第56話 アルビノの生物兵器
そして、アンタレスはロッシュの姿となった。
アントニオは見ていなかったため、何が起こったのか、わからなかった。
「あれ、アンタレスは?」
「…………」
「姉ちゃん?何か喋れって」
「……………………」
アンタレスはゆっくり立ち上がると、ビルの影から出た。
外には、だるまのように丸い体型のアルビノのペンギンが立っているのが見える。
ペンギンは、ヘルメットを被っているようだ。
隣にはスカートの長い、頭が箱の、人間の体をしたメイドがいる。
↓ペンギン
「奴は誰だ?俺はリスキャと良い事してたのだが」
「私共もわかりません。いきなり侵入してきたそうですが…」
↑メイド
「誰だ、お前」
ペンギンは大声で、アンタレスに向けて尋ねる。
「私はロッシュ。お前は?」
「エリザベス。アルビノの生物兵器だ。
ここへ何の用だ」
「不時着した場所がここだっただけで、別に用は無い。すぐに出ていく」
「ダメだ」
エリザベスが、怒鳴った!
「ここへ来たからには消えてもらうぞ」
「は?なんでだよ…」
「俺らの存在を知った人間には、消えてもらうつもりでいるからな。
そのために、このビル群は奥に人が来ないよう、色々仕掛けてある」
「私はもう…人間ではない」
「は?」
エリザベスと名乗ったペンギンは、近くで負傷している球体の猫に聞いた。
「奴は人間ではないのか?」
「いいえ、人間だと思われます。雰囲気が人間そのものです。
おや、目の前にいる人間は2人なのに、3人ほどいる気配がしますねぇ…」
「それは俺も思った。だが聞いても無駄だろうし、どうでも良いや」
エリザベスは突然、氷を飛ばす!!
ビュンッッ
しかしアンタレスは、飛んでくる氷を破壊した。
エリザベスは少し笑う。そして隣のメイドに言う。
「箱人間メイド、奴は俺の視認不可能な攻撃を破壊したぞ。
かなり強い。ここで○すのは、もったいない」
「そうでごさいますか」
「あぁ、奴を勧誘しよう」
エリザベスはアンタレスとアントニオに向けて、また怒鳴った。
「お前ら、我々 アルビノの生物兵器に入れ。
所属すれば、心臓を破壊されても、すぐに○なずに済むぞ。
それに、仲間もたくさんいる。お前ら以下もな!」
「はぁ?誰が入るかこのk」
ブシャァァァァァァァ
アンタレスの心臓が一瞬で破壊される。
彼女の体が消えかけた。エリザベスは叫ぶ。
「さぁ、早く所属すると言わないと、お前も消滅するぞ!」
「言うもんか。私はアントニオと2人で暮らすんだ!」
「だがもうお前の心臓は破壊された。まもなく○ぬだろう」
「…………」
アントニオがアンタレスに向かって言った。
「所属するって言わないと、消滅しちゃうよ姉ちゃん!
味方は、たくさんいた方が良いよ。早く言って!」
「お前の弟は所属するつもりらしいぞ?
お前だけ消滅で良いな?」
↑エリザベス
「………………」
「じゃあ、お前だけ、ここで○ぬ運命だったようだな」
「待て!!」
帰ろうとするエリザベスたちに、アンタレスが叫ぶ。
彼は期待しながら振り向いた。
「なんだ?」
「私は、アルビノの生物兵器に所属する…。
所属されてくれ……頼む」
「よく言ってくれた」
アンタレスが言い終わった瞬間、彼女の体が、心臓が破壊されたのにも関わらず、再生される。
「え…?」
「姉ちゃん!」
エリザベスは、笑いながら2人に言った。
「ようこそ、アルビノの生物兵器へ」
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