第12話 最高幹部の意地
「さぁ、行こうか!」
「「うんっ!」」
僕たちとジギーロッドの戦いがまた始まろうとしていた…
「おまえ…おまえたちじゃ俺には勝てないということを教えこんでやる…。」
ジギーロッドがそう言葉にするとまた辺り一面に死鴉が飛び集まりはじめた…。
「やだまた?気持ち悪いんだけど…」
「そんなこと言ってられないよレイティア…」
たしかにクロウナの言ったとおりだ…こうなった以上またさっきの技と技のコンボがくるかもしれない…
「さぁ、始めよう…
その言葉に僕は身構える…クロウナやレイティアも同様に…
そして、ジギーロッドはまた詠唱をはじめる。
「魔法、操者…」
くる…
おそらく今度は避けきれない…僕は避けきれたとしてもふたりは…。
「特殊魔法、創造…
これで自分だけじゃなくて後ろのふたりも守ることができる…
そして、あの技が終わったあと…奴には隙ができるはず、だからそこを狙っ……
「なっ…」
僕がそう考えていると目の前が少し暗くなって見上げてみるとそこには奴のジギーロッドの姿があった…
「そうだよなぁ、そうだよなぁ!おまえはその選択をとるよなぁ、わかってる…わかっているさぁ」
とジギーロッドは笑っていた…とても高らかに奇妙な程に…笑っていた。
そして次の瞬間…
「魔法、操者…
僕の右腕は…吹き飛んだ。
「え…」
僕は何が起きたのかまったく理解ができなかった…
一瞬のできごとに理解するまでに時間をかなり有した
「セイタ……う、腕が…」
クロウナのその言葉に僕は自分の腕を見た…
その瞬間さっきまでなかったはずの痛みが僕の右腕を襲った…。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…腕…腕が、あぁ…あぁ…」
僕は完全に我を忘れていた…現実では起こりえなかった状況、痛み、目に見えてわかる右腕がないという事実、さきほどまで感じなかった血臭、肉がちぎれる音…五感で感じられるすべてが僕の脳内に焼き付けられていた…とても、鮮明に…。
「セイタ!落ち着いて!大丈夫だから!」
「セイタ、大丈夫よ 治るから…ね!」
そんなふたりの声すらも今の僕の耳には届きすらしなかった…ただ…
「ふははははは、無様だな、滑稽だなぁ。たかが右腕1本吹き飛ばされただけでこのザマか 笑えるぜ」
ただ、ジギーロッドの笑い声だけが響き渡っていた…
パンッ…
「え…」
高く、そして鈍い音が響いた…。
その音に僕もレイティアも…そして、ジギーロッドでさえも驚きのあまり目が点になっていた。
「目を覚ましてよセイタ!命を助けるんじゃなかったの?セイタの覚悟はその程度だったの?腕なら治すから だから、勝とう…勝ってまた旅の続きをしよう」
そう、クロウナが僕の頬をぶったのだ…
「そうだよセイタ、私だってもっとふたりと旅がしたいよ…だから勝つんだよ!私たちは…」
頬も心もとても痛くなった…
だけど、おかげで目が覚めた…ふたりのおかげで…
「勝とうよセイタ!」
「やっちゃおう!セイタ」
ふたりの言葉に再び笑いだすジギーロッド…
「そんな言葉だけで強くなれたら苦労はせんよ…さぁ、諦める時だ黙ってひざまずけ…」
そんな言葉で強くなれない?苦労しない?馬鹿言え、僕はいまいつも以上に力が湧いている…これはあれだ…あれなんだ……。
「伝染するんだよ…こういうのってさ…。」
そうだ、伝染するんだ…僕はよく知っている。
「伝染?面白いことをいう人間がまだここにもいたとはな…。でも残念だ、そんな根性論に流されない方がいい。」
何を言ってもジギーロッドは笑っていた…いまはおそらく機嫌がいいのだろう…。
「ありがとうクロウナ、もぉ大丈夫だよ。特殊魔法…創造、
一か八か…できるかわからないが僕は落ちた死鴉を拾い上げその魔法の詠唱を始めてみる…。
「はっ、そんなもので腕が治るのならチートじゃねぇか、そんな無駄なことをしてる暇が…」
笑うジギーロッド…たしかに無駄なことかもしれないそう思っていたのだが飛んで無くなったはずの腕がみるみるうちに蘇生されていき吹き飛ばされる前の状態に完全に治ってしまったのだ…。
「な…そ、そんなことが…そんなことがあっていいと言うのか…。」
もちろん、僕たちだってこんなチートみたいな能力に驚いていないわけじゃないけど…
それでも絶好機だここで決めないわけにはいかない
「クロウナ!レイティア!」
2人もそう感じていたのか僕の掛け声よりも前に走り出していた、決める…絶対に…
「ここで決める!!!」
「なぜだ…なぜだなぜだなぜだなぜだ!俺が弱いというのか??俺よりアイツらの方が強かった…そういうことなのか?」
ジギーロッドの動きが止まった…
おそらくは子の絶対的不利な状況に絶望したのだろう…これで俺らの勝ちは…
そう思った次の瞬間…
先程まで何も無かったはずの上空には死鴉達が気持ち悪いほどに浮かび上がっていた。
「な、なんだこれ…」
「ふはは…ふははははは、神は…神はまだ俺を見捨ててはいなかった…それどころか俺に新たなる力をお与えになられた…さぁ、おまえらくらうがいいさ…俺の新たなる力をなぁ!」
新たなる力だと…はったりか?いや、はったりにしては自信と殺意に満ち溢れすぎている…
「
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