第36話


「貴方達はどうしてちょっと目を離すとトラブルを起こすんですか!」


俺と俊は後始末に困りとりあえず伏見を呼んで事情を話したらその場に正座させられ怒られていた。


「いや、俺ら被害者だから!」


「そうだそうだ!」


「この忙しい時に余計なことに巻き込まれたのが悪いです!」


弁明というか、襲われたのは事実ですがなのだが伏見にしてみれば組織改変で忙しい時に休みを取った挙句にトラブルに巻き込まれて後始末を押し付けられたのもまた事実なのでそれ以上は俺たちは何も言えなかった。


「とりあえずこの襲撃者2名は尋問して目的などを聞く必要があるので私が連れていきます。でも間違って殺したとか言わなかったのは幸いでしたね。」


「あんま聞きたくないんだけど、もしそうなってたらどうなったんだ?」


「襲撃されて返り討ちにしたなら問題にはなりませんけど、その後始末をさせられた私が貴方達を殺してましたね。」


((あっぶねぇー!!!))


そう笑顔で語る伏見の言葉に俺と俊は目を逸らした。

間違ってもこれからは一時の気の迷いなとの短慮な事は慎もうと思った。


「さぁ帰りますよ、休暇は終わりです。帰ったら今回の件の報告書作成してくださいね。室長に提出するのでふざけた事は書かないで真面目に作ってくださいね!」


「「うっす」」


伏見の圧に俺たちは軽口の一つも言うことが出来なかった。

それから本部に連れ戻された真面目に今回の報告書を作成した。


「ところでこの本部ってどこにあるんだ?俺らは毎回伏見さんに連れてきてもらってるから直接建物の中に出るからここがどこにあるのか知らんのだけど。」


30分程かけて報告書を作成しそれを伏見にチェックしてもらっていた俺はふとした疑問を伏見に投げかけた。


「それは本来なら機密事項なんですけど伊藤さんは知ってた方がいいですね。実はここ小さな島なんです。島と言っても陸から300メートル程しか離れてないんですが外から見るとただの岩だらけの島にしか見えないよう異能力によって隠蔽されています。」


「へぇーそれじゃここに人が間違ってくることはないんだ?」


「はい、島の周りも海流の流れが速く泳いでくるのは難しく、岩の暗礁が多いので船でも近づくことは難しいですね。つまり場所ですね。」


「なるほどな、つまりは上陸するような奴がいれば悪意を持った侵入者ってことか。」


「そうですね。ですが過去に一度もそんな人はいなかったので不要な心配ですね。報告書問題ないですね。なんでこんなに仕事はできるのに普段の行いが悪いんですかね。」


伏見は報告書の不備がないことを確認しながら俺の疑問に答えてくれた。

来ようとしなければ来れない場所、か。

でもめっちゃ説明がフラグっぽいんだよな…


そう思っているとドアが荒々しくノックされ返事をする前にドアが開かれ、20代の女性が慌てて入室してきた。


「どうしたんですか!ちゃんと許可を――


「緊急事態です!島に武装した集団の上陸が確認されました!」


伏見がそれを咎めようとしたが、

それを遮って女性が緊急事態だと報告してきた。


俺と伏見は先ほどの話もあったので驚きで少しの間顔を見合わせていた。






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