第15話


それから俺は昨日外に出た経緯と外で襲われたことを正直に伏見に話した。


「はぁ…なるほど、確かに私の方も至らなかった点があるようですね。ですが私が外に出るなと言った理由も十分体感してもらえたのではないでしょうか?」


あきれる伏見の姿が高校の時に何度も世話になった生徒指導の先生と被ってみえた。

あれ?もしかして俺らあの時からなんも成長してない?


「すいません、正直いまだに実感もないんですけどただ自分たちに降りかかる危険については理解しました。」


昨夜の襲撃でした生まれて初めて命を狙われるという経験、

高校時代に喧嘩に巻き込まれたことがあるが勿論比べものになどならない。

仕事で海外に行ったときに強盗にあったときですら突き付けられたナイフに、

刺されたら痛いだろうなという感情しか湧かなかった。

だからこそあそこまで明確に死を近くに感じて自分の中で何かが変わった気がする。


「今後は少なくともこちらで保護しているうちは私の言葉は守ってくださいね?」


「もちろんです、あそこの馬鹿も含めて守るようにします。」


「ありがとうございます、これでやっと本題に入れますね。今日は4人に目覚めた異能力を詳しく調べたいと思います。もう少ししたら異能力を調べる力をもった異能者を連れてきますので皆さんに身支度を整えておくようにお伝えください。」


伏見はそれだけ言うとまた姿を消した。

残された俺はいまだに自分に異能力なる不思議な力があることを実感出来ていなかった。百歩譲ってそんな力があるのは認めよう、しかし他の3人と違いこれと言った変化を感じていないのが自分を納得させられない理由である。


「まぁいまから来るっていう調べてくる人に見てもらえば全部わかるか。」


「ほら、さっさと起きろ俊。悠と健のところにいくぞ」


声をかけても起き上がらない俊の足を引きずって体育館の方に向かった。

それから二人に先ほど伏見から言われたことを伝えて朝飯はないのでとりあえずシャワールームで汗を流した。


一時間ほどして伏見が一人の男を連れて現れてた、

その男はスーツ姿で年齢的には20代だろうか?

身長的にはそこまで高くなさそうで健と同じ小柄と言った表現が似合う男だ。

しかし一点だけ気になるところがある、

それはなぜか目が書かれたアイマスクをしているところだ。


それ睡眠用のやつじゃね?


「お待たせしました。こちらがうちに所属している鑑定者の辺見です。」


伏見が男の名前を紹介すると辺見と呼ばれた男は一歩前にでた。


「はーい、辺見でーす。よろしくお願いしまーす。」


間の抜けた辺見の挨拶を伏見が叱る。


「辺見、ちゃんと挨拶しなさいっていつも言ってるでしょう?。ごめんなさい、こんな感じですが鑑定者としては優秀ですのでご安心ください。」


俺は後輩(おそらく)を叱る伏見が毎年新人教育をしている自分と重なり親近感を感じて少しほっこりしてしまった。


「大丈夫ですよ、それでその鑑定はどうやって行うんですか?」


俺は辺見に鑑定方法について尋ねた。

すると辺見は得意げに説明を始めた。


「それはーこの眼でみるんですー。そうするとーその人のことがー、何でもわかるんですー」


間延びする喋り方で嬉しそうに説明した辺見はこれ見よがしに目隠しを外した、


すると外したアイマスクと違うデザインのアイマスクがその下に付けられていた。


「アイマスク何個つけてんだよ!」


俺は思わずつっこんだ。




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