第8話 越えられない壁

「逃げたと思ったら貴様らこんなところにいたのか」

そう浮かれている僕たちの前に 再びジギーロッドが現れた…

「ジギー…ロッド……」

「こんなひらけた場所にいるとは思わなかったがここなら俺にとっては好都合だなぁw」

くっ…まさかこんなに早く…

でも大丈夫、僕たちにはこの強化された力があるから

「ごめんね セイタ…あんまり時間かせげなかった…でも、見つけられてよかった。」

「いや、ありがとう。これでやつとも戦えそうだ」

ほんとに、一気に強くなった気分だ…ただ……

「私はねセイタ いまはまだ霊体だから力の半分も使えないけど少しなら使えるからセイタ達に使うね」

自分のことを霊体だという彼女はそういうと、魔法を唱え始める…

特殊魔法ハイスキル 特殊魔法強化ハイスキルブースト魔力回復スキルヒール

さっきまでなかったはずの魔力が彼女の魔法でほぼMAXまで回復した…

「というか、君も特殊魔法使いなの?」

「そうなんだ。だから私も役に立ちたかったの…私の魔法 普通の魔法使いには何の役にもたたなかったから」

正直助かる…助かるけど そんなに余韻に浸っているわけにもいかない、相手は最高幹部 そんな僕たちを黙って見て待っていてくれるわけがないから…

「なにか小細工をしたみたいだがそんなものは俺には通用しない…魔法 操者 魔法 操者…超死鴉遊戯」

またしても大量の死鴉が上空へと舞い上がる…

でも、僕達はさっきとは違う 戦えるんだ!

「クロウナ!やつを倒す方法を考える!だから30秒でいい 30秒だけ耐えてくれ!」

「わかった!やってみる!」

考えろ…考えるんだ僕、30秒 その間にやつを倒す方法を探しだせ。さっきの攻撃は数箇所に分散させた攻撃を当てたからダメだった…ならどうやって…

死鴉機関銃デスクロウマシンガン

「特殊魔法…操影 影壁。」

上空に舞い上がった死鴉がクロウナに向けてマシンガンの如く飛ばされていく 魔力を回復させてもらったおかげか余裕で耐えられているようにみえる…

いや、そんなことを言っている暇はない…

「あ…」

そうだ、鉄の塊を両手で包み込んで片方の手を銃のように構えて一点集中させれば…。

「セイタ…もう無理そう……」

そう言うクロウナの方を見るととても苦しそうな顔をしていた…

でも大丈夫 あとは…

「あとは僕にまかせてっ!」

その言葉にクロウナは微笑み膝をつく。

ありがとうクロウナ…あとは僕が…

「くらえジギー・ロッド!特殊魔法…創造 鉄線弾アイアンラインガン!」

先程よりも明らかに威力の高い鉄の弾が光線のように敵に向かっていくそれを見たジギー・ロッドは微笑み

「ふっ、面白い受けてやろう…」

僕の放った攻撃がジギーロッドに当たる寸前に何かが僕の手に当たったようなそんな気がした…

攻撃は身体の横の方に直撃し貫いた。

「ぐっ…かはっ……やるなぁ、だが」

「くっ…」

これが最高幹部…ジギーロッド。

完全に舐めていた、強化された僕の攻撃なら奴と対等にあるいは勝てると思っていた…。

でも、それは思い違いだった、これは勝てない戦い

越えられない壁、高い高い壁……。

「おまえらはよくやった、だが俺の方が強かった ただそれだけのことだ 恥じることはない。せめて苦しまぬよう殺してやろう」

僕が諦めその場に座り込む、それを見たクロウナも諦めの表情をうかべ静かにくちをひらいた。

「あー、もっと旅…したかったな セイタと…。」

あぁ、なんだろ…この気持ちは諦めたのに 諦めたはずなのにでも、こんな気持ちになった所で僕にはもぉ何も出来ないのに…だからもぉ、眠ってしまおう…

それがいい、それでいいんだ……

「ダメだよセイタ…諦めたらっ!」

また少女の声が聞こえた…でも、だけど……

「セイタにはまだできることがある!それにクロウナだって!」

「ないよ…僕にはなにも……」

「命はどうするのっ!!!!!!」

その言葉を言われた時僕は突き動かさるかのように技を唱えていた…

「特殊魔法 創造 砂煙サンドスモーク!」

そうだ、まだ諦めちゃいけない 僕には…

いや、僕たちにはまだやることがあるんだ

「クロウナ!いまのうちに」

「あ、うん」

僕とクロウナは立ち上がり走り出す。

「くそ、逃げるんじゃねぇ!待ちやがれ!」

それに気づいたジギー・ロッドはすぐさま僕たちを追いかけようとしてくる…。

「させないよ!セイタ、クロウナ さっき伝えたもうひとつの場所へ向かって!私もあとで行くから!」

また助けられてしまった…見えない少女に…

先に行っているから、絶対君に会いたい……。

「ありがとう!待ってるから!」

「うん!」

僕たちは振り返らずひたすら走った…

息が切れることも忘れて走った、あの時命を置いて走った時のようにただただずっと走り続けていた…。


どれくらい走り続けただろうか おそらく看板を数枚は通り過ぎただろうから街をいくつかまたいでいることは確かだろうな…。

そして、さっき見覚えのある街を通り過ぎた…

はじまりの街 ファスト…

「ということはこの先が…」

「私たちの目指す場所…」

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