種として世間から見られているのが現状だ。

 出来たら両親には失望されたくないから報告したくはない。とは言っても流石に報告しないといけないので流石に気が重い。

 俺は暗い気分のまま玄関のドアを開けた。


 「お、おかえり。どうした暗い顔して。」

リビングに行くとお茶を飲みながらスマホをいじってる父さんがいた。

 父さんは鍛冶屋を営んでおり、この世界にあるダンジョンとゆう迷宮にいる魔物と呼ばれるバケモノと戦うための武器を作る仕事をしている。

 優しい人なのだが、自分の息子がF級能力だと知ったらやはりがっかりしてしまうだろうか。

 そう思いつつ俺は口を開く。

「ただいま、今日能力の検査があってさ、F級だったんだよね...」


 

 「あ、やっぱりかー」

 父さんは特に驚いた様子もがっかりした様子もなく言う。

 「やっぱりってどうゆうこと?父さんは俺がF級能力であることがわかっていたの?」

 「そりゃあ俺の子供だから能力が遺伝

思ったからだよ。」

 確かに能力の遺伝はあるし、俺も知っているが...

 「いや、そういうことじゃなくて自分の子供がF級能力者だったらがっかりすると思ってたんだけど...」

 「お前父さんのことをどう思ってるんだよ...別に自分の息子がF級能力者でも邪険にするつもりなんて無いぞ。それに言ってなかったと思うが父さんだって元はF級能力者だったんだぞ。」

 「...は?」

 一度発現した能力が別の能力になることは無いはずなのに何言ってんだこの人は。俺が頭に疑問符を浮かべているのを感じ取った父さんは

 「能力自体は変わらなくても人の見方は変わるんだよ。元はF級だったんだが修行して力をつけていったらいつのまにか自分の能力がB級だといわれるようになったんだよ」と、すこし苦笑しながらそう言った。


 父さんが真剣な目をこちらに向ける。

 「なぁ焔、父さんはな、初めはものすごく弱かったんだ。最初は周りからバカにされることもよくあったさ。でも力を求めるのを諦めなかったから強くなれて、母さんとも結婚できて今があるんだ。俺は焔に護る力を身につけて欲しいんだ。大切なものを護る力を。」

 父さんは優しい顔をしていた。自分の心の中に熱くしかし静かな炎が灯ったような感じがした。

 「父さん、俺、強くなりたい。大切な何かを護れるようになりたい。」

 父さんがふっと笑った

 「よし、分かった。とは言っても俺が何か教えるわけじゃない。俺が修行した「時の山」に行ってもらう。お前に色々教えてくれる師匠も紹介するから思う存分鍛えてこい!」

 父さんの言葉に俺は強くうなずく。

 心の炎が大きくゆらめいた気がした。

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