第26話


「心頭滅却すれば火の玉だって関係ねぇ!!!」


俺が右手で殴った火の玉はそのまま魔族に跳ね返った。その後に続いて飛んできた三発の火の玉も左手も使い左右のコンビネーションで殴り返した。


「そしてついでに死ね!俊!」


最後に飛んできた火の玉は俊を狙って思いっきり殴った。


「おい!ふざけんな!」


俊は異能力で壁を出して防いだが、

魔族は跳ね返した4発の火の玉全てが直撃して炎に包まれた。


「悠、いまだ!やれ!」


「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」


悠は俺の指示に従って燃えている魔族に一気に近づいて衝撃波を放った。

昨日の夜と同じ悠のMAXの叫びで出た衝撃波は炎に包まれたままの魔族を俺の方に吹き飛ばしてきた。


俺はなんの躊躇もなく右手を引いて力を溜めると飛んできた魔族を思いっきりぶん殴った。


「これでも食らえ俊!」


もちろん狙いは俊だった、

だが俊も俺が狙っていたのは分かっていたようであらかじめ壁を準備していた。

その壁は少し上向に生成されていた為、壁に当たった魔族は真上に跳ね返された。


「悠!真上に向かってもう一発!」


悠は俺の無茶振りに瞬時に反応すると落下してくる真下に移動して上向に再び衝撃波を出した。


悠の衝撃波に飛ばされた魔族は天井を突き破って空高くまで吹き飛んだ。


「俺には我慢ならない事がそこそこある。」


「いや、心の中地雷原かよw」


「うるせぇ、その中でも特に嫌いなのは太った事を指摘する奴とぉぉぉ!無理矢理走らせてくるヤツだぁぁぁぁ!」


俺はそう叫んで遥か上空から落下してきた魔族に向かって光輝く右手でその背中にアッパーを喰らわせた。


魔族の身体はくの字にまがり、

いやもはや「く」ではなく「つ」のような曲がり方をしている。


そして魔族が入ってきた北側の入り口の方に吹き飛び転がっていった。


「……やった、の…?」


伏見は目の前で起きた事が信じらないといった表情で魔族が転がっていった方を見ている。


「くっ、これは…まずい…」


「どうした怜治?」


俊と悠はアッパーをした後の体勢のまま動かない俺を不思議そうに見つめる。


「腰をやったかも…しれない…」


俺はそのまま腰の痛みに耐えながらゆっくりと倒れた。


「おっさんかwすいませーんwぎっくり腰1人でーす、担架お願いしまーすw」


俊はそんな俺を見て爆笑している。

悠は学習したようで笑わないように必死に口を押さえている。

伏見は急いでスマホを取り出してどこかに連絡しているようだった。


だがそんなやり取りを俺たちがしていると魔族が起き上がりまた火の玉を放とうとしていた。

俺たちは誰もその事に気付いていなかった。


しかし、1人だけ気付いていた男がいた、


「みんな危ない!!!」


それは健だった、

健はその身体を黄金に輝かせて魔族に向かって全力で体当たりをした。

それはまるで流星のようで魔族の体を貫いた。

貫かれた魔族は身体がヒビが入ると砂のように細かい粒になってそのまま消えてしまった。


そして体当たりをした健はそのまま外に飛んでいった。


「健んんん!!!!」


「俊!悠!俺の事はいいから健回収してこい!」


俊と悠は大慌てで外に飛んでいった健を探しに行った。


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