チョコレート作りは楽じゃない!!

【桃姫side】

チョコレート作りは、焙煎.....いわゆる、ローストから始まる。


本来のローストは、オーブンでやるけど........今は戦国時代、オーブンなんて物は当然無いので、日本昔ばなしでありそうな鉄鍋を使って、ローストしている。


女中「桃姫様。なぜ、カカオ豆をろぉすとをするのですか?」

桃姫「こうすることで、香りと風味を引き立たせることが出来るんだよね」

女中「はぁ.....?」


不思議そうな顔で、そう呟く女中さん。


例え、理解されなかったとしても、こういう一手間が大切なのさ.....


桃姫「よし!!これぐらいでいっか!!」


そう言うと、鍋の中からカカオ豆を取り出す私。


そして、ある程度冷めたところで、薄皮とカカオニブの選別を行った。


女中「砂糖も砂糖で手間暇が掛かっていましたが、これもこれで時間が掛かりそうですね」


遠い目をしながら、そう言う女中さん。


桃姫「仕方ないよ。ほら、よく言うでしょ!!お菓子作りも世の中もそんなに甘くないって!!」

女中「初耳ですけど」


そんな会話をしながら、選別作業をし終えた私と女中さん。


大きな器の中には、香ばしい匂いのするカカオニブがたくさん入っていた。


いよいよ、次はチョコレート作りの要、粉砕の時間だ。


まず最初に、カカオニブを軽く潰す!!


カカオニブを軽く潰した後、の中にカカオニブを入れる。


女中「...........何ですか?これ」

桃姫「何って、メランジャーだけど」

女中「め、めらんじゃあ?」


メランジャーとは、簡単に言えば、カカオニブを粉砕、ペースト状にする機械で、チョコレート作りには欠かせない道具なのだ!!


........何でそんな物があるのかって?


職人さんに頼んで、作ってもらったに決まってるじゃん!!


............まぁ、流石に電動メランジャーは作れないから、手動式のメランジャーを作ってもらったけどね。


桃姫「んで、ここから時間を掛けて、カカオニブを粉砕・ペースト状にするよ」

女中「......何だか長丁場になりそうな予感がします」


案の定、女中さんの予想は当たり..........この後、6時間ぐらい手動でメランジャーを動かし、定期的に砂糖を投入していると


女中「桃姫様!!ま、豆が泥みたいに!?」

桃姫「いや言い方」


粉砕され、粉になっていたカカオニブが、ペースト状になり変化したのだった。


女中「こ、これでようやく完成ですね」


ゲッソリとした顔で、そう言う女中さん。


...........何かごめんね。


桃姫「そうだ!!試しに試食してみようよ!!」

女中「え!?」


私の言葉を聞き、女中さんは驚いた顔をした後


女中「で、では....」


と、恐る恐る木のスプーンを使って、出来立てのチョコレートを一口食べると、顔色が明るくなり、こう叫んだ。


女中「美味しい!!」


そう言った後、もう一口食べていた。


女中「これなら、道三様もお喜びなると思います!!」

桃姫「でしょ?」


時間は掛かったけど、これでチョコレートは完成!!

後は、色々と準備をするだけ!!


桃姫「フッフッフッ..............これで父上達の胃袋を掴んでやる!!」

女中「...........桃姫様、そんな悪どいお顔をしてはいけませんよ」

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