第7話 工房への案内
「ほう、別の世界から来たのか洋平さんは」
「ああ、別に隠す事でもないしな。だからこんなガントレットが作れる」
「なるほど…別世界の文明興味深い」
キエラとイーナに間に座りなんだかんだあって
歓談で仲を取り持ちお菓子をつまみながら
ギルドメンバーと仲良く自身の事情を話している
信頼してもらう為に場を設けてもらったのだ。答えないわけにはいかない
それに下手な隠し事をして敵を作るのもいただけないしな
「カガク。とやら。錬金術に相当するらしいな
キカイというのも魔道具に近いものか」
「まあ法則性は違うけどアプローチは近いかな
現に俺のいた世界と法則は差がないから作れたわけだし」
「元の世界に帰ると言ってたその時連れて行って…!」
「別にいいぜ。その代わりここで得たものもらうけどな」
「ちゃっかりしてる」
「なんかぜーんぜん話ついていけねえな」
などとカルビカはそうごちて頬杖をついて菓子をつまむ
「まったく。話を合わせるという事が出来ないの!」
そう文句を言ってユクシアもまた菓子を一つまみ
「そう?中々興味深いわよ?成長促進剤とかあるらしいし
ユクシアも作ってもらったら?」
オルビアがユクシアの胸を見ながらそう言った瞬間
「殺すわよ」
殺意がオルビアに集中、だがまったく意に介せずわざとらしく
「いやーん。怖い怖い」
とからかって楽しんでいる。どうやら各々大体の性格はつかめてきた
まあ、確かに俺の頭脳を利用しようと考えている輩ではないのは確かだ
というか俺の話についてこれているのが半数と利用しようにも理解できる人は
キエラとイーナくらいで化学式を説明してもとんと理解できていない様子だった。
(まあ催眠術めいた洗脳魔法とかあったら手も足も出ないがな)
だがそんな心配は杞憂だと俺の直感が告げる。
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――――
話もひと段落し腰を落ち着かせているとイーナが近寄って
「魔法工房。案内する。着いてきて」
そう言って再びイーナは俺の手を引いてゆく
おとなしそうに見えてそそっかしい子だなと思いながら
内心ウッキウキで工房へ俺は向かう
金属でできたいかにも魔法や錬金術関連の金色の扉を開けると
昔ながらの道具でありながら中にあるものは総て一級品だとわかる
見たところ魔法と錬金術の道具が一式揃っており
材料となる魔石や金属もまたそろっていた
魔法使いが使いそうな巨釜になじみ深いビーカーなど
俺の世界の技術に及ばないが必要なものは大方揃っているというのが感想だ
「どう?」
「いいね。良い武器が作れそうだ」
「なら作ってみる?」
「え?いや勝手に使うのはダメだろ」
「いいの。許可は貰った。それにタダじゃない。技術は見せてもらう」
「そうか、なら安心した。まあ俺の技術盗んでみろよ」
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そういって俺はまず自身のガントレットの必要な金属を生成するため工房を借りる
Al・Si・Ar=√32+KK-YB
UG=^5+ 8/66=6,443-RF
=Σ∞^55
その方程式から導き出される俺だけの金属を生成する
「それは?」
「これは俺が作ったエネルギー発生型金属『メダストルン』
自家発電でエネルギーを造り出す金属物質だ
俺のガントレットに必需品だ」
「素材は?」
「うーん。一応ありあわせのものだから完全じゃないけど
金属を溶解させて必要な物質を抽出し造り出したものだな
ここに合わせて魔石に対応させてある」
「他には?」
そのニュアンスはそれ以外の技術を教えてほしいらしい
別に減るものではないので大体のものを明かす
「あと別の世界からエネルギーを運用し武器に変える技術かな
俺の造ったアーマーに別世界からのエネルギーで新たな武装を合体させるタイプのアームズかな」
「別世界?ヨーヘイの世界にもこことは違う別の世界が存在するの?」
「ああ、植物。金属。流動体。熱核融合。生命物質を総て有する物質が蔓延する世界で
その謎の物質。俺たちはレメゲドンって呼んでいるんだけど
それをアームズとして俺たちの技術と合体させるアーマーがあるんだよ」
「ヨーヘイの文明。すごい」
「まー俺達からすれば当たり前ってだけで
ここの技術もかなり目を見張る。いつか魔力を運用した外骨格をつくりたいものだ」
「それなら協力する。私魔法使い」
「そう言ってもらえるのは嬉しいんだけどな。こういうのは自分でやりたいんだ
技術者たるもの自分で編み出さなきゃ意味がない。既存の文明にあやかっても俺が作った気がしないからな」
そう、これは俺の力だ。他者の力を借りればたやすいかもしれないが
俺は俺の力で成し遂げたい。イーナの厚意はありがたいが
俺は一人でやっていきたい
そうこうしている内に鋳型を取った機具に
メダストルンを流し込み冷却し電線を繋ぎ金属で囲う事で飽和状態を造り出し
目的のものは完成した
「早い」
「まあ俺の技術だからな」
「それってどんなこと出来るの?」
「うーん。応用として原子の結び目が強い物質に対し破壊をもたらし
逆に原子結合があまりない生物とかにはダメージがいかないグリッツフォートニアが撃てるな」
「???」
「あーつまり、光を放つもので金属みたいに固いものは壊せて人間に対しては吹っ飛ばすだけで済む魔法みたいなものだな。つまり非殺傷武器だ。それが手のひらから出てくるんだよ」
「なるほど、光魔法だね」
「そーいうことだな」
「でも何で人を殺さないものを作るの?」
「──────」
それは、俺の世界とこの世界の価値基準の違いを表していた
文明水準もそうだが時代的にも人殺しは倫理に当てはまる時代で
それを間違いだとは言わない。そうでなければ生き残れない過酷な世界
俺はまだこの世界のことをまだあまりよくわかっていないと理解できるセリフだった
だが…俺の世界の価値基準をなくさない為に、なにより進んで人を殺したくない為に
「俺が俺でいられるため…かな」
「そう」
そう言って工房を後にする。立ち去る前に「この工房を貰っていかないか」という誘いがあったが却下した。
貰い物で満足する人間じゃないしこれはこのギルドのものだ。イーナ曰くここでは技術者が少なく宝の持ち腐れと言ったがそれでも貰う気はない
頂けば楽になる。それを知っていても俺は断る
その理由は簡単だ。誰かの施しを受けるほど俺は弱くはない
理系男子の異世界転移 異世界にはない科学技術で俺だけが無双する 竜翔 @RYUSYOU
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