尾張と南蛮人とマムシの娘と①

【桃姫side】

信秀「ふむ、お前が道三の娘か」


美濃へとやって来た信長さんが、鷺山城に訪れた次の日...........信長さんの言葉通り、今度は、信秀さんが私のところにやって来た。


どうやら、南蛮人絡みの何かを抱えているのは、本当らしい。


信秀「どうやら、マムシから龍が生まれたという噂は本当らしいな」


私に向け、そう言い放つ信秀さん。


何というか......この人が信長さんの父親と言われても、おかしくはない感じがするな。


桃姫「失礼な!!私はちゃんとした人間ですよ」

道三「だそうだ」

信秀「むぅ、そうか」


私と道三さんの言葉を聞き、そう呟く信秀さん。


桃姫「ところで....信秀様が私の元に訪れたということは、南蛮人絡みのことですか?」

信秀「.......何故それを?」

桃姫「信長様に教えてもらっただけです」

信秀「.....ほぅ?」


私の言葉を聞き、ピクリと反応する信秀さん。


やっぱり、尾張で何かあったのかな?


道三「......信秀よ」

信秀「分かっている」


道三さんの言葉に対し、信秀さんはそう答えた後、尾張で起こった、南蛮人絡みのことを教えてくれた。


そもそも、尾張は海に面しているため、南蛮人達がそれなりに来ていたのだが...........その南蛮人の一人が、とある女性に襲うという大事件が発生。


その事件の犯人である南蛮人は、激昂した尾張の人達によって、ボッコボコにされた末に死亡し、そのことに信秀さん達が気がついた時にはさぁ大変。


その南蛮人の国..........当時の大国である、スペインが当然ながら激怒し


『謝罪代わりに尾張を寄越せ!!』


と要求したそうな。


しかし、そんなことは出来ないと信秀さんが突っぱねると


『だったら、その謝罪に相応しい品を用意しろ!!』


という、トンデモ要求したのだ。


その要求に困った信秀さんだったが......部下の人達から、私の存在を知り、南蛮人の問題を解決するために、わざわざ美濃に来たらしい。


桃姫「謝罪に相応しい品..........」


確かに、謝罪代わりに品を渡せば、万事解決なのかもしれない。


だけど.......それで、終わりの人が納得するとは思えない。


う〜ん....せめて、仕返しが出来ればいいんだけど..........


そう考えていた時、ふと、私の目に入ったのは.......風によって、ゆらゆらと揺れるケシの花だった。


桃姫「.........スペインをギャフンと言わせるには、これしかないよね」


もし、この時代にを作ったら、とんでもないことになるのは確実。


だけど.....嫌がらせの品としては、十分過ぎる程の効果を発揮するかもしれない。


桃姫「信秀様、一つ提案があるのですが..........よろしいでしょうか?」

信秀「提案....だと?」


私の言葉に対し、そう呟く信秀さん。


信秀「まさかとは思うが..........スペインへ差し出す品を思いついたのか?」

桃姫「そのまさかです。ただ....」

信秀「ただ?」

桃姫「その品を出せば、スペインとの戦争は避けられない可能性があります」


私がそう言うと、信秀さんと道三さんの眉はピクリと動き


信秀「..........どういうことだ?」


と言った。


桃姫「それほどまでに、危険な品だということですよ」


これ以上、南蛮人達に好き勝手させるわけにはいかないしね。

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