第3話「1人目の犠牲者」
館の入口に近づいてみると、青桜の所から見えていたサイズよりもずっと大きい館で、まるでどこぞのホラーゲームですか?と言わんばかりの不気味さを放っていた。
ナナミ「ねぇ...やっぱなんかヤバくない?」
カナタ「んな事言ったって、帰り道が分かんねーんだから仕方ないだろ...。」
ユイ「でもナナミの意見は否定しきれないわ...私のやってるホラゲーの展開に似てるし...。」
3人が後ろでああだこうだと話してる間に僕は扉をノックした。
コンコンコン
ソラ「ごめんくださーい...どなたかいませんか?」
返事がない、ということは無人なのだろう。そう思っていると、突然扉が『ギィ...』と開いた。
ソラ「えっ...今、勝手に開いた...?」
カナタ「はぁ!?ウソだろ!?」
ナナミ「ますますヤバそうな感じがしてきた...」
ユイ「でも...これなら中に入れるんじゃない...?」
ユイの言葉に僕はハッとした。そうだ、扉に鍵がかかってなくて、むしろ開くんだったらそれはそれでチャンスじゃないか。
ソラ(でも...入っちゃっていいのかな...)
僕は不法侵入になるのでは無いかと恐れていた時だった。
カナタ「何たじろいでんだよ。せっかく開いてんなら、行くしかねーだろ?」
ソラ「カナタ...そうだね。行こうか」
僕達はおそるおそる扉を開けると、館の中へ入った。
ソラ「ごめんくださーい......」
扉をノックした時と同じように、もう一度声をかける。が、やはり何も応答が無い。
ソラ「ねぇ...やっぱり誰もいn......」
ふと振り返ると、そこに3人の姿はなかった。
ソラ「なんで...?ナナミ!カナタ!ユイ!」
名前を呼んだが、返事は無い。
外にいるのだろうかと思い、扉をもう一度開けようとしたが、入った時とは打って変わったかのように鍵がギッチリとかかっていた。
ソラ「は?ウソだろ?さっきまで開いてただろ!!」
開かない扉を前に暫く混乱したが、僕は必死で気を鎮めようとした。
ソラ(落ち着け...きっとどこかにいるはずだ...今までやってきたホラゲーの中にも建物に入って振り返ったら仲間がいなくなっていたって状況は度々あった...今はそれが起こってると考えーー)
キャアアアアアアアアア!!
ソラ「!?」
突然の悲鳴に驚いたが、僕は声のした方にひた走った。すると、そこにはナナミが廊下の隅でうずくまっていた。
ソラ「ナナミ!」
ナナミ「ソラ!良かった...どこ行ったのかと思ったじゃん...」
ソラ「大丈夫か?怪我は?」
ナナミ「大丈夫。そんなことより...ユイが...ユイが!」
ソラ「ユイが...どうしたんだ?」
ナナミ「ユイが...化け物に襲われて...!」
ソラ「...!?」
ナナミ「急に変な所に飛ばされて...ちょっと歩いた先に部屋があったからそこに入ったら...ユイがいたんだけど...なんか真っ黒な化け物が...ゆいに迫ってて...!」
僕とナナミは急いでその部屋に向かった。
ドアを開けようとしたが、鍵がかかっているのかして異様に固かった。
ソラ「ユイ!ユイ!大丈夫か!?」
ドアのしつこさに限界を迎えた僕は、ドアに体当たりをした。
2〜3回当たると、ドアが開いてなだれ込むように部屋に入ったが、僕達が見た光景はなんとも言えないおぞましさだった。
衣服は愚か、全身ズタズタに斬られ、顔の形はほぼ原型を留めていないくらいに荒れ果てていたユイの姿。当然、脈は無かった。
ナナミ「そんな......」
ソラ「くっ......!」
ユイの死がやがて大きな絶望へと肥大していくことは、この時はまだ知らなかったーー
ーー次回、最終回「犠牲の増加と裏切り者」ーー
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