第20話


「さて、それじゃ次は渡辺悠さんの鑑定をしましょうか。辺見、もう大丈夫?」


伏見は次は悠を指名した。

悠はそれに黙って頷き了承の意思を示した。

それから伏見は床で寝ていた辺見に声をかけ起こした。


「はーい、大丈夫ですよー。それじゃ他の人は離れてくださいねー」


伏見の呼びかけに辺見は起き上がると悠の方を向きPCを準備した。

そして再びアイマスクを外すと悠は結界のようなものに覆われた。


また5分ほど辺見が無言でPCに何かを入力している。

俺は無言でその様子を見ていると俊が俺の脇腹を突いてきた。


「なぁ、悠の異能力なんだと思う?」


「普通に考えたら声で衝撃波を出すとかじゃない?」


「普通に考えたらそうだけどさーそれじゃつまんなくない?」


「つまるとかつまらないの問題じゃないだろ」


「そこの2人静かにしていてください」


「「うっす」」


話をしていた俺と俊は伏見に怒られ睨まれた。

ほんと俺らは昔から怒られてばっかりだ。


そんな事をしているうちに悠の鑑定が終わったようで、先ほどと同じく伏見にデータを送ると辺見はまた床で寝始めた。


伏見はまたそのデータを見てしばらく考え込むとやっと口を開いた。


「なるほど、渡辺さんも魔力タイプの異能者ですね。」

「一般的な魔力タイプと同じで身体能力強化よりも放出する方が向いているようです。ただ驚くべきは魔力の保有量が辺見では測定しきれない程で最低でもいま日本に居る魔力タイプで1番多い魔力量の人の30倍はあるそうですがおそらくはもっと多いだろうとのことです。これほどの魔力があればまさになんでも出来るでしょう。」

「そして気になるのが体内に気力の痕跡があったようなのですが何か心当たりはありませんか?」


「………?」


伏見の言葉に悠は少し考えたが心当たりがないようで首を横に振った。


悠が嘘つく事はないので実際そうなのだろう、

しかし脳筋なので分かってないとか覚えてないとかはありそうだが…


「そうですか、気力は武術の達人や軍人、トップアスリートなどが目覚める事があるので渡辺さんのような身体付きの方ならありえるかもしれませんね。」


伏見のその説明に俺は少し納得した、

それならば悠は身長は190以上あるし身体も筋肉質で軍人やプロスポーツの選手と言われても違和感はない。バカだけど。


「あとは今の問題を解決する方法なのですが…山本さんと同じで中々難しいですね。自力で制御以外だとマスク形の魔道具などで声からの魔力を堰き止めるとかでしょうか?」


「………?」


「あー、とりあえずまだ喋るのは我慢しろってさ」


伏見の説明が理解できずに頭に?を浮かべている悠に俺は簡単に説明をするとなんとか分かったのか何度も頷いた。


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