休日の朝に
今の仕事に就いてからというもの、すっかり早起きの体質になってしまった。始業時間が早朝なので仕方がないといえばそうなのだが、ここで一つ悩みが生じるようになった。それは仕事が休みの日でさえも、自ずと朝早く目が覚めるようになった事だ。正直な話、仕事が休みの日くらい極力布団と一体化していたい。にも関わらず、そういう日に限って頭も眼も身体もスッキリ覚めていたりするからタチが悪い。
なので私は、休日の早朝を『朝活』に充てている。休日の午前中にぐっすり二度寝をする為に。初めの頃こそ読書や部屋の掃除だったりとインドアな活動に終始していたのだが、如何せん肉体労働に従事している身体には、この程度の刺激では二度寝に誘うには不十分だった。そこで次いで始めるようになったのがランニングだ。
午前三時過ぎ、車も人も一切見当たらない自宅前の通りでランニングウォッチを押して走り出す。ペースなどは厳密に設定しない。代わりに『今日は〇〇分間』といった感じで設定して、その時間まで走り続けるようにするのだ。どんなに動く脚が重くなっても。
不気味なまでに静かな夜明け前の街並み。通り沿いにポツポツと心許なく点く街路灯だけを頼りに、肩の力を抜いて白く細い息を立ち上らせながら、自転車のペダルを漕ぐように脚を前に回転させていく。
光の灯らない建物や看板が醸し出す圧は、時に恐怖すら抱かせる。しかし同時に、誰もいない街並みの景色を独占しているという優越感が、勝手に脚のピッチを推し進めていく。
時間分走り切って自宅に戻ったら、沸かしていたお風呂にゆっくり浸かって、柔らかくなった身体をストレッチして労り、そして布団の上で横になる。するとどうだろう、これが気持ちよいくらいに瞼が勝手に閉じてくれるのだ。
心地よい休日の朝。その為の朝活。なるほど、早起きするのも悪くない。
え? ところでその時間、執筆作業に充てないのかって? それは言ってはいけないお約束だ。
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