第十一話 私と盟約して眷属になってよ
やあ、みんな。
僕は今、可愛い同級生の前で正座してるんだ。
どうしてそんな状態になってるんだって?そんなの俺が聞きたいぐらいだ。
「う〜ん。どうしよっかな〜♪」
「・・・」
姫宮が先程『この世から消す』とか言ってたので、
俺は震えながら心の中で遺言を考えていた。正直、志乃崎のときより怖い。
だって『明坂の女神』と呼ばれる同級生の口からそんな言葉が出たんだぜ?
志乃崎は言いそうな雰囲気があるが、姫宮がそんなことを言う雰囲気が全くしない。
つまり、本当に消されるかもしれないのだ。
「・・・(拝啓 お父さんお母さん)」
「決めた!」
「・・・(迷惑かけてばかりだったけど、俺は二人のことが好きだったよ)」
「藍川くん〜?」
「・・・(俺は消されちゃうけど、最後に感謝の言葉を言いたい)」
「お〜い?」
「・・・(今までありがとう)」
「返事がないなぁ・・・そうだ!」
「・・・(ああ、でもやっぱり死にたくな・・・)」
「ふぅ〜」
「ぎゃぁぁぁ!」
急に耳に息を吹きかけられた俺は、精神統一していたことも相まって思わず叫んだ。
「あはは!」
「・・・」
なにわろとんねん。
「ごめんごめん!悪かったからそんなに睨まないでよ〜」
「・・・」
どうやら無意識のうちに姫宮を睨んでしまっていたようだ。当たり前だろ?
こっちは遊びでやってるんじゃないんだよ!命かかってんの!
「・・・それで、俺はどうなるんだ?」
俺は不貞腐れながら言った。
「えっとね〜とりあえず立って腕をまくってほしいな〜?」
「・・・わかった。」
なんだかデジャブな気がするが、
従わないわけにもいかないので俺は左腕の袖をまくった。
「あ〜む。」
「・・・(やっぱりこうなるのか)」
ヴァンパイア(?)が腕を出せって言ってきたから薄々察してはいた。
というか、吸血鬼とヴァンパイアの違いってなに?
「んぅ!?・・・んん・・・ん・・・」
(なにこれ美味しい!盟約を結ぶついでに味見してみたけど、こんなの・・・)
「・・・」
「んん・・・ぅむ・・・ちゅう・・・」
(癖になっちゃう・・・この味を知ったら・・・これ無しじゃ・・・)
「・・・」
「・・・ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
(もうだめぇ・・・私・・・私・・・)
志乃崎のときと同じで、姫宮も吸血の最中はテレパシーが通じるようになるようだ。
にしてもエッすぎる・・・
普段は明るい女子高生が頬を赤く染めて吐息を漏らしている。
それだけでも正直興奮するのに、その女子高生はあの『明坂の女神』だぞ?
志乃崎とはまた違うベクトルのエッな感じがある。
「・・・ありがとうございます。」
「・・・突然・・・どうした・・・の?」
(〜〜〜が〜〜〜い〜〜〜)
「いや、なんでもない。」
おっと、思わず声に出ちゃったぜ。
というか、いつの間にかテレパシーが通用しなくなってるな・・・
「・・・ふぅ」
「大丈夫か?」
姫宮が落ち着いたようなので声をかけた。
「うん。大丈夫。」
「それで、俺はどうなったんだ?」
「腕を見てみて?」
俺の腕を見ると、姫宮が噛んでいたところに2つの赤い点ができていた。
なんか、志乃崎のときと似てるな・・・
「えっとね。今、藍川くんと私の間で血の盟約って言うのを交わしたの。」
「盟約?」
志乃崎は血の契約と言っていたが、何か違いがあるのか?
「これを結ぶとね、人間はヴァンパイアの眷属になるの。」
「眷属?」
「そうだよ〜まあ今回はそんなに重い盟約じゃないから、
何か命令できたりするわけじゃないけどね〜」
「・・・ちなみに盟約を破ったらどうなるんだ?」
「全身の穴という穴から血が吹き出して死んじゃうの〜」
「・・・は?」
あ、あれ。こんなことが前にもあったような・・・
「はは・・・冗談・・・だよな?そうであってくれよ・・・姫宮・・・」
「冗談じゃないよ〜昔、それで亡くなった人がたくさんいるんだよ〜」
「何が『いるんだよ〜』だ!ふざけんな!『重い盟約じゃない』ってどこがだよ!?
今すぐその契約取り消せ!」
「それは・・・って、ちょっと待って。」
「大体、なんで命賭けなきゃいけないんだよ!俺に約束を・・・」
「ねぇ・・・ちょっと待って?」
「な、なんだ?」
明らかに空気が変わった。
姫宮は先程までのほんわかした雰囲気がから一変して、
絶対零度のような雰囲気を醸し出す。
突然、豹変した姫宮にビビった俺は、思わず黙った。
「今・・・血の盟約のこと・・・契約って言った?」
「そ、それがどうしたんだ?」
確かに言ってしまったが、何か問題があったのか?
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ないで。」
「え?」
「あんなものと一緒にしないで!!!!」
あ〜何か地雷踏んだっぽい。
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