第7話 対峙
今日は雲一つない晴れ。
まさに、お出かけ日和である。
いや〜、待ちに待った魔獣狩り!
私は朝から浮かれています!
だって、本当に楽しみにしてたんだよ。ちゃんと念を入れて準備もしてきたし。
ちなみに、護衛は全員で15人。多い。
しかし、全員無言で、必要なとき以外話しかけてくることはない。この国の貴族のマナーとして、身分が下の人は、身分が上の人に話しかけちゃダメっていうルールがあるからね。
私は馬車に揺れられている。
ここはファンタジーの世界。よくありがちな、『馬車の揺れが酷い』を体験中である。
いや、本当にひどい。めちゃくちゃおしりが痛い。
でも、3歳児の歩みで魔獣の森へ向かったら日が暮れちゃうしなぁ。
それから1時間ほど、黙って痛さに耐え続けた。
……やっと到着だ……。
護衛の手を借りて馬車から降りる。
あぁ、地面が恋しかった…。
あ、どんどん痛みが引いていく。
ステータスパネルを開いてみる。
…HPがすごい勢いで回復してる。継続回復のおかげかな?
っていうか、人前でステータスパネルを出したけど、見えてないよね?そう思って周りを見渡すけど、誰一人こちらを見ていない。周りの警戒をしているらしい。あ、ひとり私を見てる人がいたけど、目をそらした。……見えてないってことでいいんだよね?
ガサッ
そんな事を考えていたら、茂みから音がなった。
護衛たちがそちらへ注意を向ける。
私もスキル『気配察知』『探索』を使う。
ってあれ、茂みの方にも数匹何かいるが、後ろにもなんかいる。
いや、護衛たち気づけ。公爵令嬢の護衛なんだよね?こんなので大丈夫なのか?
違うか。多分だけど、魔獣の相手はしたことがないのかも。騎士ってずっと人相手に鍛錬しているイメージがあるし。
……これはチャンス?こっそり倒しても、バレないかな?
静かに、バレないように倒せそうな魔法…あ、アレが良いかも。影魔法『シャドウランス』。
これは、対象の影から槍を生やす魔法。普通は一撃では倒せないが、スキル『命中』によって急所に当たる確率が高くなっているし、スキル『千里眼』で心臓の位置を見抜いて貫いたので一撃だ。
ちなみに倒したのは角ウサギ。風魔法を使ううさぎで、角で突き刺そうとしてくる魔獣だった。
……お、護衛の方も倒し終えたらしい。
そっちも角ウサギか。ここらへんは角ウサギの縄張りなのかもしれない。
……って、え?進み始めた。
解体とか、しないんですか?死体を放置?
私でもわかるよ、血とかの匂いで獣が寄ってくるんじゃ…。まさか、騎士の人って貴族家出身の人が多いから、そんなこと知らない?
…まぁ、好都合か。
スキルで魔獣の位置を調べたところ、どんどん集まっている感じがする。…囲まれてるね、完全に。
しかも、護衛たちは気づいていない。無能じゃん…。
良い経験値稼ぎになるから許すけどね!
そんな感じのことを考えながら、サクサク魔獣を倒していく。
弱い魔獣しかいないらしく、一撃で沈んでくれるから楽だ。
いまのでどれくらいレベルが上がったかな?
ステータスパネルを開く。
『レベル:8』
……あれ?早くない?
さっき十数匹は倒したけど、こんなにレベルは上がらないはず。予想では、レベル4くらいだと思ってたんだけど。
……あ、これか。スキル『経験値倍化』。効果は文字通り、取得経験値を2倍にする。
ほんとにすごいスキルが揃ってるね、さすが真ボスだ。
その後も私達一行は森を歩き、その背景で私は魔獣を仕留め、公爵邸に帰ってきた。馬車に揺られて。うぅ、地獄だ……。
お父様たちに報告と、護衛を付けてくれたお礼を言おうと思ったが、今日は晩餐でも会えなかった。
しょうがないので、ジルカに言付けをして、まだ8時くらいだけど寝る。
あ、寝る前に魔力を少し隠蔽しとかなければ。
そして、レベルの確認も。
『レベル:16』
魔獣の森へ出かける前に想定していたレベルを大きく上回っている。この調子でガンガンレベルを上げるぞ!
疲れたけど、楽しかった〜!…すやぁ。
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