第22話


「それでは最後は伊藤さんですね。」


「はい、よろしくお願いします。」


なんだかんだでやっと俺の異能力ってやつを鑑定してもらう番になった。

昨日から散々不思議な現象を目にしてきたがいまだに実感がなく他人事くらいの感覚だ。


「それではー気合を入れて始めますねー」


「いや普通で大丈夫だから…」


妙に張り切っている辺見だが毎回鑑定を終える度に横なっているのを見る限りかなり体力を消費しているようなので小柄な辺見が健と被ってすこし心配になっている。


そして俺も辺見が出した正方形の中にはいると不思議な感覚に包まれた。

正直に言うと閉じ込められているような息苦しさが若干不快に感じた。

あとそんなにみんなで見られると恥ずかしいので勘弁してほしい。


しばらくそのまま立っていたが他の3人の時と違い辺見がボーっと俺を見ているだけでPCの入力操作をまったくしていないことに気づいた。

伏見もそれに気づいたようで辺見に声をかけた。


「辺見どうしたの?なにかあった?」


「えっとー…わかりません…」


「え?どうしたの?」


「伊藤さんのー異能力の鑑定結果がー見えないんですー…気力に近い力は感じたんですがー詳細まで見えませんでしたー…」


辺見はそういうと異能力を解除したようで俺を囲んでいた結界が消えた。

俺はなにがあったのか分からず伏見にどういうことなのか聞いた。


「そんなことってあるんですか?過去に同様のことがあったとか、もしかしてやっぱり俺は異能者じゃなかったとか?」


「いえ、考えられるのは異能力が鑑定出来ないほどの弱さか、まだ異能力が目覚めきっていないの2つくらいでしょうか…」


伏見は俺にそういうと俊の方を見た、

それに気づいた俊は伏見の近くにいきまた二人でコソコソと話し始めた。


「えっ?!貴方それ…! なんで……! …ですか!」


「いや、もしかしたらの話… まだ確証…! 実家…… かんねぇわ!」


話の内容は少ししか聞こえないが先ほどとは違い俊も語気を荒げているのをみると俺の鑑定結果にでもいちゃもんをつけてるのだろうか?

高校の時に俺のテストの結果がおかしいって勘違いした俊が職員室に文句言いにいったこともあったな…

あのあとアイツめちゃくちゃ怒られてたっけ。


おれがそんなことを考えていると二人が戻ってきた、


「とりあえず伊藤さんは気力タイプの可能性が濃厚ということです。ですがもう少し詳しい鑑定や検査が必要なのでこの後私たちと本部に来てもらいます。」


「あーセカンドオピニオンてきな?」


「むしろ町医者から大学病院紹介される感じだろ。」


「なるほど、そっちか。」


「どっちでもいいですがそれが最優先事項です。さぁ行きましょう。」


俺と俊がまたくだらない話をするともはや伏見も慣れたのかさっさと俺を連れて行こうとする。

てかそんなに急ぐ必要あるのか?

そんなに急いでいったあげくただのクソ雑魚異能力でしたとかなったら俺恥ずかしいんだけど。


そう思いながら伏見についていくと移動のために伏見が異能力を発動した瞬間、


――――世界にひびが入った――――



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