【男の子side】鬼武者
【男の子side】
最近、オラの村に紙芝居屋の人が来るようになった。
紙芝居屋っていうのは、紙芝居っていう、物語が描かれた紙を読み聞かせる人のことで、今の僕達にとっては、紙芝居屋が来ることが、楽しみで仕方なかった。
村人1「お〜い!!紙芝居屋が来たぞ〜」
男の子「紙芝居屋!!」
おじさんの言葉を聞き、紙芝居屋が居るところまで走るオラ。
すると、そこには..........
女の子「あ!!茂吉!!」
オラの幼馴染のお花ちゃんが居た。
男の子「お花ちゃん!!」
女の子「今日は私の方が早かったね〜」
男の子「ぐぬぬ....」
お花ちゃんの言葉に対し、そう呟くオラ。
そうこうしている間に、紙芝居屋の話が始まった。
紙芝居屋「さぁ!!寄ってらっしゃい!!見てらっしゃい!!今日の紙芝居は......鬼ヶ島の鬼の生き残り!!【鬼武者】の話だよ!!」
男の子「やった!!今日は【鬼武者】だ!!」
【鬼武者】
それは、オラの大好きな紙芝居の一つだ。
物語としては、鬼ヶ島の鬼の生き残りであり、鬼武者こと紅太郎が活躍する話で、いつも、ハラハラドキドキする展開がたまらないだ。
紙芝居屋「獲物を食べるどころか、謀られた大百足姫は、『お前......さては、謀ったな!!』と叫び、本来の姿に戻り、鬼武者に襲いかかったのだった!!」
紙芝居屋がそう言うと、村のみんなは、ワッと盛り上がっていた。
紙芝居屋「と言うわけで、今日はここまで。続きはまた今度、語るとしましょう」
紙芝居屋のその言葉と共に、紙芝居は終わり、村のみんなは拍手をするのだった。
男の子「あ〜、今日の【鬼武者】も楽しかったな」
女の子「今度は、【月光姫】が良いなぁ」
【月光姫】は、主に、女の子に人気の紙芝居で、月からやったお姫様......月光姫が活躍する話で、村にやってくる紙芝居屋は、大体【鬼武者】か【月光姫】を読み聞かせてくれるから、どの話をするのかは、紙芝居屋が読み聞かせをするまでのお楽しみなのだ。
男の子「そうだよな、次はどれをやるのかは分からないよな」
女の子「でも、そこが紙芝居屋のいいところじゃない」
男の子「......まぁ、そうだけどさ」
お花ちゃんの言葉に対し、そう言うオラ。
男の子「あ〜あ、オラも字が書けたらなぁ....」
字が書けたら、オラも【鬼武者】みたいな物語を書けるのかな?
女の子「無理だよ。だって私達、お侍さんじゃないし」
男の子「やっぱり、そうだよね.......」
オラの夢は、紙芝居の物語を作ることだ。
でも、それはただの夢。
オラは、一生畑を耕して暮らすんだろうなぁ.....
村人2「おい、例の噂、聞いたか?」
村人3「聞いた聞いた!!何でも.....お殿様が、村々に字の読み書きが学べる場所を作るらしいぞ!!」
字の読み書きが.....学べる場所!?
「「字の読み書きが.....出来る場所!?」
大人達の話を盗み聞きし、思わず、そう呟くオラ達。
「お花ちゃん..........オラ達も、その場所に通えるのかな?」
「..........通えるよ。きっと」
その後、大人達の話していた通り、村には学校が出来て、オラ達は、読み書きの勉強をするようになったのだった。
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