甘美なるお花見

【桃姫side】

道三「ちょこれいとぉ......ふぉんじゅ......?」


聞き慣れない言葉に対し、ポカーンとする道三さん達。


まぁ、そんな反応になるよね。


十兵衛「桃姫様、【ちょこれいとぉふぉんじゅ】とは一体?」

桃姫「簡単に言えば、この黒い液体.....チョコレートに、好きな具材を付けて楽しむ物です」


私がそう言うと、ザワザワし始める家臣達。


道三「ふむ.....となると、この黒い泥のような物がちょこれいとぉなのか?」

桃姫「はい、そうです。ついでに言えば........このチョコレートは、真心込めて、一から材料を作った物でございます」

道三「......何!?」


娘が真心込めて作った物と聞き、嬉しそうに反応する道三さん。


十兵衛「そもそも、ちょこれいとぉは手作り出来るような物なのですか?」

桃姫「私の力を使えば、その材料となる木を生やすことが出来るのです。と言っても、肝心のチョコレート作りは結構な時間が掛かるんです」


カカオニブをペースト状にするだけでも、数時間ぐらい掛かったしね。


私がそんなことを思っていると、家臣の人達は、再びザワザワし始めた。


家臣1「まさか、桃姫様自らお作りになられた物を食べられるとは.......」

家臣2「良い匂いがしますな.......」


どうやら、家臣達のチョコレートフォンデュの第一印象は良さげらしい。


道三「では、食べるとするか」

家臣3「親方様、毒味は.....?」

道三「娘が作った物を毒味しろと?」

家臣3「ア、ハイ、ソウデスネ」


道三さんの圧に屈したのか、片言でそう言う家臣。


そして、道三さんはイチゴを串に刺した後、チョコレートに潜らせて、一口食べた。


その瞬間、道三さんの目は見開き


道三「美味い!!」


と叫んだ。


その言葉を聞いた家臣達は、これはいけるのではないか?と思ったのか、続々とフルーツをチョコレートでディップして、食べていった。


十兵衛「あ、甘い!!」

家臣2「これは......まさか、砂糖が入っているのか!?」

家臣1「こんなに甘くて美味い物は初めて食べたぞ!!」


うんうん、そうだよね。


やっぱり、チョコレートは美味しいよね。


家臣4「しかし、砂糖だけでこんなにまろやかになる物なのか?」

桃姫「あ、一応、このチョコレートには牛の乳を入れてますよ」

「「「「「「何!?」」」」」」


うわっ!?ビックリした。


家臣5「なるほど!!だから滑らかな味だったのか!!」

家臣4「牛の乳の力、恐るべし.......」

家臣3「このバナナと言う果物も美味い!!」

家臣1「柿とちょこれいとぉの組み合わせも中々.......」


庭に咲き誇る花を見つめながら、ワイワイとチョコレートフォンデュを楽しむ、家臣達。


それは、道三さんも同じだったらしく


桃姫「父上、お口にチョコレートが」

道三「おぉ、すまぬな、桃姫」


口にチョコレートが付いていることを忘れるぐらい、チョコレートフォンデュの虜になっていた。


道三「しかし.....こんなにも美味い物を、儂らだけで食べて良いものなのか?」

桃姫「大丈夫ですよ。こういうのは、後で生産体制を整えておけば良い話ですから」

道三「...........そうか、その手があったか」


私の言葉を聞き、それだと言わんばかりに、そう言う道三さん。


そんなこんなで、お花見兼チョコレートフォンデュパーティーは大成功に終わるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る