第5話


病院についた俺は受付で3人の病室を聞くと全員が同じ病室に移ったとの事なので受付で聞いた病室に向かうとなにやら病室の中が騒がしかった。


「ごめんなさい!ごめんなさい!」


「ハッハッハ!」


「それどうなってんだよマジでw」


病室の中を覗いてみると、

枕や布団、椅子からベッドまでが散乱し、

部屋の窓は全て割れていて、

ここだけ大嵐が来たのかと思うほどの酷さだ。


そしてなぜか健は壁にめり込み、

それを見て笑う悠の笑い声でベッドが吹き飛んだ。

そのベッドは笑い転げる俊に当たりそうになったがまるで見えない壁にでも当たったかのように不自然に遮られた。


「ふむ、やはり俺は頭がおかしくなったようだ」


俺は目の前の非現実的な光景に目を背けて立ち去ろうとしたが、俊に見つかってしまう。


「おっ、怜治じゃん!俺らのお見舞いに来てくれたのかよ!さすが俺達の親友だぜ!」


そう言って俊は俺の肩に腕を回してきた。


「せっかく来たんだ俺らと一緒に怒られてくれ、そんでどうしてこうなったのか説明してくれ」


こいつは昔からこうだ、

何か問題を起こしたら毎度俺らを巻き込んで最後はなぜか一緒に謝らせられる。

だがまぁ俺も人の事を言えないので渋々受け入れるが。


「はぁ、わかったよ。一緒に怒られてやるけど部屋の修繕費とかそんなのは知らんからな。あとついでにどうしてこうなったかは俺が知りたいわ!」


俺は俊が肩に回していた腕を振り払うと渋々病室に入ると足元に散乱した布団やベッドの破片などを足で端に押しやりながら壁にめり込んでいる健のもとに向かう。


「そんで健、お前はなんで壁にめり込んでんだよ」


俺は健を助けようと手を伸ばすが健がそれを制止する。


「まって!僕、力の制御が上手くできなくてナースコールを押そうとして壁を壊したり、ベッドから立ち上がろうとしたら天井に突き刺さるし、いまは歩こうとしたら壁にめり込んじゃったんだ!だから今の僕に触らないで!」


「いや、台詞が完全に人外なんだが」


健は涙目になりながら説明してくれているが、

訳が分からなすぎてとりあえず俺はツッコミを入れるしかできなかった。


「はっはっは!」


俺と健のやり取りに悠が笑った、

その瞬間俺は何かに吹き飛ばされるように壁に衝突した。


「いってぇ…なんだよこれ。」


俺は立ち上がり壁にぶつかった肩を摩る。


「すまんな、なぜさっきから俺が笑うと衝撃波が出てしまってな」


「いや、お前も人外かよ」


これで友人3人のうち2人が人外になってしまった。

これは悪い夢なんじゃないだろうか?

だが肩の痛みがこれが現実だと言っている。


「おい、俊。お前は大丈夫なんだろうな」


俺はまさかと思いながらも聞いてみることにした。


「俺はなんか透明な壁とか出せるわ」


「だから意味がわからんのよ!」


俺は何も理解できない状況の中、とりあえず大きな声でツッコミを入れる事しかできなかった。





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