第2話

「うっ、いってぇ…」


身体の痛みで目を覚ました俺は辺りを見渡す。

俺が寝ていたベッドはカーテンで仕切られ腕には点滴、そして鼻につく薬品のにおいでここが病院であることを察した。


俺はここが病院ならっと、

ベッドの頭側を確認すると呼び出しとかかれたボタンがあり、

それ押すとすぐに看護師の人が来てくれて俺になにがあったのか教えてくれた。


看護師の人が教えてくれた話をまとめると、

どうやら俺たちはあの夜爆発騒ぎを起こして4人全員がこの病院に運び込まれたらしい。

爆発の原因は詳しくはわかっていないが、

おそらくは鍋を加熱していたガスコンロの異常ではないかとのことだった。

幸い爆発した場所の近くにほかの民家や建物がなかった為、

俺たちと集まっていた健の家以外に被害は出なったそうだ。


そして一番不思議なのが俺たち4人全員が無傷で爆発現場で倒れていたことだった。

しかし3日経っても誰も目を覚まさず、

爆発騒ぎから1週間経ってやっと俺が目を覚ましたとのことだった。

他の3人はまだ意識を取り戻していないが、

俺が目を覚ましたのならほどなくして目が覚めるだろうとのことだった。


それから俺はすぐ医師の診察と警察への事情説明を行いその日の夕方に退院となった。


「あー、よくわからんがやらかしちまったな。30過ぎて友人と鍋パして家ぶっ飛ばしましたってヤンチャが過ぎるだろ…」


病院を出た俺は予想外の高額出費に涙目になりながら軽くなった財布をポケットにしまうとタクシー代をケチる為に徒歩で帰宅することにした。

自分たちがしでかした事に落ち込みながら歩いていると、

人気ない川沿いの土手に黒い靄のようなものが見えた。


「ん?なんだあれ?もしかして熊でもでたか?」


警戒しながらその黒い靄をよくみると目玉に触手の生えた化け物に見えた。


「あ、これ完璧に俺の頭おかしくなってるやつだ。なにが異常は見られませんでしただよあのヤブ医者め!」


俺は思わず大声をあげた、

そしてその声に反応するように目玉の化け物は俺にゆっくりと近づいてきた。


「俺も見るならもう少しまともな幻覚みろよな、こんな気持ち悪い幻覚見やがって!」


混乱しすぎて自分にキレながら足元の小石を掴み目玉の化け物に向かって投げようとする。

その瞬間、掴んだ小石が光輝いたが今の俺にはそれに気づく心の余裕などもちろんない。


「消えろ幻覚!帰ってこい俺の正気ぃぃぃぃぃ!」


そのまま光輝いた小石を化け物めがけて投げつけると小石は化け物を貫通して川を挟んで反対側の土手に突き刺さった。


「ウギェェェゴギャァッァァァァ!!!」


化け物の方は断末魔をあげながら黒い靄ごと霧散していった。


「はぁ…はぁ…、消えた?やっぱり幻覚かよ。やばいぞ、日常生活大丈夫かこれ?ほかの人に言っても変な薬やってんのかって言われそうだし…とりあえず様子みてまた来週病院に行くか…どうせあいつらのお見舞いに行くことになりそうだしな」


それから俺はまたとぼとぼと自宅に向けて歩き出した。



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