第25話

魔族が発した言葉は全く俺には理解できない言語のようだった。

そもそも言語なのか?雄叫びだったりしない?


「!:$*■×&▲☆□ ‼︎」


魔族はその4本の腕を組んで偉そうな態度で何かを言っているのでやはりこれは魔族の言語なんだろう。


「伏見さ「わかりません」


「うっす」


俊が聞こうとすると伏見が被せるように言ってきた。


「実はめちゃくちゃ平和主義者でこっちと交流しにきた使者だったりとかはないですかね?」


「むしろ前の魔族を倒しているので復讐の方が可能性あると思いますよ。」


「それは確かにそうか。正直言葉が通じないのにいきなり武力行使するのも気が引けません?」


「一応過去の事例から非公式ですが世界的には敵認定はされてますよ。」


俺たちがそんな話をしていると痺れを切らしたのか、

魔族は自分の周囲に炎の玉を2つ展開してそれを俺たちに飛ばしてきた。


「くっ!」


俊がまた壁を生成して火の玉を防いだ。

だがこれで平和的な意思がない事は明白になった。


「これで正当防衛というとでいいよな?」


「まぁあの火の玉食らったら死ぬだろし仕方ないわな。」


「そんじゃやるか。作戦は俺が囮役で攻撃が飛んできたら俊は壁で上手い感じで守ってくれ。そんで気を逸らしたら横から悠の衝撃波でぶっ飛ばす。正直それが決定打になるかは微妙だけどそれ以外の作戦は厳しいだろうな。」


「確かにあの腕に掴まれたら逃げられないだろうしな。」


「伏見さんは健と辺見さんを見てて下さい。」


「わかりました。2人は私が守ります。」


「悠は俺が囮になってる間に出来るだけヤツに近づいて至近距離でデカいの喰らわせてやれ!」


悠は頷いてマスクを外して準備万端のようだ。


「俊は俺と悠の中間でどっちにも壁張れるように準備しててくれ。あと余裕があればその壁でアイツの動きを制限してくれ。」


「了解、確かに守り以外の使い方も出来るな…怜治も無理すんなよ。」


俺の言葉がヒントになったのか俊は少し考えるようなそぶりをした。


「怜治…!僕もなにか出来る事ないの?」


「健は伏見さんと一緒にいてくれ。まだ身体の暴走収まって無いんだろ?あ、でももしも俺がヤバかったらそのすごい身体能力でアイツに体当たりで吹っ飛ばしてくれw」


「わかったよ…でもその時はちゃんとぼくを呼んでね!」


正直身体を満足に動かさない健は逆に自滅する可能性があるからあまり動いて欲しくはない。

だがそう言ってしまうと健が傷付くと思い少し冗談のような事をいって濁すしかなかった。


「よし、んじゃやるか!」


俺はみんなから左側の方にズレて魔族に向かって叫ぶ。


「この〇〇〇〇野郎!お前の×××は△△△だなwそんなんじゃ◻︎◻︎◻︎出来ないんじゃねーの?w」


とりあえず思いつく暴言を自分が出来る最大のムカつく表情で言ってやった。言葉が通じてないだろが少しくらい気が引けるだろう。


だがそれが効いたのか俺の顔の横を先ほどの火の玉が通過していった。


「お前絶対俺の言葉わかってんだろ!」


それから連続で俺の方に火の玉が飛んできた。

怒りのせいなのかコントロールがめちゃくちゃで後ろの壁や二階の窓を破壊している。


「俊!ちょっ!ヤバいって!壁!壁早く!」


「大丈夫だ!怜治ならまだいける!お前運動不足で太ったんだから丁度いい運動だろ?w」


「ふざけんな!しぬわ!ちょっ!タイム!タイムお願いします!」


それでも俺に火の玉が絶えず飛んでくる。


「クソが!ふざけんな!お前絶対許さんからな!俊も魔族も一緒にぶっ飛ばしてやらぁ!!!」


俺がそう叫ぶと呼応するように俺の両手が光り輝いた。

それを見た俺は根拠のない自信が生まれその場で立ち止まり魔族の方を向いた。


そして俺は飛んできた火の玉を右手で思いっきりぶん殴った。




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