第6話
「それにしてもこんだけ派手にぶっ壊したり騒いだりしてる割には病院の人とか誰も来なくないか?」
「うむ、たしかに隣の部屋にも人が居るのだから誰も来ないのは不自然だな」
一旦落ち着いた俺は誰もこの部屋に来ない事を疑問に思うと悠も同じ事を思っていたようだった。
「確かにそうだよな、病院で騒いでたらすぐに怒られるからな」
「僕としては危ないから誰にも来てほしくないけどね…」
そんな事を4人で話していると病室の入り口の方から声が聞こえた。
「お話中のところ失礼します」
俺たちは声がした方を見るとスーツを着たメガネの女性が入り口に立っていた。
「すいません!騒がしくして!壊した物とかは全部コイツが精算しますので!」
俺は俊を女性の方に突き出しながら頭を下げた。
「いえ、それには及びません。ここは私が能力で作った別空間ですので」
「あー、貴女もそういう感じね」
俺は女性の口から能力とか別空間などの言葉が聞こえてきたので即座に理解する事を諦めた。
「まずは自己紹介を、私は異能力特別対策室に所属しています伏見ちひろ《ふしみ ちひろ》と申します。今回は皆様が異能力に目覚めたとの事でしたので保護に参りました」
そう言って彼女が差し出そうとして来たので反射的に俺もポケットから名刺入れを取り出して彼女と名刺交換をする。
「社畜が極まりすぎて名刺交換への反応が早すぎてうけるw」
俺の体に染みついた社畜魂を俊が笑っているが、
俺はそれが気に食わなかったので無視する。
「それで伏見さん、保護ってどういう事なんですか?」
俺は先ほど伏見が言っていた言葉の意味を知ろうと質問をする。
「そのままの意味です。異能力に目覚めた人の殆どが能力を上手く制御することが出来ずに様々なトラブル、事件や事故を起こしてしまいます。そうならない為に我々が一度保護して制御の仕方や異能力との向き合い方をお教えしております」
「なるほどね、それなら丁度ここには力を制御出来ない人外と笑うと衝撃波が出る人外、あとは透明な壁を出す馬鹿がいますからね」
そう言って俺は友人達の方に視線を送る。
「はい、それと怜治さん貴方も異能力に目覚めていますよね?」
「は?」
何を言ってるんだこの女は、
そう思いながら俺は心当たりがないか思い返したが何も思い当たる節は無かった。
「いやいやいや、私はちょっと心が病んでる一般社畜ですよ?力の制御も出来るし衝撃波も出さないしA◯フィールド(笑)も出さないですよ!」
「なんで今俺の能力馬鹿にした?」
俊から非難の目で見られているがスルーで。
「いえ、間違いなく怜治さんも異能力に目覚めていますよ。ただ現状それがなにかまではわかりませんが」
伏見は確固たる自信があるようだったが俺からしてみればまさに寝耳に水だ。
「異能力に目覚めた人は例外なく魔力や気力などが身体から漏れ出していますから。怜治さんからもそれを感じられます」
「加齢臭がヤバすぎて具現化したとかじゃない?w」
「うっさいわ、部屋の隅でA◯フィールド張っとけ」
俊の脇腹を殴ろうとしたら見えない壁で阻まれた。
コイツもう使いこなしてないか?
俺は壁を殴った手を振りながらも無表情を貫いてあくまでなにも無かったように振る舞う。
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