第4話 魔法
『魔法とは、体内にある魔力を消費して、本来起こり得ないことを起こすことであり、ある意味奇跡を起こすことである』
ふーん、なるほどね。
晩餐後の現在、私は図書館に来ている。
そして、読んでいるのは『魔法の使い方 初級編』だ。正直言って、相当ワクワクしている。
まず、魔法とはそもそも何なのか。それは先程の文の通り。これは予想通りなのだが。
『魔法の使用方法。
1.体内にある魔力を感じ取る。
2.魔力を放出。その際、使いたい魔法を念じる。
ただし、自分にあった属性の魔法しか使えない。』
魔力って、どうやって感じ取るの?
ちょっと集中してみたけど、さっぱりわからないし、そもそも魔力って体のどこらへんにあるの?
もう少し具体的に説明してほしいよ…。
この本に文句を言ってもしょうがないので、諦めて別の本を探す。
『魔力とは』
タイトルがシンプルだが、わかりやすそうな本を見つけた。本の厚さも薄いし。
早速ページをめくる。
『魔力とは、誰もが持っている力。人間に限らず、動物や魔獣、草木、水や大地など、自然のものにも宿っている。
私達は魔力を使って魔法を使う。しかし、それは誰でも使えるわけではない。
使える人は人間の十分の一ほどの人数しかいない。また、庶民より貴族の人々の方が魔法を使える人が多い。
魔法を使える人と使えない人の決定的な違いは、『魔力感知』というスキルを持っているかどうか、だ。
このスキルは生まれつきのもので、後天的に芽生えた人は、今までに数名しかいない。
このスキルを一度使用すれば、魔力がどこにあるのか何となく分かるようになるだろう――』
書かれていた内容を要約するとこんな感じ。
なるほど。『魔力感知』というスキルを使ってなかったから魔力がどこにあるのかわからなかったのか。
たしか、魔力感知のスキルはあった気がするけど…ステータスパネルを出して、一応探してみる。
スキルのetcの文字を押して……あった!
良かった。少しドキドキした。だって、なかったら魔法が使えないんだもん。
よし、使ってみよう。
魔力感知を使用。
……うわ、すごい。今までよくわからなかったけど、よくわかる。
まず、体内は、魔力で満ちている。それも、大量の魔力で。
大気中もそうだし、目の前の本にも少し魔力があるみたいだ。
というか、私の魔力量がすごい。一応、図書館の扉の前に騎士がいるんだけど、その人たちの魔力量と比べてみたら、天と地ほどの差がある。まぁ、MP99999だし、当然なのか?
とりあえず、スキルをオフ。
……あれ?さっき程ではないが、少し魔力が感じられる。あ、本に書いてあった『一度使用すれば――』っていうのはこのことかな?
……ん?だとしたら、まずいのでは?
貴族の人は魔法を使える人が多い。ということは、私の両親も魔法を使えるんだろう。公爵家当主だし。
ということは、魔力感知のスキルを持っていて、使用したことがあるってことだ。
つまり、私の膨大な魔力量は、すでに知られている可能性が……。
……どうしよう。
両親に愛されているわけではないと知った今では、なるべく知られたくない。利用されそうだし。
でも多分バレてるよね。
うーん……あ、魔力って抑えられるのかな?
というか、そもそも動かせる?
少し試してみる。
うー、ちょっと動かせるくらい、かな?
そういえば、スキルでなんかなかったっけ?
えーっと、あった!『魔力操作』!
今まさに役に立ちそうな名前である。
使用してみると…え、すごく動かしやすくなった。思わず驚いてしまう。
この応用で、魔力を外側に出さない感じに……できた!
けれども、これじゃ体内の魔力は隠せない。
今、私の体の中は高濃度の魔力がぐるぐる回っている状態だ。誰がどう見ても不自然だ。
えーどうしようもなくないか?魔力を隠すスキルはないの?隠蔽みたいなさぁ……
シュンッッッ
え!?!?
ちょっと待って、一瞬にして魔力が消えたんだけど!?
慌ててステータスパネルを開く。
えっと、魔力量はどうなってる?
『MP:99999/99999(隠蔽中)』
………。
隠蔽で隠せるって、本に書いといてよ!
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