第4話


翌日、俺はいつものようの5時に起きると朝食をとり身支度を整えて6時には会社へと向かう。

会社へは車で20分ほどで早朝なので道路ももちろん空いている。

会社に着き駐車場に車を停めると更衣室のカギを開けて作業着へと着替える。


「あれ?俺こんなところに痣なんてあったか?」


着替えようと服を脱ぐと右腕に5㎝程の大きさの黒い痣が出来ていた。


「きっとあの事故の時にできたやつか。っとそんなの気にしてる場合じゃないな、さっさと事務所と現場の鍵開けて中確認しないとな」


先日の爆発騒ぎで出来た痣だと思い深く考えず、

いまは仕事の進捗確認が先だとさっさと作業着に着替えて更衣室を出ていく。


食品工場に勤める俺は原料の準備はもちろん機械の設定や包装作業に発送準備、伝票や報告書の作成など仕事は多岐にわたる。


俺は事務所のカギを開けて中に入り自分のデスクを見ると山のように重ねられた書類に辟易しながらパソコンの電源をつける。すると案の定大量のメールが溜まっていた。


「はぁ…これだけでも大仕事なんだけど…」


それから俺は一心不乱に仕事を片付け続けた。

入院して少し体が休めて頭がすっきりしたからなのか朝礼が始まる8時前にはすべての書類業務とメールの返信を終えていた。

途中でまた黒い靄の化け物が2回見えたが丸めた書類でぶっ叩くとすべて霧散していった。


「よっし、今日の俺は絶好調だな!」


デスクワークを終えて背中を伸ばしていると上司である工場長が事務所に入ってきた。


「おう、伊藤もう大丈夫なのか?もう少し休んでいいと言っただろうが」


やはり昨日の電話と同じで今迄からは考えられないほどやさしいことを言っていた。

後から入ってきたほかの社員がそれを聞き俺と同じように驚いた表情をしている。


「おはようございます!ありがとうございます!ご迷惑おかけしました!私はもう大丈夫です。取り急ぎ休み中に溜まったデスクワークはすべて終わらせておきました!」


俺はいつものように工場長へ大きな声で挨拶をして休んだことへの謝罪と遅れた分の仕事を終えたことを報告した。


すると、


「馬鹿野郎!病み上がりが無理をするんじゃない!今日は1日デスクに座ってゆっくり仕事してろ。おい、お前伊藤の代わりに現場の仕事やっとけ!」


いつもなら絶対嫌味や小言を言うはずが逆に無理をしたことを怒り、

俺の仕事をほかの社員へやるように命じた。

さすがにこれには他の社員達も工場長を別人ではないかといった目で見ている。


それから本当に1日無茶ぶりもされずただゆっくりとデスクワークをした俺はなんと定時に帰るように言われ数か月振りの定時退社をした。

それは俺だけでなく他の社員達も工場長以外全員が定時退社だった、

工場長だけは一人残り残務を処理しているいうこの会社に入って一度も見たことがない光景だった。


その光景を見て社員達が逆に不安になったのは工場長には秘密だ。


「もしもし、はいそうですが。え?あいつらが目を目を覚ました?ありがとうございます。今から行って会えますか?そうですかでは今から向かいますね」


スマホが鳴り電話に出ると病院から3人が目を覚ましたとの連絡を受けて。


「そえじゃ、まだ時間もあるしあいつらのお見舞いにいくか」


俺は車に乗り込み病院に向かった。

道中また黒い靄の化け物が出たが普通に車で轢いたら霧散したので気にしないことにした。



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