【商人side】美濃の変化2

【商人side】

美濃で、世にも美味い肉が売られている。


そんな噂を聞き、商人としての勘が疼いたのか、俺は、再び美濃に訪れた。


久々に訪れた美濃は、あの時以上に発展しており......野球なる遊びが流行っていた。


何でも、道三様と義龍様の和解に一役買ったらしく、その影響なのかは分からないが、美濃内には、多くの野球場が出来ていた。


もちろん、その試合を見に行ったが..........ハッキリ言おう、とても面白かった。


ただの球遊びなのに、こうも夢中になるとは...........恐るべし、野球。


それに、最近の美濃では肉を食べる人が増えてるとか。


何でも、ニクノキという木から採れた肉を食べているらしい。


...........肉って木から生えるのか?


そんな疑問を抱えつつ、俺はその肉を食べることにした。


商人「こ、これがニクノキの肉....」


飯屋にて、目の前にある肉を見つめながら、そう呟く俺。


飯屋の店主「正確には、ニクノキの実の醤油煮だけどな」

商人「醤油....」


木の実なのか、肉なのかが分からない物を醤油で煮るとは...........


商人「...........う、美味そうだな」


そう呟いた後、箸で肉を掴み、口の中に入れる俺。


その瞬間、口の中一杯に肉の味が広がり、俺は、自然と頬が緩むのだった。


商人「美味い....」

飯屋の店主「だろう?」

商人「この肉は本当に木から採れた物なのか!?本物の肉とほぼ変わらないじゃないか!!」


飯屋の店主に対し、信じられないと言わんばかりにそう言う俺。


その言葉を聞いた飯屋の店主は、ニッと笑った後、こう言った。


飯屋の店主「そう!!そこがこの食べ物の良いところでよ、美濃のお坊さん達はみんなニクノキの肉に夢中なのさ」

商人「何!?」


なるほど......ニクノキの肉は、草木から採れた木の実のような物。


だから、お坊さん達が食べてもおかしくはない......ということか。


商人「こんなに美味い肉が食えるなんて......アンタらが羨ましいよ」

飯屋の店主「ハハッ、ありがとな」


俺の言葉に対し、照れながらそう言う飯屋の店主。


飯屋の店主「そういや、最近の尾張の様子はどうよ?」

商人「特に変わっちゃいないよ。ただ」

飯屋の店主「ただ?」

商人「美濃から尾張に帰りたくないってことぐらいしかないな」


俺がそう言うと、飯屋の店主は嬉しそうな声でこう言った。


飯屋の店主「アハハ!!そいつは嬉しいなぁ!!」


.....こんなに美味い料理が食えるのなら、このまま美濃に住むのも悪くはないな。


肉を食いながら、そう思う俺なのだった。

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