第21話


「さて、次はどちらにしましょうか?」


「それじゃ俺が行っていいか?」


伏見がそう言うと俊が手を上げて俺に確認してきた。


「あぁ別にいいぞ。でもお前の異能力ってA◯フィールドなの分かってんだから見てもらわなくてよくない?w」


「うるせぇわw違うかもしれないだろ。」


「はいはい、いいぞさっさと見てもらえよ。」


「貴方達は毎回ちゃちゃを入れないと話が出来ないんですか?」


伏見は呆れた表情で俺たちを見ている。

そしてそのやり取りを見て健もクスクスと笑っていた。


「それじゃ次は佐藤さんですね。」


「あ、ちょっといいすか?」


俊はなにやら伏見と小声で話をし始めた。


ちなみに俊が近寄った時に露骨に伏見が嫌な顔をしていたのを俺は見逃さなかった。


「わかりました、ではそうさせていただきます。」


「すいません、助かります。」


「では改めて始めましょう。辺見お願いね。」


2人の話が終わると先ほどと同じように俊が結界のようなモノに覆われ辺見がPCの入力を始めた。


俊は結界の中で1人で変なポーズをしていたが全員が無視をしていて最後には辺見に怒られていた。


それから5分ほどして鑑定が終わり伏見はスマホに送られたデータを確認すると驚きの表情を浮かべた。


「ちょっと!貴方これ!」


伏見はスマホから顔を上げて俊を引っ張って体育館の隅に連れていってなにやらまた2人で話始めた。


問い詰める伏見となにやら否定している俊、

側から見ると浮気を問い詰める女とシラをきる男のようだった。


それを健と悠に言うと笑っていた。

少しして2人が戻ってきた。


「はぁ…とりあえず説明をしますね。佐藤さんの異能力は気力タイプで透明な物体を具現化する系統のもののようです。」


「使い方次第ではかなり応用の効くものですね。あとは具現化するモノのサイズや質量などは使用者の練度次第で成長するはずです。」


「現状は暴走もないようなので特に問題はないですね。」


伏見は俊の異能力について説明をしたがその前の健や悠と比べると少し簡単な説明のように感じた。

その前に2人でコソコソ話していた事を考えるとなにか俺たちには言えない事があるのだろう。


俊のやつは昔からそんな節があるからな。

まぁだからといって問い詰めたりするつもりはない、

俺も健も悠もそうだからな。


言いたくない事は聞かない、

聞いてほしい事は聞く、

俺たち4人はそうだったから一緒にいれた。


それぞれ抱えているモノがあって、

お互い近すぎず遠すぎず気楽な距離感でいるこの4人がとても楽しかった。


だから話してくれるまで何も聞かない。


もちろん多少の寂しさはあるけどな。





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