【お坊さんside】お坊さんの好物

【お坊さんside】

ニクノキは、肉が食べられない儂らにとって、奇跡のような木であった。


何せ、ニクノキはその名の通り、肉が実る木で...........しかも、その肉はとても美味なため、美濃にいる僧侶達は、このことを皆喜んでいた。


そして、あれよあれよという間にニクノキは僧侶達の間に広まり......今の儂らにとって、ニクノキは欠かせない物となった。


お坊さん1「この匂い......今日はカレーか」


カレー。

それは、桃姫によって伝授されたニクノキ料理の一つであり、儂らの好物と言っても過言ではない料理である。


カレーの作り方は奥が深く、【すぱいす】と呼ばれる薬味を煎じ、それを具材と炒めた後、水を加え、煮立たせる..........簡単なようで、難しく工程を経ているからこそ、カレーは美味いのだ。


お坊さん2「いやはや、昼飯がカレーとなると、気分が上がりますな」

お坊さん1「ですな」


カレーは美味い。


だが、その美味しさ故に、毎日食べたくなるのも事実。


そこで、儂らは月に一度だけ、カレーを食べることにした。


そのことを桃姫様に話したところ


「【ちぃとでぇい】みたいだね」


と言われた。


桃姫様曰く......【ちぃとでぇい】とは、我慢した分、好きな物が食べられる日らしく、南蛮では、当たり前のことらしい。


そのことを知った儂らは、カレーが食べられる大義名分が得られたと喜んだのは、言うまでもない。


お坊さん1「おぉ.....カレーが輝いて見えるぞ....」

お坊さん2「ここまで我慢した甲斐がありましたな」


そう呟いた後、匙を使ってカレーを食べる儂。


お坊さん1「..........美味い」


カレーは美味い。


この辛さはカレー特有のものだが......不快な辛さではない。


むしろ、心地の良い辛さだ。


この辛さは、米と一緒に食べることで程よく中和され、より美味しくなる。


これでこそ、カレーなのだ。


お坊さん2「やはり、ニクノキを食べるのならカレーに限りますな」

お坊さん1「ほぅ?お主もそう思うか?」


他のニクノキ料理ももちろん美味い。


しかし.....カレーは、様々な具材の旨さを引き立ててる力を秘めている。


そこに、儂らは惹かれたのかもしれぬな。


お坊さん1「ふぅ.....美味かった」

お坊さん2「あぁ...........これでまた、カレーが食えない日々が続くのか.......」


出来ることなら、毎日カレーを食べたいが......それは、次の月の楽しみに取っておくとしよう。


お坊さん1「次は、うどんにかけて食べたいものだな」

お坊さん2「おぉ!!それは名案ですな!!」


儂らの食を変えてくれた桃姫様には、感謝してもしきれない程の恩がある。


願わくば、儂が生きている間にその恩が返せればいいのだが......

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