第23話
俺たちがいた伏見の異能力でつくった体育館にそっくりな空間に小さなひびが入るとそれが音を立てて大きな亀裂になっていく。
「まずい!みなさん私の近くに集まってください。」
「悠! 健を背負ってこい!」
焦る伏見が自分のところに集まるように指示をすると、
俺は悠に健を背負うように言って自分は床で寝ている辺見を背負った。
そして全員が1か所に集まったのと同時に伏見の異空間は割れて砕けた。
体育館の空間が割れたが先ほどと景色はなにも変わらず同じ体育館の中にいた。
だがこれはおそらく…
「もしかしてこれ現実の方だったりします?」
「ええ、そうですね。誰かが私の異空間を破壊したようです。」
「それって絶対強いやつですよね?」
「少なくとも私より強力な異能力者なのは確実です。」
「ですよねー。聞きたくなかった。」
俺の予想は当たっていた、
そして聞きたくない事実もついでに聞いてしまった。
「もしかして昨日襲ってきた人かな…?」
「いやそれなら昨日すぐに再襲撃にきただろ。」
「あ…たしかにそうだよね…」
健が昨日の襲撃者ではないかと言ったが俺はそれは違うとおもった。
あと自分が思ったより冷静なのに驚いた。
「伏見さんこれなんとか逃げられたりしません?」
「どこかの扉を私が開けられればすぐに別の空間に飛べます。相手の能力がわかりませんが数か所異空間を経由すれば撒けると思います。それか私が囮になりますからその間に逃げてください。これは私の不始末が原因なんですから…」
「とりあえず囮は却下です。えっと近くの扉は5か所か…」
俺は伏見の囮作戦を却下し作戦を考えた。
体育館の北側に正面の入り口が一つ、
それと西側の北寄りと南寄りに一つずつ、
そして東側もその対面に一つずつの合計5か所。
俺たちが今いるのはだいたい体育館の中央だ。
全部とだいたい同じくらいの距離か。
「とりあえず敵の姿見えたらその反対にダッシュするのがベタでだよな。」
「そうだな、けど敵が単体とは限らないからそれも考慮すべきだな。」
「確かにそれはそうか、では敵が見えたら悠を先頭に後ろは伏見さん、俺、俊の順番で行きましょう。悠は健を背負ったままダッシュして目の前に敵が出てきたら昨日みたいに大声でぶっ飛ばせ、健は悠に指示を頼む。俺は辺見さんを背負う、俊は殿で後ろから攻撃されたらA〇フィールドな。」
悠は俺の言葉に力強くうなづいた。
「わかった、悠君迷惑かけてごめんね…」
健が申し訳なさそうにそういうと悠は首をぶんぶん横に振った。
「気にすんなっていってんぞ。あとこの期に及んでA〇フィールド呼びやめろw作戦は分かったぜ。」
俊は悠の気持ちを代弁してくれた、
そしていつものように俺に軽口を返した。
「貴方たち何を言ってるんですか!いいから私を囮にして逃げてください!」
「いやいや、伏見さんがドア開ければ何とかなるならそっちの方が確実でしょ、それにこういうときもうちの大将は頼りになるんだから任せとけって、な?」
「大将っていうのやめろ。まぁやれるだけやってみましょうよ。」
「貴方たち…わかりました、私も伊藤さんの指示に従いましょう。」
俺たちはそうして決意を固めた、
まだ見えない敵の姿に警戒していると、
どこからか何かが爆発するような振動と激しい音が聞こえた。
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