【道三side】世界は広くて狭い
【道三side】
桃姫が生まれた時、この子は、他の子とはどこか違うと儂は思った。
生まれた時は、鷺山城の周りにあった桜が咲き乱れ、まるで、春を見ているかの光景だったらしい。
それに加え、桃姫が大きくなるにつれて、その力を操れるようになり、やがて、その力は強力な物になっていった。
..........そして、今となっては、自由自在に草木を操れるようになっていた。
道三「....................」
砂糖とちょこれいとぉの件といい、今回の世界情勢の件といい、桃姫は、どこか浮世離れしたところもあれば、賢者のように知恵を振うところもある。
そんな娘を見ていると、時折、人ではない何かではないか?と思うことが、しばしばある。
...........こんなことを思っている時点で、儂は親として失格なのかもしれんな。
道三「まさか、マムシから龍が生まれるとは.......」
娘から貰った、世界地図を見つめながら、そう呟く儂。
道三「アメリカ.....か」
あの後、アメリカについて桃姫に尋ねたところ...........アメリカなる大陸には、未知なる物がたくさんあるのだとか。
しかし、その半面、先住民族がいるために、土地の扱いを慎重にすべきだと、桃姫は言っていた。
............それはまるで、ぞんざいな扱いをしていたら、しっぺ返しを喰らうぞと言っているようであった。
道三「海がないのなら、尾張と同盟を組むか、侵略するか......」
どちらも、儂には無い発想だ。
...........流石は、儂の娘だな。
道三「マムシの子はマムシ......ということか」
こうもあっさりと、尾張を攻め込めばいいと言い放つとは......
我が娘ながら、恐ろしい奴よ。
義龍「......何をニヤニヤしているのですか?」
そう思っていた時、突然、義龍が現れ、そう言った。
道三「...........義龍か」
義龍「父上、桃姫を少々甘やかしすぎでは?」
儂の方を向きながら、そう言う義龍。
道三「.....というと?」
義龍「いくら、桃姫が不思議な力を持っているとはいえ、その力をむやみやたらに使わせるのは、いかがなものかと」
...........
義龍「.......何ですか?」
道三「いや、何でもない」
義龍「?」
不思議そうな顔をしながら、部屋から出ていく義龍。
道三「...........義龍」
桃姫のことも気になるが.........やはり、問題は義龍だな。
あやつの根は良いが..........恐らく、例の噂を気にしているのであろうな。
道三「世界をもっと知るために、まだまだ生きねばな」
世界地図を見ながら、儂はそう決心するのだった。
☆☆☆
斎藤道三の息子である斎藤義龍の父親は、一説によれば、美濃守護の土岐頼芸とされているらしい。
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