第17話
辺見は床に座り持ってきたノートPCを操作し始めた。
アイマスクしたままだけど見えてるのかそれ?
俺がそんな事を考えていると辺見は準備を終えたようだ。
「はーい、準備ができましたー。誰から見ますかー?」
「では最初は山本さんからにしましょうか。現状一番大変なのは山本さんですからね。」
「え…僕からですか…えーっと、よろしくお願いします?」
伏見が最初に指名したのは健だった。
健は少し驚きながらもベッドに横になったままおとなしく指名に従っている。
まぁいまだに下手に体を動かすと周りの物を壊したり壁にめり込んだりするから優先的に見てもらって対処が必要ってのは確かにそうだな。
「わかりましたーそれではー始めますねー」
辺見はそう言うと健の前に立ちアイマスクを外した、
(もちろん今度は下にもう一枚仕込んでいたりはしない)
するとベッドに横になっている健を囲うように正方形の結界のようなものが現れた。
「あ、この中には他の人はー絶対入らないでくださいねー。僕の頭が情報過多でパンクしてー鼻血吹いて死んじゃいますからー」
本当か嘘か分からないが辺見は笑顔で俺たちに注意をしながら手元のノートPCを操作している、
いくらクソガキムーブをするような俺たちでも死ぬとまで言われたらそんな事は出来ない。
そして5分程同じ状態が続くとようやく終わったのか健を囲んでいた結界のようなものが消えた。
「伏見さーん、いまスマホに山本健さんのデータをーまとめた資料をおくりましたーみてくださーい。」
「ありがとう辺見、皆さんに説明しますので少し休んでいてください。」
「はーい、それじゃ10分くらい寝ますねー」
伏見がスマホで送られた資料を確認すると、辺見はそのまま床に寝そべり一瞬で寝息を立てて寝始めた。
「それで…僕はどうしたらいいんですか…?」
健が不安そうに伏見を見つめる。
その姿はとても俺と同い年のおっさんにはとても見えない。
そして暫しの無言のあとようやく伏見が口をひらいた。
「まず結果から話しますと山本さんは魔力タイプの異能力ですね。」
「それも身体能力強化に特化したかなり変わったタイプのようです、先ほども説明しましたが魔力タイプは幅広く応用がきく、言うなればなんでも出来てしまう異能力です。ですが山本さんの場合は極端に魔力が体内で巡りやすいゆえにかなりのレベルでの身体能力強化になっていますが、逆にそのせいで体外に放出するような使い方はあまり向かない性質となっているようです。」
「それと魔力の保有量はあまり多くはないようですね。ですが魔力の回復は過去に類を見ないほどの回復速度になっています。現在の発現初期の暴走状態の魔力消費だと一般的な魔力タイプなら5分も持ちませんが山本さんはその消費とほぼ同程度の回復をしています。だから一日経った今でもその状態が続いているのだと思われます。実質無尽蔵の魔力と言っても過言ではありませんね。」
「そして現在の症状を改善するには一旦魔力を空にするのが一般的且つ望ましい方法ですが流石にその回復速度だと難しいですね。自己での魔力消費が難しいとなると呪い系の異能などで身体能力低下や魔力消費の増大などをしても貰うしかないですかね…」
「そう…ですか。呪い…それなら…」
伏見の説明を一通り聞き終えると健は何か気になることがあるのか、
落ち込んでいると言うよりは悩むような様子だった。
「えーっと、つまりは健は無尽蔵なめちゃくちゃな身体能力が異能力ってことか。」
「でも健てとんでもない運動音痴じゃなかったか…?」
「………」
ざっくり健の異能力をまとめた俺に俊が思い出した事を確認するように聞いてきた。
俺は悠の方に視線を向けると悠は無言で頷いた。
「身体能力最強の運動音痴、しかも無尽蔵に動けるとかまずいだろ…」
顔を見合わせ心配している俺たちを余所に健は一人で何か考えているようだった。
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