尾張と南蛮人とマムシの娘と②

【桃姫side】

アヘン。


それは、アヘン戦争を引き起こした元凶であり、モルヒネ・ヘロインなどの原料でもある、薬物である。


前世の私が居た未来では、もちろん禁止薬物扱いされてはいるものの、昔はそうではなかったらしく..........イギリスは、アヘンを清に輸出することで、莫大な金を手に入れたとか。


まぁ、その結果がアヘン戦争だけどね。


道三「桃姫よ、その危険な品とは何だ?」


私の言葉に対し、そう尋ねる道三さん。


桃姫「アヘンと呼ばれる、薬物にございます」

「「【あへん】?」」


聞き慣れない言葉を聞き、思わず、そう呟く道三さんと信秀さん。


桃姫「簡単に言えば..........使えば使う程に、人間の精神や体を蝕む薬です」


私がそう言うと、道三さんと信秀さんが目を見開いたのは、言うまでもない。


信秀「そんな薬が実在するのか!?」

桃姫「はい。何でしたら、その材料となる植物もあります」


そう言った後、ケシの花の咲いているところを指差す私。


道三「なるほど。謝罪代わりにスペインに薬を送り、国そのものを弱体化させる.....ということか」

桃姫「そういうことです」


ニッと笑いながら、私がそう言うと


信秀「ふむ......それなら、仮に戦になったとしても、優位に戦える可能性がある....か」


納得したように、信秀さんはそう呟いた。


桃姫「えぇ、それに....アヘンから、モルヒネ・ヘロインと呼ばれる薬を生み出すことが出来るのですが...........」

道三「その薬もまた、人を蝕む毒....ということか?」

桃姫「はい。薬も使いようによっては毒になりますからね」


そもそも、モルヒネやヘロインは医療用の薬品だったしね。


信秀「だが、その【あへん】とやらをどうやって南蛮人に使わせるのだ?」

桃姫「そんなの、南蛮人達にとっての都合のいい嘘を言えばいいだけのことです」

信秀「ふむ、それもそうだな」


私の言葉を聞き、フッと笑う信秀さん。


道三「だが、仮にスペインが攻めてきた場合はどうする?」

桃姫「そこなんですよね。せめて、軍艦とかがあればいんですけど.........」

「「軍艦?」」


あ、ヤバ!?


つい、口走っちゃった!!


道三「桃姫よ、軍艦とは何だ?」

桃姫「......海上戦に特化した船のことです」

信秀「何だと!?」


うん、そんな反応になるよね。


信秀「...........そんな船、作れるのか?」

桃姫「作れる.....とは思うのですが」

信秀「ですが?」

桃姫「スペインに勝つためには、それなりの馬力が必要だと思います」


腕を組みながら、そう呟く私。


それを聞いた信秀さんと道三さんは、互いの顔を見合わせたのは、言うまでもない。


道三「馬力.....とは?」

桃姫「そうですね..........例えば、船を要塞化するとか、蒸気の力で船を動かすカラクリを付ける......とか?」


私がそう言うと、道三さんと信秀さんは驚いた顔をした後


「「それだ!!」」


と叫んだ。


桃姫「うわっ!?ビックリした!!」

信秀「それなら、勝てるかもしれぬ!!」


どうやら、信秀さんは私が行った作戦を実行する気満々らしい。


信秀「というわけで、同盟を組むぞ!!」

道三「あぁ!!」


はぇ?


桃姫「は....はぃぃぃぃ!?」

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