誰にとっても長く険しい道となる大学受験。まさにそれに挑もうとしている小松と、永井の冬と春の物語です。冬の早朝に感じた空気と、春の卒業式後に感じた空気がそのままここにありました。図書室で勉強をする僅かな時間しか交わらなかったふたりが、積み重ねた時間の先に迎える結果。そしてそこから、が鮮やかに描かれています。いつかこの景色を見た人も、そしてこれから見る人にも読んで欲しい物語でした。忘れていたものを思い出した、清々しい読後感です。